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日露首脳会談 | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

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日露首脳会談

投稿日 : 2016年05月20日

ПрезиденсEРосEE¸Ð¸ всE‚ретилсEEсEпремьер-минисE‚ром Японии

 

 

朝日:守るべき原則を大切に

産経:「新発想」でも原則堅持を

日経:日ロ対話深め領土交渉進展の道筋を探れ

毎日:領土打開へ次につなげ

読売:「新アプローチ」で打開可能か

 

 

写真:ITAR-TASS/アフロ

 

 

5月6日、日露首脳会談がロシアのソチで行われた。安倍晋三首相とプーチン大統領は、北方領土交渉など膠着状態の日ロ関係打開へ向け年内に複数回の首脳会談を行うとともに、「新たな発想に基づくアプローチで交渉を精力的に進める」ことで合意した。また、安倍首相はその一環として、エネルギー開発や極東地域の振興策など8項目の対ロ協力プランを提案した。

 

全国紙5紙は、5月8日付けの社説で今回の首脳会談を取り上げた。全体的には「首脳同士の対話継続」の重要性を認めながらも、ウクライナ危機でロシアとの対立を深める欧米諸国との協調の観点から、慎重に対処していくべきだとする主張が大勢を占めた。加えて、議長国を務める伊勢志摩サミットで日本の対ロ政策について説明することが必要であるとも説いた。

 

■ 原則堅持の北方領土問題

 

朝日は、安倍首相の未来志向的な対ロ交渉姿勢を評価しながらも、「守るべき原則を忘れてはならない。領土問題などでの『力による現状変更』を許すことはできない」と原則堅持の立場を明確にした。特に、「力による現状変更」を認めないという普遍的理念を共有する欧米諸国との緊密な連携があってこそ、「ロシアとの対話も成果をあげられる」としている。

 

また、朝日は両首脳が合意した“新アプローチ”についても内容が判然としないとして、「何より首相に求めたいのは『新たなアプローチ』が何を意味するものなのか」と問いかけている。

 

読売は、安倍首相が今年9月にウラジオストクを訪問するなど年内に複数回の日露首脳会談を行うことになったことについて、「領土問題に対する強い熱意がにじむ」としているが、「首相がロシアを何度も連続して訪れるのは異例である」と注文を付けた。プーチン大統領が来日せず、安倍首相が4回連続で訪ロしてきたことへの懸念が背景にある。

 

毎日も、安倍首相による一方的な訪ロについて「外交上異例」であると指摘。国際的に孤立状態にあるロシアが、日本との対話継続を利用しているとして、「強固な日米関係と主要7か国(G7)の結束という大前提を崩してロシアに接近するという選択肢が日本にないことは改めて確認したい」と慎重な対応を求めた。

 

日経も、ロシア側の妥協を促すには「首脳対話の継続が欠かせない」、「首脳間の信頼醸成が肝要だ」としているが、「領土問題をめぐる日ロの隔たりは大きい」との認識だ。特にプーチン大統領が問題解決には恒常的な対話が必要としながら、「それを制限したのは日本政府だとしてきた」と主張してきたことを挙げ、日ロ間の歩み寄りの難易度の高さを指摘した。

 

最も厳しかったのは、産経で「4島返還の日本方針を踏み外す『新発想』は論外である」と釘を刺した。両首脳は3年前の会談で、「双方が受け入れ可能な解決策」を探ることで合意したにもかかわらず、事態はまったく進展せず、交渉は膠着状態に陥ったとして、「領土問題でそうした解決策がみいだせるか」とさえ言い切っている。

 

■ 対ロ協力提案にも厳しい注文

 

安倍首相の経済分野における対ロ協力提案は、①液化天然ガス(LNG)プラント建設などのエネルギー開発、②極東地域での港湾・空港整備や農業開発、③原子力・情報技術(IT) 分野の協力—など8項目に上る。

 

朝日、毎日は対ロ協力案に対して厳しい認識を示した。毎日は、対ロ経済制裁と原油などの資源価格の低下で「多くの日本企業は対露投資に慎重になっている。当面は地道な協力を重ねつつ、長期的な可能性を探るしかないだろう」と分析している。

 

朝日も、最近のロシアの対日接近は「国際社会の足並みを乱す思惑」によるものとの見方に立ち、「日本の協力プランが何をめざし、守るべき外交の原則とどう整合するのか」と疑問を投げかけた。その上で、日本は5月26、27日に開催されるG7首脳会議(伊勢志摩サミット)などを通じて「首相は国際社会に説明する必要がある」とした。

一方、産経は、ロシアがこれまで領土交渉の進展をちらつかせる局面において「必ず経済的実利を狙ってきた歴史を忘れてはならない」と警鐘を鳴らす。特に、ウクライナ南部のクリミア半島を一方的に併合したロシアのやり方は、「『力による現状変更』であり、北方領土と同根の暴挙である。対露の経済協力には慎重であるべきだ」と、批判的な立場を改めて鮮明にした。

 

読売と日経は、対ロ提案を一定程度評価したうえで、経済だけでなく、不安定な北東アジア情勢を踏まえ安全保障面での日ロ協力の可能性を探るべきだとしている。特に読売は「無論、経済協力だけで直ちに領土問題が進展することはない。むしろ、ロシアが中国との対抗上、日本との関係強化に本腰を入れる状況を作り出せるかどうかが、一つのカギではないか」と安全保障に配慮した交渉の進め方に言及した。

 

日経も「距離的に近い日ロには経済協力の潜在性がある」として対ロ協力提案を評価したが、北東アジアでは中国の軍事的な台頭や北朝鮮の核開発問題など不安定な状況があるため、「日ロが安保分野で連携できる余地もある」と指摘し、「領土交渉の環境整備とともに、互いの国益につながる協力は進めるべきだろう」としている。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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