実施日 : 2005年06月09日 - 10日
仙台プレスツアー
投稿日 : 2013年08月23日
~地方自立―脱東京依存~美しい自然環境と先端技術の集積を基盤に東アジアの健康福祉都市へ
日程:2005年6月9日(木)~10日(金) 1泊2日
日本有数の食料基地である東北地方。豊かな自然に恵まれているが経済的には後進地域とされてきた。その東北の中核都市―仙台
http://www.city.sendai.jp/。人口は約102万人。有力な地場産業を持たないことから支店経済の典型といわれ、不況にあえいでいた仙台に「地方自立-脱東京依存」の動きが芽生えている。独自の産業を育成し、仙台を中心とする自立的経済圏を生み出そうという試みだ。
その基盤となるのは「住みやすい街づくり」。「杜の都」仙台の都心には広瀬川が流れ、青葉通・定禅寺通などのケヤキ並木が街を彩る。都心から車で20分走れば豊かな自然の山々があり、そこには温泉やスキー場も数多い。人口百万都市には珍しい恵まれた生活環境だ。その中で東北福祉大学のように福祉に特化して「高齢者が住みやすい街」を実践研究する教育機関もある。
仙台は古くから「学都」と呼ばれ、独創的研究や世界最高水準を誇る技術を生み出す知的資源の集積する都市でもある。「住みやすい街」だからこそ、研究大学として実績を重ねてきた東北大学の「人的資源」も活性化する。こうした環境をベースに、産学官が緊密に結びつくことで「世界の中の仙台」を目指す様々なプロジェクトが成果をあげ始めている。
本ツアーでは、仙台市とフィンランド政府による健康福祉プロジェクトを取り上げ、産官学連携で進む同プロジェクトの理論・実践面を担う東北福祉大学の「感性福祉・予防福祉」という「21世紀型福祉の取り組み、及び技術面を支える東北大学の世界レベルの先端技術の一端を取材する。日本で加速する「少子高齢化」は近い将来、中国、韓国も直面する問題だ。東アジアにおける健康福祉拠点の確立と福祉概念の変革という課題に挑む仙台を探訪する。
取材内容
1.仙台フィンランド健康福祉センタープロジェクト
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IT・福祉先進国フィンランドと仙台市が進める国際共同プロジェクト。フィンランドの福祉思想・テクノロジーと日本の福祉を融合した新しい福祉コンセプト-高齢者の意思決定権を尊重し、心身機能の低下をできるだけ防ぎ、社会性を保つことによって自立生活を可能にする-の確立を目指すと共に、ITを活用した健康福祉機器やサービスの開発、事業化を地元企業とフィンランド企業の提携によって進めることで健康福祉機器産業のクラスター形成を図る。同センターは、フィンランド・デザインの高齢者福祉施設「せんだんの館」と福祉機器のR&Dを行う「研究開発館」からなる複合施設で今年3月末グランドオープンした。
本ツアーの最初に同センターを訪問、吉村洋プロジェクトマネージャー(ソニー出身)から同プロジェクトの概要説明を受けると共に、「研究開発館」入居企業関係者と懇談する。「せんだんの館」では、「自立型福祉」のコンセプトで設計されたデザインと自立支援介護サービスのもとで暮らす高齢者、及び東北福祉大生による介護実習の様子を取材し、プロジェクトの全体像を把握する。
2.東北大学 >> Link
FWBCプロジェクトのような海外からの投資を惹きつける仙台の強みは世界最高水準を誇る先端技術の集積であり、同学はその中核的存在。世界最強の永久磁石KS鋼を発明した本多光太郎博士、八木アンテナを発明した八木秀次博士、"ミスター半導体"西澤潤一氏、2002年ノーベル化学賞受賞の田中耕一氏など数多くの世界的な科学者を輩出してきた。創設は1907年、現在の学生数は約17,500人、うち留学生は77カ国、約1,100人で中国、韓国、台湾をはじめアジア出身者が80%を占める。古くは中国の文豪・魯迅が仙台医学専門学校(同学医学部の前身)に留学。昨年4月の国立大学法人化を機に「国際競争力のある大学」を掲げ、改革を推し進めている。
(1)金属材料研究所(片平キャンパス)
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通称「金研」は同学にある5つの研究所のうち最初に創立。85年前、本多光太郎による鉄鋼の研究がその始まり。最近では新しい物質・素材の分野を開拓、高性能で多機能な材料を開発して今日のハイテク技術の向上に貢献。ツアー1日目は以下の研究室を取材する。
①附属金属強磁場伝導材料研究センター
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30ステラの強磁場を発生するハイブリッドマグネットと強磁場センターで開発された無冷媒ハイブリッドマグネット及び無冷媒超伝導マグネット装置を視察し、これらを用いた研究の一端を紹介する。
②附属金属ガラス総合研究センター
>> Link~lam/
同研究所で発見されたバルク金属ガラスの性質を示したパネル、同ガラス素材とその応用品を紹介する。
③超構造薄膜化学研究部門 新・発光ダイオード研究
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酸化亜鉛による青色LEDの開発に川崎研究室が世界で初めて成功。昨年12月にNature Materialsで発表された。酸化亜鉛は化粧品の白い粉としてなじみのある、非常にありふれた材料で、資源の豊富さと安さ、単結晶基板材料の存在、特許問題、半導体レーザへ展開したときの効率などで優位であり、実用化が期待される。
(2)工学部・工学研究科(青葉山キャンパス)
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ツアー2日目は、FWBCプロジェクトと提携・関連する以下の研究や組織を取材する。
①MEMS(Micro Electro Mechanical System/微小電気機械システム)
光・機械・電気・材料などのいくつかの分野を横断する技術で製作し、多様な要素を集積した超小型・高機能のシステム。例えば、医療用機器として、人間の血管内に導入して検査や治療を行う直径1.5mmの管「能動カテーテル」。このMEMS研究の草分けである江刺正喜研究室はソニーやキャノン等から派遣研究員を受け入れており、専門紙の調査では企業からの評価第一位との結果が出ている。
②未来科学技術共同センター(NICHE)
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1998年設立。同学の産学連携の窓口機関で、学内の研究推進・知的財産本部等や、国・自治体と連携し、新産業の創出や国内産業の活性化を目的とする。大企業が少ない宮城地域に効果的な「仙台モデル」を提唱し、大学発先端技術を地域産業から世界へ送り出すシステムづくりに力を入れている。現在、大型液晶テレビの研究開発プロジェクトが進行中。
3.東北福祉大学 >> Link
FWBCプロジェクトが掲げる新しい福祉概念-社会の中で自立して生活できる高齢者-の理論・実践面を担い、福祉施設「せんだんの館」を関連団体である東北福祉会が運営する。
1875年に曹洞宗専門支校として設立。現在1学部(総合福祉学部)5学科に約4,600名が学び、質量ともに伝統と歴史ある福祉の総合大学として全国的に有名。建学精神「行学一如」を掲げ、理論と実践の融合を目標に、福祉の人材養成教育と研究、及び地域貢献活動を展開する。昨年7月に国際交流センターを設置、韓国、中国、台湾の大学と提携し、施設職員養成事業等を開始した。21世紀型福祉として「予防福祉」、人間の感性を重視した「感性福祉」を二大コンセプトとして展開する同学の研究開発、教育・実践の場面を取材する。
①感性福祉研究所
「感性福祉」の研究とは、物質文明に頼りすぎて衰えた人間の感性(見る、聴く、嗅ぐ、触れる、味わうの五感)に働きかけ、人々が心の豊かさを実感し、生きがいをもって生きられるようにするにはどんな方法が効果的かを試し、それを科学的に実証しようというもの。同研究所は1998年に文部省学術フロンティア事業の拠点として指定を受け、生命科学、環境、心理、福祉、感性情報、学術情報の6部門を設置し研究を進めている。
阿部四郎教授より「感性福祉」「予防福祉」のコンセプトについて説明を受け、食研究、脳・感性研究、音のデザイン、動作解析、クリニカルアート等の各部門研究室で各研究について体験取材する。
②仙台元気塾
自分の健康状態を把握し、心身機能の維持に努める「予防福祉」の取り組みは、高齢者だけでなく、幅広い年齢層の市民に向けての地域貢献事業として力を入れている。その中心となる同塾は「自分にあった健康をデザインする」をモットーとし、「食・息・眠・温・動・想・性・環」のバランスから健康状態を認識する「元気点検票」を考案し、現在特許を申請中。健康増進事業として、フィンランドのノルディックウォ-ク等の「メディカル・フィットネス」教室、脳を目覚めさせる「クリニカルアート」教室、同大発ベンチャー「ビューティーズ」が運営する「カウンセリング・エステ」などを展開している。ツアー参加者はこれらすべてを体験取材する。
③福祉に携わる若者
「実践重視の教育」の現場として、福祉施設「せんだんの館」での介護実習、学生が立ち上げたベンチャーを取材し、フリーターやニート等社会にコミットをしたがらない日本の若者が増える一方で、積極的に福祉に関りたいという若者の仕事に対する考え方や価値観を探る。
④健康食レストラン「風土」
一般市民にも開放している同レストランは地元の新鮮な素材を使った健康食で人気。ツアー2日目は同レストランにて昼食を取りながら大学関係者と懇談する。
実施要領
1.ツアー日程: 6月9日(木)-10日(金) 1泊2日
[第1日目:6月9日(木)]
07:56 東京発(東北新幹線はやて3号)
09:37 仙台着
10:10 仙台フィンランド健康福祉センター(FWBC)着
10:15-10:30 「研究開発館」にて仙台市概要説明
10:30-11:15 FWBCプロジェクト概要説明
11:20-12:30 高齢者福祉施設「せんだんの館」 取材
12:30-13:45 FWBCプロジェクト関係者との昼食懇談会(@館内カフェテリア)
同センター発
14:15 東北大学(片平キャンパス)着
14:20-14:50 大西理事による大学概要説明、質疑
14:55-15:30 金属材料研究所 概要説明
15:30-17:00 附属強磁場超伝導材料研究センター、金属ガラス総合研究センター、
超構造薄膜科学研究部門 新・発光ダイオードの研究 取材
同大学発
17:30 ホテル仙台プラザ チェックイン
18:30-20:00 仙台市、東北大学、及び東北福祉大学主催夕食懇親会
(ホテル仙台プラザ泊)
[第2日目:6月10日(金)]
08:30 ホテル発
08:55 東北大学(青葉山キャンパス)着
09:00-09:30 MEMS概要取材
09:35-10:15 視察、関連ベンチャー取材
10:20-11:00 未来科学技術共同センター(NICHe)取材
同発
11:30 東北福祉大学 着
11:40-12:10 大学概要説明
12:15-13:15 昼食懇談会(@レストラン風土)
13:30-15:00 感性福祉研究所 取材
「感性福祉」「予防福祉」ブリーフィング
各研究室視察、及びデモンストレーション
15:10-15:50 仙台元気塾 取材
15:50-16:50 最新健康推進事業
(フィットネス、アート、エステ、アロマ)体験取材
17:00 同大学発
18:24 仙台発(はやて24号)
20:08 東京着
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用:1人15,000円(東京-仙台往復新幹線、現地交通費、宿泊、食事代等含む)
*お支払い方法、キャンセル料は、後程参加者にご連絡します。
4.募集人数: 先着順20名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が20名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定
することがあります。
5.FPC担当:小泉(Tel: 03-3501-5070)
6.備考:
(1) 写真・TV撮影は担当者の指示に従ってください。
(2) FPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。