プレスツアー(案内)

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実施日 : 2008年10月31日

【プレスツアー】10月31日:静岡・水産資源プレスツアー

投稿日 : 2013年08月22日

 

~国際的な水産資源獲得競争を生き抜く水産業の可能性~

 

 

水産物の国際的な消費が拡大している。これに伴い、水産資源を巡る獲得競争も激化、漁獲量の増加とともに、過剰漁獲や資源枯渇への懸念も膨らんでおり、国連食糧農業機構(FAO)によると、世界の漁業資源の4分の3は、過剰漁獲か満限利用状態にある。

 

ツアーでは、冷凍マグロや冷凍カツオの水揚げ、マグロの消費量などで日本一を誇る日本有数の水産県、静岡における、水産資源の確保と水産業の活性化に向けた取り組みを通して、日本の水産業の将来を展望する。

 

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欧米や中国などにおける健康食ブームに乗って、水産物の国際的な消費が拡大している。これに伴い、水産資源を巡る獲得競争も激化、魚の国際価格も値上がりしている。また、漁獲量の増加とともに、過剰漁獲や資源枯渇への懸念も膨らんでおり、国連食糧農業機構(FAO)によると、世界の漁業資源の4分の3は、過剰漁獲か満限利用状態にある。

 

一方で、原油価格の高騰は、漁船の油費の増加などで漁業分野にも深刻な影響を投げかけている。日本かつお・まぐろ漁業協同組合では今年8月から、乱獲による漁業不振や燃料代の高騰を理由に、2年にわたる遠洋マグロはえ縄漁船の部分休業に入った。さらに、養殖用のえさも高騰傾向にある。原料となる魚粉の中国での消費拡大や、小麦粉や大豆など穀物類の値上がりが原因で、養殖業の経営は圧迫されている。

 

そうした中、日本の漁業・養殖業生産量は、1984年の1,282万トンをピークに減少、2007年には半分以下の570万トンに落ち込んでいる。また、魚介類の自給率1964年の113%から59%(2006年)に、さらに漁業就業者数1949年の110万人から20万人(2007年)に減少している。

 

こうした逆境の中、冷凍マグロや冷凍カツオの水揚げ、マグロの消費量などで日本一を誇る日本有数の水産県、静岡では、地域の特性を活かして、水産資源の確保と水産業の活性化に向けた様々な取り組みが行われている。ツアーでは、静岡における取り組みを通して、日本の水産業の将来を展望する。

 

*本ツアーは、静岡県との共催により行われるものです。

 

 

【取材内容】

1. 静岡県温水利用研究センター(御前崎市)

 

~幻の高級魚「クエ」の完全養殖に成功~

 

幻の高級魚といわれる「クエ」は、ハタ科の大型魚で、全長1.5メートル、体重50キロにも成長する。1990年には御前崎港で7トン近くあった漁獲量が近年では400~500キロに激減、市場にも出回らなくなっていたが、2005年静岡県温水利用研究センターが、施設で生まれたクエが成長して生んだ卵から稚魚を育てる完全養殖に初めて成功した。昨年は、地域ブランド「御前崎クエ」として、2000匹程度を地元観光協会を通じてホテルや飲食店に提供、今年は2倍の4,000匹程度の供給を目指す。

 

特徴は、センターに隣接する浜岡原子力発電所から提供される温海水を利用したこと。クエは、水温が15度以下になると餌を食べなくなるが、発電所の温海水を使って、水温を常に20度以上に保つことで、魚の成長を促している。生産技術の向上で、今年は孵化した稚魚の生存率も例年の5倍程度に大きく向上、県内3ヵ所に13,000匹を放流し、“天然もの”の復活も視野に入ってきた。

 

同センターでは、マダイやヒラメの生産・放流事業も進めているが、近年漁獲量が回復しつつあるだけでなく、獲れた魚の25~30%は放流されたものと確認されるなど、資源回復への取り組みが着実に効果を上げており、“作り育て獲る漁業”が実現しつつある。また、地元の漁業協同組合では、水揚げ金額の一定額を放流基金としてプールするシステムを自ら作り出すなど、先進的な取り組みも進んでいる。

 

ツアーでは、センターが進める栽培漁業の取り組みを取材するとともに、昼食では、特別な配慮により提供される解禁直前のクエ料理を味わう。

 

 

2. 大井川町漁協(大井川町、11月1日から合併により焼津市)

 

~資源管理型漁業のモデル「桜エビ」~

 

国内では駿河湾にのみ生息する桜エビは、体長わずか4~5センチと小型ながら、漁獲量は年間約2000トンで、売り上げは44億円と、静岡県全体の沿岸漁業の水揚げ高(159億円)の3割近くを占める静岡を代表する水産物だ。

 

現在も続く桜エビ漁独特の「プール制」が確立されたのは1977年64~65年頃の漁獲量の激減や設備の過当競争などを背景に、乱獲を防ぎ資源を守るための方策が検討された。漁を認められているのは、県内の3地区(大井川、由比、蒲原)の漁船120隻のみ。2隻ずつがペアを組み、合計60組が漁に出る。漁期は春(3月下旬~6月上旬)と秋(10月下旬~12月下旬)で、実際の出漁日数は年間40日程度漁期には毎日、3漁協の代表者による出漁対策委員会が、出漁の可否や、時間、目標水揚げ量などを決める。水揚げ金額については、各漁船の漁獲量にかかわらず、全漁船の1日の総金額を船主と乗組員が、それぞれ一定比率で均等に分けあう際限のない漁獲競争規制のためには、所得面から平等化するしかないとの発想だ。

 

ツアーでは、10月30日に秋漁が始まったばかりの大井川町漁協を訪問、資源管理型漁業のモデルケースである桜エビ漁について漁業関係者から直接話を聞く。

 

*時間の関係で、桜エビの水揚げや競りの様子は取材できません。

 

3. 静岡県立焼津水産高校(焼津市)

 

~水産業の将来を担う“スペシャリスト”を育成~

 

実習船での豪快な一本釣り実習世界で初めてツナ缶を製造したことで知られる同校は、今年で創立86周年を迎えた伝統校で、水産物の水揚げで全国2位の “水産都市”焼津の地域産業の担い手を育成してきた。

 

2006年度からの3年間は、文部科学省から、水産高校としては唯一「目指せスペシャリスト」(スーパー専門高校)の指定を受け、水産資源を活用した新商品開発と流通実践を通した水産スペシャリストの育成に取り組んでいる。例えば、資源の有効活用をテーマに、これまで利用価値が低かったゴマサバを使った燻製、また焼津港に水揚げされるサバやマグロのうち、食用に向かず飼料などにされてきたあらを有効活用して作った魚醤油などを開発。これら実習製品やオリジナルの開発商品は、生徒自らが運営する模擬ベンチャー企業「フィッシュパラダイス魚国」毎年11月、地元の商店街に店舗を構えて販売し、大きな反響を呼んでいる。さらに同校では、マダイ、ヒラメの標識放流や資源調査など水産資源の回復に向けた「育てる漁業」にも取り組んでいる。水産業への逆風が強まる中、焼津の活性化に貢献する人材を輩出できるか、地域の期待が高まっている。

 

ツアーでは、同校のスペシャリスト育成の取り組みについて説明を受けるとともに、水産業の未来を担う高校生の意識を探る。

 

 

【実施要領】

 

1. 日程案
2008年10月31日(金)
07:03 JR東京駅発(ひかり361号)
08:06 静岡駅着
09:30-11:15 静岡県温水利用研究センター
11:30-12:30 昼食懇談
13:30-14:30 大井川漁港
15:15-17:00 焼津水産高校
18:36 静岡駅発(ひかり380号)
19:40 東京駅着

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:1人5,000円(東京-静岡往復新幹線乗車券、昼食を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等については参加者に通知します。

 

4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定
することがあります。
5.FPCJ担当:矢野、菅原(Tel: 03-3501-3405, 5070)

 

6.備考:写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従って下さい。当センター及び静岡県はツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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