プレスツアー(案内)

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実施日 : 2006年01月17日

「宇宙に挑む-横浜町工場」プレスツアー

投稿日 : 2013年08月23日

A航空・宇宙部品の中小企業が連携して宇宙を目指す「まんてんプロジェクト」

 

実施日:1月17日(火)
昨今の株価の上昇が示すように、日本経済はようやく長期不況を脱したかのようである。経済回復が本格化してきた場合、これまでの自動車や家電産業のように日本企業が国際競争力を持ち得る分野として成長が期待される産業の一つに航空宇宙産業がある。この分野では欧米に遅れをとっている日本であるが、その市場規模は今や4千億円と言われている。

 

日本ではこれまでロケットや人工衛星等の宇宙産業は大手メーカーの独壇場であったが、バブル経済崩壊以降、経営の合理化や採算性の問題により宇宙関連の部品供給事業から撤退する状況が続いている。これをビジネスチャンスと捉え、且つ業界の縮小傾向に危機感を抱いた中小企業が連携し、持ち前の緻密な工作技術を武器に果敢に市場に切り込み、業界全体を底上げしようという動きがある。神奈川や東京等の中小企業71社が加盟する「まんてんプロジェクト」だ。

 

「大手企業を通さず、海外に直接技術を売り込もう」と横浜の中小企業が中心となって、2003年9月に発足した宇宙関連製品の共同受注組織。当時、東大阪市の町工場経営者らによる民間人工衛星「まいど1号」の打ち上げ計画で盛り上がっていたのに触発された。2005年8月現在参加企業は71社。

 

大量生産・低付加価値のものづくりが急速に中国へシフトする流れとは一線を画し、多品種少量・高付加価値・高品質・信頼性を必要とするものづくりを追求する。日本の中小企業は高度な加工・生産・開発技術を持ちながらも、自社分野以外のリソース不足、品質管理体制や営業・情報面等の弱点から、航空宇宙関連市場への直接参入が難しく、間接的参入に留まっている。同プロジェクトは、このような状況を打開すべく情報収集や共同受注・品質保証体制の確立、産官学連携による新規開発を行うことを目的としている。

 

災害状況把握、資源調査等への貢献を目的とする世界最大級の地球観測衛星「ALOS」(Advanced Land Observing Satellite) が1月19日に種子島宇宙センターから打ち上げ予定である。このタイミングを捉えて実施する今回のツアーでは、「まんてんプロジェクト」を支援する宇宙航空研究開発機構の部品技術コーディネーターから宇宙航空分野における中小企業の技術開発について話を聞いた後、同プロジェクトの中心的存在である横浜の企業2社:山之内製作所(高い技術を誇る精密部品加工)、オービタル・エンジニアリング(人工衛星や宇宙機器に装着するサーマル・ブランケット(多層断熱材)製造)を取材する。

 

 

取材内容

 

 

<写真1>山之内製作所で作られる航空宇宙部品
<写真2>オービタル・エンジニアリングのクリーンルーム
<写真3>「サーマルブランケット」製造風景
<写真4>山内慶次郎・山之内製作所社長(右)と山口耕司・オービタル・エンジニアリング社長(左)

 

 

1.「航空宇宙分野における日本の中小企業の技術力」についてのブリーフィング:宇宙航空研究開発機構(JAXA)部品技術コーディネーター 杉尾晃正氏

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自動車、家電、携帯電話等日本の製造業における中小企業の技術力の高さは世界も認めるところであるが、日本が欧米を追従する立場にある航空宇宙分野においてはどうなのか。具体的にどの地域のどういう企業がどのような技術を持ち、部品を製造しているのか、更にそれは実際にどのような航空宇宙機器に活用されているのか。
日本全国の中小企業を一社一社自分の足で回り、中小企業の開発した技術や部品を国内外の大手企業のニーズや様々なプロジェクトに結びつけるコーディネーターである杉尾氏に、自らのフィールドワークで収集した情報や経験を語って頂き、まず本ツアーの導入部で、航空宇宙分野における日本の中小企業の現状を把握する。

 

2. まんてんプロジェクト

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神奈川県と東京都の異業種交流グループが同地域の中小企業を取りまとめ2003年9月に任意団体として発足。参加企業は現在71社で、神奈川32社、東京23社以外にも千葉1社、埼玉3社、新潟9社、富山1社、北海道1社、愛知1社と8都道県に及ぶ。
2004年4月には航空宇宙部品の共同受発注の窓口会社としてJASPA株式会社(Japan Aerospace Parts Association  

 

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衛星用部品を共同受注、昨年からは同機構との直接取引も可能となった。最近では、自動車等の他業界からの受注やフランス・エアバス社の航空機開発への参加要請もある。

 

2. 株式会社 山之内製作所

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1964年創業。資本金3200万円、従業員数は70名(2005年8月現在)。山内慶次郎社長(47歳)。創業以来、精密部品加工を専門とし、16年前から宇宙関連機器の部品生産に着手。

 

 

宇宙部品に求められるのは、軽さ、強度、精度、しかも形状も複雑である。同社はアルミ、チタン、マグネシウムといった軽量で難しい金属材料の加工が得意、しかも溶接や研磨は使わず、挽きもの加工のみ。「どんな難削材でも高精度に削る」との定評がある。昨年2月に打ち上げられた運輸多目的衛星の太陽電池パネルには同社製造の部品が搭載された他、国内中小企業としては初めて国際宇宙ステーション(ISS)の部品も受注した。

かつては量産型の自動車部品メーカーだったが、16年前に宇宙関連部品に転換、以来、「多品種少量生産」哲学を貫き、且つ独創性に富む自社ブランド製品開発も手がける。「今後は炭素繊維複合材の加工に挑みたい」と山内社長は話す。

 

 

3. 有限会社 オービタル・エンジニアリング

 

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1995年設立。資本金300万円、従業員数10名(2005年12月現在)。山口耕司社長(42歳)。宇宙分野における「熱解析」-人工衛星がどの向きで、太陽の光をどれくらい受けたらどれだけの熱を持つか等-が専門。
太陽光があたる所と日陰の所ではプラスマイナス150度もの温度差があるといわれる宇宙空間で人工衛星や宇宙機器を守るためのサーマルブランケット(多層断熱材MLI)を設計・製作する。主要素材は高分子フィルム(ポリイミド-耐熱性に優れ、宇宙線や紫外線に強いプラスチック)で、これを一枚一枚工業用ミシンで縫いあわせていく。
昨年7月に打ち上げられたX線天文衛星「すざく」装着のサーマル・ブランケットは同社製。米国Cullimore & Ring Technologies、フランス・エクスプローラ・コンサルティングと業務提携している。

 

実施要領

 

1.日程:1月17日(火)
08:45   フォーリン・プレスセンター(記者会見室)集合
09:00-10:00「航空宇宙分野における日本の中小企業の技術力」についてのブリーフィング:JAXA・部品技術コーディネーター 杉尾晃正氏
10:10   FPC発(借り上げバスにて移動)
(車中にて)「まんてんプロジェクト」の概要説明:オービタル・エンジニアリング・山口社長
11:00   山之内製作所 着
11:00-11:20 山之内製作所の概要説明:山内社長
11:20-11:40 JASPA(株)の概要説明:同社役員
11:40-12:10 同社工場視察
12:10-13:10 まんてんプロジェクト参加企業経営者との昼食懇談
13:10-13:30 オービタル・エンジニアリングの概要説明:山口社長
13:30   山之内製作所発
14:30   オービタル・エンジニアリング着
       クリーンルーム視察
15:30   同発
16:30   プレスセンタービル着、解散

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:1人1000円(バス、昼食代含む)
*お支払い方法、キャンセル料は、後程参加者にご連絡します。

 

4.募集人数:先着順15名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が15名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPC担当:小泉、山代(Tel: 03-3501-5070)

 

6.備考:
(1)写真・TV撮影は担当者の指示に従ってください。
(2)山之内製作所、オービタル・エンジニアリング、及びFPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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