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所有者不明土地問題をどう解決するか

投稿日 : 2017年12月27日

増田寛也 「所有者不明土地が日本中を喰い荒らす」中央公論12月号

 

日本全国に「所有者不明土地」が広がり、高齢化時代の新たな問題として浮上しているが、東京大学客員教授の増田寛也氏は『中央公論』の論文で、大量相続時代を迎え多くの土地が捨てられる問題を分析し、改善策を提言している。増田氏によると、所有者不明土地の増加は、所有者が死亡した際に、土地の相続をきちんと登記しないことによるものだが、「相続登記は不動産登記法上義務ではない」ことが要因だと指摘する。

 

「所有者不明土地」の実態について、増田氏が座長を務める「所有者不明土地問題研究会」の調査によると、広義の「所有者不明土地」は全体の201%を占め、面積に換算すると2016年時点で410haと九州本島(367ha)を超え、2040年までに新たに発生する面積を推計加算すると、全国で720haと北海道本島(780ha)に迫るとしている。また、「所有者不明土地」によるコスト・損失額は2016年だけで約1800億円。17年から40年までの累積では約6兆円に及ぶと推計されている。また、地方部の農地や山林だけではなく、最近では「大都市にある空き家や空き地にもこのような土地がかなり存在している」と指摘した。

 

増田氏は、こうした現象の背景は「地価の下落と相続の発生」、つまり人口減少に伴う"土地神話"の崩壊と、多死時代の大量相続の発生にあると分析する。特に、2030年以降は毎年の死者が15年より40万人増え、40年には年間167万人なると推計されている。このため、改善策として、①所有者不明土地の円滑に利活用、適正な管理の仕組みづくり②不動産登記を促す税制改正や不動産登記の義務化③すべての土地所有者が分かるようにする総合的な情報基盤の構築―を挙げている。増田氏は、大量相続時代を前に「残された時間は短い」とした上で、問題は「国民の土地に対する向き合い方だ」と強調し、この機会に「土地の利活用・管理はどうあるべきかを広く国民が考える」ことへの期待感を示した。

 

 

写真:ロイター/アフロ

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

 

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