実施日 : 2010年03月18日 - 19日
【プレスツアー】2010年3月18‐19日: 山陰(鳥取・島根)プレスツアー Part2
投稿日 : 2013年08月22日
~自然と共生する世界遺産「石見銀山」とラドン温泉医療最前線「三朝温泉」~
2009年3月に実施し、好評を博した山陰プレスツアーの第2弾として、多くの歴史的・文化的遺産と、これらを育んだ雄大な自然が豊かに残された山陰の「訪れてよし、住んでよしの地域創造」を取材する。
鳥取県では、三朝温泉における温泉医療の最前線と地域活性化の動きを、また島根県では、環境に配慮した鉱山運営で世界遺産に登録された「石見銀山」と、銀山の町並み保存と若者の雇用に貢献する世界的義肢装具メーカー「中村ブレイス」を取材。人口減少による過疎化や地域格差が広がる中、山陰における新たな地域創造の動きを追う。
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多くの歴史的・文化的遺産と、これらを育んだ雄大な自然が豊かに残された山陰地方。「訪れてよし、住んでよしの地域創造」をキーワードに地域の特色を活かした町づくりが各地で進んでいる。
鳥取県のほぼ中央部に位置し、世界屈指のラドン温泉として知られる三朝温泉。日本文化に根付いた古くて新しい温泉医療の地道な取り組みに加え、未解明のラドン温泉効果を科学的に検証する新たな試みも始まっている。また、かつての湯治場の賑わいを取り戻そうと、国民の健康増進志向を背景に、現代人向けの「現代湯治」を軸にした町づくりも動き出した。
2007年に島根県初の世界遺産に登録された「石見銀山」。登録は難しいと見られていた中で、決め手となったのは環境配慮型の当時の鉱山運営と、遺跡と自然環境が一体となった文化的景観とされている。ほとんどの鉱山遺跡が山を切り崩し、緑を破壊した状態で残されている中、大自然の中にひっそりと佇む銀山跡の姿は異彩を放つ。
また、石見銀山遺跡の中心部に位置する人口400人の過疎の町、大森町には江戸時代の武家屋敷や民家が数多く残る。この地で、35年以上にわたり活動を続けているのが、世界的義肢装具メーカー「中村ブレイス」だ。大森の町を愛し、若者の雇用確保や町並み保存活動にも積極的に貢献するなど、大きな存在感を示している。
今回のツアーは、2009年3月に実施し好評を博した山陰プレスツアーの第2弾として、人口減少による過疎化や地域格差が広がる中、山陰における新たな地域創造の動きを追う。
*本ツアーは、フォーリン・プレスセンターが主催、山陰国際観光協議会の協力により実施するものです。
三朝温泉における温泉医療最前線と現代湯治の取り組み(鳥取県三朝町)
<三朝温泉公式サイトへのリンク>
<岡山大学病院三朝医療センターへのリンク>
世界屈指(日本一)のラドン含有量を誇る三朝温泉。気体として体内に入った微量なラドンの放射線が細胞などに刺激を与え、身体の免疫力や自然治癒力が高まるホルミシス効果が注目を集める中、三朝町では住民のガン死亡率が全国平均の2分の1との統計データが示されるなど、早くからラドンの効用が指摘されてきた。
ここで本格的な温泉療法を実践する全国唯一の医療機関が岡山大学病院三朝医療センターだ。温泉プールでの運動療法、三朝温泉の泥を利用した部分泥浴や鉱泥湿布といった鉱泥療法、さらに飲泉療法などが行われており、これまでの臨床成績から、慢性関節リウマチ、気管支喘息、糖尿病、高血圧症など多くの慢性疾患に改善効果があることが明らかにされている。特に、呼吸器系の疾患には効果が上がっており、患者の半分程度は県外の全国各地から集まってくる。昨年3月には医療センターの敷地内に、日本原子力研究開発機構と共同で、ラドン温泉効果を検証する「三朝ラドン効果研究施設」が完成した。ラドン吸入の研究施設としては全国初で、三朝温泉の浴室と同程度の濃度のラドンガスを使ったマウスへの吸入実験が行われており、ラドンの健康効果とそれを引き出す最良の方法についての学術的な解明への期待が高まっている。
一方で、近年の経済状況や旅行形態の変化などを反映して、三朝温泉の宿泊者数は、1996年の55万人をピークに減少傾向にあり、2008年には35万人に落ち込んでいる。そうした中、三朝町や地元の観光協会が地域活性化に向けて動きだした。現代社会の健康志向、癒しを求める風潮に応えて、「現代湯治」と銘打ち、岡山大学病院三朝医療センターとも連携した滞在型の療養・保養プランを提供できる宿を増やしている。昨年11月には、ラドン温泉の効能に精通した入浴アドバイザー「ラヂムリエ」制度も立ち上げ、各旅館に常駐するラヂムリエが入浴方法のアドバイスを行うほか、旅館が三朝医療センターでの診察の予約代行も行っている。さらに温泉街の有志による「まち歩きツアー」の実施や、町の豊かな自然環境を活かした新たな滞在型保養プランも提案するなど、リピーター客の確保に努めている。
ツアーでは、岡山大学病院三朝医療センターにおける温泉療法最前線を取材するとともに、まち歩きツアー体験や旅館関係者へのインタビューなどを通して、温泉街再生に向けた動きを探る。
環境と共生する世界遺産「石見銀山」(島根県大田市)
1526年の発見以来、400年にわたって採掘されてきた世界有数の鉱山遺跡「石見銀山」。大航海時代の16世紀には、ヨーロッパで出版された地図にも登場するなど、銀鉱山としてヨーロッパ人に唯一知られた存在で、中国や朝鮮半島などのアジア諸国とポルトガルやスペインなどヨーロッパ諸国を交易で結ぶ役割の一端を担った。17世紀前半の石見銀の産出量は年間約38トンと推定され、世界の産出銀の約3分の1ともいわれる日本銀のかなりの部分を占めていたと考えられる。当時の人口は20万人ともいわれ、先進的な製錬技術を持つ日本有数のハイテク都市として栄えたほか、病気で生活ができない鉱夫にはコメや味噌が支給、その子供には養育米が支給されたことなどは、社会保障制度の先駆けともいわれている。
2007年に世界遺産に登録されたが、決め手となったのは、環境に配慮し、自然と共生した鉱山運営。森林をできるだけ破壊せず、銀の採掘から精錬まで全て人力による手作業・小規模で、燃料確保のための植林も行われた。こうして森林資源が適切に管理された結果、銀山跡には豊かな山林がそのまま残っており、遺跡の大半は未だ深い山の中に眠っているともいわれる。このように鉱山遺跡と豊かな自然環境が一体となって文化的景観を形成する例は、世界的に極めて貴重である。
また、当時の生活の場であり、銀山経営の中枢であった大森地区には、武家屋敷や町屋などの当時の繁栄をしのぶことができる歴史的な建築物が数多く残り、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
ツアーでは、龍源寺間歩(坑道)や清水谷精錬所跡など、山の中に眠る鉱山遺跡をガイドの案内で巡るとともに、大森地区の武家屋敷「阿部家」で昼食をとり、町並み保存の取り組みについても取材する。
※注意事項:石見銀山の取材の際は、交通規制により、移動手段として電動自転車(往復5キロ程度)を利用しますので、予めご了承ください。
株式会社中村ブレイス(島根県大田市)
義肢装具メーカー「中村ブレイス」を創業した中村俊郎氏は1948年、石見銀山の過疎の町、大森町に生まれた。先祖は200年以上前の江戸中期にここに移り住んだ鍛冶職人という生粋の「銀山っ子」。高校を卒業後、京都とアメリカでの義肢装具製作の研修・留学を経て26歳の時に帰郷、「ふるさと再生」を願いたった一人で創業した。その後、高度な技術によって世界に誇る義肢装具メーカーに成長、「経営とは社会貢献そのものである」という経営理念のもと、大やけどで両足を失ったモンゴルの少年に義足を贈るなど、活動は世界に広がる。
近年力を入れてきたのが、自らメディカル・アートと名付けた人工乳房や手足、指、鼻など身体のパーツ。一つ一つ限りなくその人の皮膚の色に近づけ、優れた機能性と美しさを兼ね備えた“芸術作品”で、同社が誇るオンリーワン技術だ。
また、「人を育てる」ことを基本理念に、人口400人の過疎の町にありながら、地元出身者を中心に積極的に若者の雇用の場を提供しており、現在65名程度の従業員の平均年齢は33歳、今後も新卒の採用を増やしていく予定だ。さらに、大森地区の町並み保存をライフワークとしており、私財を投じて地域に残る古い空き家を引き取っては修繕して社員寮や工場に活用、これまで35軒ほどの改修を手掛けてきた。こうした社会貢献活動が認められ、今年の第7回「企業フィランソロピー大賞」も受賞した。
世界的な不況を横目に「第3期の成長期に入ってきた」という中村氏が今後取り組むのは、数十万円もする先進国相手の義肢装具ではなく、木と竹があればどこでも作ることができ、最貧国の人々も利用可能な義肢装具の開発だという。世界遺産のまち、石見銀山から世界に発信し続ける中村氏の活動を通して、地域創造の新たな形を取材する。
<実施要領>
1.日程:
3月18日(木)
10:00 羽田空港集合
10:45 羽田空港発(ANA295便)
12:05 鳥取空港着(現地移動は借り上げバス)
12:20 同発
12:40-13:20昼食
14:00-15:30 岡山大学病院三朝医療センター
15:30-15:45 三朝温泉ブリーフィング(バス中)
15:45-16:15 三朝温泉まち歩きツアー
16:15-17:00 旅館訪問+質疑応答
18:30 ホテルチェックイン
19:00-20:30 山陰国際観光協議会主催懇親会
(皆生ホテル ベイサイドスクエア 泊)
3月19日(金)
08:30 ホテル発
11:00-13:00 石見銀山
13:00-14:30 阿部家(武家屋敷)での昼食及び屋敷内視察
14:45-16:45 中村ブレイス
17:00 同発
18:45 出雲空港着
19:20 同発(JAL1672)
20:40 羽田空港着
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用:1人13,000円(全行程交通費、食事、宿泊を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後程参加者にご連絡します。
4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5.担当:山口・矢野(Tel: 03-3501-3405)
6.備考:
(1)写真・TV撮影は担当者の指示に従ってください。
(2)FPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。