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日米中関係/ケネディ前駐日米国大使

投稿日 : 2017年03月13日

日米中関係

 

・松田康博 「強まる米中関係の不確実性」 外交 Vol.41

 

東大教授の松田康博氏は「外交」Vol.41の論文で、トランプ米政権の誕生で米中関係が不透明化しかねないだけに、中国の海洋進出に対しては日米同盟の「ヘッジ」機能だけでなく、「関与」機能を高める必要があると論じている。

 

松田氏は、南シナ海での中国進出の主たる原因は、「米軍の関与の弱さであろう」と指摘。オバマ前政権が講じた対抗措置は2015年10月の抑制的な「航行の自由作戦」だけであって、「それ以上の行動は危機を誘発しかねないとして、ついにとられなかった。(中略)オバマ政権は中国に対する対応を誤ったと評価せざるを得ない」と断じた。その結果、「トランプ政権は『現状変更に成功した中国』という負の遺産を受け継ぐことになる」と分析する。

 

不安定化が深刻な南シナ海について、松田氏は「然るべきときには、中国軍と対峙してでも米軍の艦艇がプレゼンスを見せつける姿勢が必要」とするとともに、日米協力によるフィリピンの警護監視体制の整備、韓国、豪州、ASEAN諸国などとの連携を強化すべきだとする。また、日本の中国への対応については、「不用意に動くのではなく、常に国際社会が日本の言い分を理解してくれるような立場をとり続けることが基本である」とした。

 

日本と米国との関係では、「米国にとっても最も経済的恩恵を受けているアジア地域の安定こそが、米国の国益に直結しているとの理解を共有し、引き続き関与することの意義を説き続けることも必要」だとしつつ、日本にとって日米同盟の「ヘッジ」機能だけでは、中国の海洋進出には十分に対応できなくなるとして、「関与の役割に改めて向かわなければならない」と論じた。

 

 

・岡本行夫/渡部悦和/伊藤俊幸/富坂聰 「米中が激突する日」文藝春秋3月号

 

外交評論家の岡本行夫氏は「文藝春秋」の4者対談で、中国の海洋進出について、1980年代作成の海軍戦略に基づき、「究極的には台湾を含む西太平洋全域の支配を目指していく」ことが前提だとする。その中で、もし台湾有事が起きた場合について、自衛隊の元陸将・渡部悦和氏は、1996年の台湾海峡危機当時のような米軍の圧倒的な優位がない現状においては、米軍が「完全な勝利を収めるのは非常に難しい状況」と分析する。

 

岡本氏は、台湾の問題以上に、尖閣諸島について「日本は早急に手を打つ必要がある」と主張。過去にオバマ大統領が、尖閣諸島が日米安保条約第五条の適用の範囲内であることを明言した後は中国が慎重な姿勢を見せたとし、「一刻も早くトランプ大統領にも同じことを言ってもらわなければならない」と主張する。

 

尖閣諸島をめぐる日中紛争の可能性について、元海将の伊藤俊幸氏は、中国の準軍事組織である武装漁民が尖閣諸島を奪取する可能性が高いとの見方を示す。この場合、日本はもし防衛出動を発令できれば「武力行使」で対抗できるが、現状ではスムーズに発動できる法的整備ができていないと警告した。

 

一方、岡本氏は尖閣諸島での日中紛争を生じないようにするため、「日米安保体制の強化が最も重要」と強調し、「下手な真似をすれば安保条約が即発動される」ということが日米安保の抑止力の根幹だと指摘した。ただ、岡本氏は、不安材料として沖縄県における米軍基地移設問題の混乱を挙げ、「大事なのは、沖縄の問題を円満に解決すこと」と念押し、日米同盟のさらなる強化を求めた。

 

ケネディ前駐日米国大使

 

・船橋洋一 「和解の折り鶴」 文藝春秋3月号

 

写真Natsuki Sakaiアフロ評論家の船橋洋一氏は「文藝春秋」3月号で、2013年11月から3年強、駐日大使として活躍したキャロライン・ケネディ前駐日米国大使について、「彼女ほど、日本の国民を最後まで魅了した米国の大使はいない」と述べた。

 

就任当初、外交経験もなく、日本の専門家でもないケネディ大使に対する懐疑的な意見が日米双方であったとしたうえで、「しかし、(略)赴任して以来の3年余り、彼女は誰もできなかった大きな仕事をした。戦後の日米の和解の総仕上げに向けて静かな、そして効果的な外交を行ったのである」と評価した。

 

船橋氏は、その例として韓国の従軍慰安婦問題に関して、ケネディ大使が舞台裏で活躍したと明かす。具体的には、2015年夏の安倍晋三首相の終戦70年首

相談話をめぐり、安倍首相から発表前の最終稿を見せられた際に、ケネディ大使は「日韓についてさらに踏み込んだ表現があってもよいのではないか」と助言し、そのような表現が談話に盛り込まれたことで、16年末の日韓両国による慰安婦問題合意につながったと評価した。

 

オバマ大統領の広島訪問でも、船橋氏はライス大統領補佐官が原爆資料館の訪問に難色を示していたにもかかわらず、「ケネディはオバマに直接会い、資料館訪問の意義を改めて説き、その結果、訪問が実現した」と強調した。

 

船橋氏は、大使の人柄について「無私に徹し、優雅で慎み深く、温かい人柄こそが彼女の最大の魅力だろう」と述べるとともに、“核のない世界”と“和解”を象徴する折り鶴を長崎市に寄贈した経緯について、「彼女は、折り鶴を長崎にも寄贈したいと考えていた。昨年11月、ワシントンに戻ったとき、オバマ大統領から赤色と桃色の折り鶴二羽を預り、今年初め、それを長崎市長に寄贈した」とのエピソードを紹介した。

 

写真:Natsuki Sakai/アフロ

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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