プレスツアー(案内)

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実施日 : 2013年09月05日 - 06日

案内:プレスツアー「世界無形文化遺産を目指す“海女”」(2013年9月5-6日)

投稿日 : 2013年08月27日

 

三重県:鳥羽市/志摩市
~5千年前から海と共に力強く生きてきた女性たちがいる~

 

 

 

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海女は、素潜りでアワビやサザエなどをとることを生業とする女性で、その歴史は5000年前にさかのぼるともいわれている。海女がいるのは、世界でも日本各地と韓国の済州島だけ。海女という東アジアの価値ある海民文化をユネスコの世界無形文化遺産に登録しようとの取り組みが、2007年から日韓連携で進んでいる。

 

 

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日本で最も海女が多いのが三重県・志摩半島の鳥羽市と志摩市。しかし、漁業の近代化や海洋資源の減少などから海女の数は減少傾向にある。1956年の調査で全国に17,611人いた海女は2010年には2,174人と半世紀で8分の1に激減。そのうち半数近くの973人が鳥羽市と志摩市で活動しているが、高齢化や後継者不足が課題となっている。

 

 

 

 

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海女漁は、今年が20年に一度の式年遷宮の年にあたる伊勢神宮(*注1)とも密接な関係にある。伊勢神宮に天照大神をお祀りした倭姫命(やまとひめのみこと)が鳥羽市の国崎(くざき)を訪れた際、海女おべんから差し出されたアワビの美味しさに感動し、それ以来伊勢神宮に献上されるようになったと言い伝えられている。現在も、年間4,000~5,000個ものアワビがこの地域で海女によって獲られ、神様の食べ物として伊勢神宮に奉じられている。

 

 

なぜ素潜りで漁をするのが女性たちなのか。女性は男性と比べて皮下脂肪が多く、寒さに長く耐えられるからなど諸説ある。いずれにせよ、海女は古代からある女性の自立した生業だった。共に漁を行う海女の集団は地域コミュニティの要としても機能してきた。

 

 

最近では、「海女」を切り口にした過疎地域の活性化や観光の取組みも盛んだ。海女の守り神である小さな社には全国から女性たちが訪れている。その日に獲れた海の幸を海女自らが調理しふるまってくれ、漁の様子や伝統について話が聞ける「海女小屋体験」も人気だ。 img5208e753702f5

 

*注1:伊勢神宮について
(中国語) http://www.isejingu.or.jp/shosai/chinese/index.htm
(韓国語) http://www.isejingu.or.jp/shosai/korean/index.htm

 

 

 

 


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本プレスツアーでは、日本で最も多い約1,000人もの海女が存在する鳥羽・志摩地方を訪れ、現代に生きる海女たちに会い、漁の様子を間近に観察する。また海女を切り口にした地域活性化事例や、伝統を次世代に残そうと奮闘する人々も取材する。これらを通じて、数千年前から連綿と今に伝えられ、日本の歴史・風土・信仰を語る上でも特筆すべき、「海女文化」に触れる。
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※本プレスツアーは海女振興協議会が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画協力しています。

 

 

 

 

 

【 取材内容 】

 

1.海女振興協議会 会長 石原 義剛(いしはら・よしかた)さん
~日韓連携でユネスコ世界無形文化遺産を目指す~
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(日本語) http://www.umihaku.com/
(中国語) http://www.umihaku.com/china.pdf
(韓国語) http://www.umihaku.com/korea.pdf
2007年、日韓で連携して「海女」という東アジアの価値ある資源を「世界無形文化遺産」に登録しようとの取組みが始まった。2012年には鳥羽・志摩の海女と、行政(三重県・鳥羽市・志摩市)、漁協、観光・商工団体が海女振興協議会を設立。韓国・ヨス万国博覧会や、同じく韓国・済州島での「海女祝祭」に地域の海女たちが参加するなど、日韓の海女の交流を深めてきた。同協議会の会長を務めるのは鳥羽市にある「海の博物館」館長の石原義剛さん。石原さんは海女さん達との長年の交流によって彼女たちのリアルな生き様を知るスペシャリストだ。海という底知れぬ力を持つ自然と共に生き、時には死と隣り合わせにもなる潜水を行う海女。そのなかで、漁の安全と大漁を願う魔除けやまじない、自然の恵みを神に感謝する多くの祭りを守り伝えてきた女性たち。自立した女性の生業。様々な面から海女文化の魅力を伝えている。
*本プレスツアーでは、冒頭で石原さんに文化遺産として「海女」を守っていく意義について聞く。さらに石原さんの案内で海の博物館を見学し、海女文化への理解を深める。

 

 

 

2.海女漁(漁船の上から間近に撮影)
~原初的かつ持続可能な漁法~

img5208c8b29e9b4空気ボンベを着けず、身体ひとつで素潜りをする海女漁は動力機械や情報通信技術に依存した近代漁法からはかけ離れた原初的漁法。50秒以内 “50秒の勝負”といわれるように息を止めて50秒という短い潜水時間で多くの獲物をとるために独特の潜水技術を持つが、厳しい潜水作業ゆえ、漁期間が終わると10キロ痩せるともいわれる。地域ごとに潜水の日数や回数、時間などの制限が定められており、資源の枯渇を防止し、海の生態系の維持を主眼においた持続可能な漁業モデルともいえる。
海女の間では、約300年も前から資源を取り尽くさないようとする知恵が守られてきた。現在三重県では、アワビ漁については9月15日~12月31日までを禁止期間とし、殻長10.6センチ以下は採捕してはならないと定めている。
*本プレスツアーでは漁船に乗り、漁を行う海女たちの姿をつぶさに取材する。海女保存会の会長も務める海女暦32年の志摩市の海女、三橋まゆみさん(64歳)らの漁に同行する。また漁の合間の休憩中に話を聞く。

 

 

 

3.海女小屋体験/ベテラン海女 松井 百合子さん(83歳)、山村 美佐江さん(80歳)
~女性中心のコミュニティ形成の場~

http://www.ama-koya.net/ 
img5208cac56dcde海女小屋は、厳しい潜水作業の後の冷えた体を温め癒すとともに、海女たちの団らんと共同生活の場であり、女性が地域コミュニティの中心を担うという側面を育んだ。海女は古代からの女性の自立した生業であるとともに、漁村共同体の要でもあったのだ。最近では、その日にとれた海の幸を海女自らが網焼きで調理しふるまう観光用の「海女小屋」も作られ、人気を集めている。漁の様子や伝統などについて海女から直接聞くことができる。50年以上厳しい自然のなか海女漁をしていた80代の海女さん達は生命力に溢れ、笑いが絶えない。訪れた人々からは「話を聞いているだけで何故か元気になる」と大好評だ。
*本プレスツアーでは、海女小屋を訪れ、80代のベテラン海女さんに話を聞き、アワビなど海女が獲った新鮮な海の幸を昼食に食す。

 

 

 

4.三世代海女 中川家
~観光キャンペーンに大活躍の海女さん一家~

(日本語) http://www.koitoba.com/
(中国語) http://tobakanko.jp/cn/index.html
(韓国語) http://tobakanko.jp/kr/index.html  
鳥羽市は2012年に、海女漁に従事する中川家の三世代の女性たちを市の観光キャンペーンガールに任命した。海女暦55年以上の祖母・中川寿美子さん(74歳)、海女暦17年の母・早苗さん(41歳)、そして潜り始めて約4年になる大学生の娘、静香さん(22歳)は、イメージキャラクターとしてポスターに掲載されたり、イベントに出席したりと大活躍だ。娘の静香さんは、真珠の産地としても有名な鳥羽にちなんで、オランダの画家フェルメールの絵画「真珠の耳飾りの少女」を模したポスターにも登場している。
民宿を経営している中川家。元々は祖母の寿美子さんだけが海女漁をしており、獲れた海の幸を民宿の目玉としてお客さんに出していた。お客さんが漁の様子を直接海女さんに聞きたいと寿美子さんに語りかける様子を見て、嫁の早苗さん、孫の静香さんも潜り始めた。早苗さんは「今でも一番漁獲量が多いのは74歳のおばあちゃん。海が荒れても、おばあちゃんは深いポイントまで行けて、圧勝です。かないません」と笑う。「自分が獲ってきたものを民宿のお客さんに直接味わって貰い、喜ばれるのが嬉しい」という早苗さんは、「周りで一緒に潜る人が減っていくのは淋しいので、海女が保存されていって欲しい」と願っている。
*本プレスツアーでは、中川家三世代の海女さんにインタビューする。三世代それぞれの海女漁への想いや、全国の海女さんが鳥羽に集結した「海女サミット」などについて聞く。
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5.“石神さん”(神社)/相差町内会/鳥羽商工会議所
~海女の守り神が、女性に人気のパワースポットに。地域活性化のカギ~

http://www.toba-osatsu.jp/kanko.htm#gozaya  
100人の海女が暮らす鳥羽市の相差(おおさつ)町は人口1,400人ほどの過疎のまち。ここに “石神さん”と呼ばれ、古くから海女の信仰の対象であった小さな社がある。最近では「女性の願いを一つ叶えてくれる」として全国から女性を中心に年間16万人の観光客が訪れる。海女が海の魔物から身を守るために身に着けている魔除けをモチーフにしたお守りも人気だ。このお守りを持ってアテネオリンピックに臨んだ女性アスリート(野口みずき)が金メダルを獲得、石神さんが一躍パワースポットになったのだ。参道には店舗も増え、まちに活気が増した。鳥羽商工会議所が運営するお土産屋・カフェ「海女の家 五左屋(ござや)」では、海女の獲る海藻や地元産牡蠣エキスが入った醤油などのオリジナル商品を開発。「海女」を切り口にした地域振興に一役買っている。
*本プレスツアーでは、地域の住民で作る相差町内会の会長、中村幸照(なかむら・ゆきてる)さんの案内で、海女の守り神“石神さん”とその参道を歩く。また地域活性化の拠点となっているお土産屋・カフェ「海女の家 五左屋(ござや)」も訪れる。
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【 実施要領 】

 

1.日程案: 2013年9月5日(木)~6日(金)

 

1日目(鳥羽市)
7:50       東京発
11:20      鳥羽着
12:00-12:30  昼食(海の博物館)
12:30-14:00  海女振興協議会 会長 石原義剛さん 
          海の博物館館内視察
14:30-15:30  三世代海女さん「中川家」
          中川寿美子さん、早苗さん、静香さん
15:45-17:00  石神さん(案内:相差町内会 会長 中村幸照さん)
          鳥羽商工会議所「海女の家 五左屋(ござや)」

 

2日目(志摩市)
8:30       海女漁取材
          海女保存会 会長 三橋まゆみさんの海女グループ
          (地元漁師さんのご協力で漁船より取材)
13:00-14:30  海女小屋体験
          ベテラン海女 松井百合子さん/山村美佐江さん
19:00(仮)   東京着

 

2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用: 1人13,000円(全行程交通費、宿泊費、食費を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPCJ担当: 吉田知加(TEL: 03-3501-3405)

 

6.備考:
(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2)主催者およびFPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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