プレスツアー(案内)

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実施日 : 2010年04月20日 - 21日

【プレスツアー】2010年4月20日‐21日: 安心・安全な農業、災害食に取り組む 「食のにいがた」

投稿日 : 2013年08月22日

安心・安全な農業、災害食に取り組む 「食のにいがた」
~ APEC食料安全保障担当大臣会合開催地から発信 ~ 

 

古くから港町として栄え、豊かな自然と高い都市機能が共存するまち、新潟。日本海に面し、信濃川、阿賀野川、福島潟といった多くの水辺空間、緑豊かな田園環境に恵まれ、米、野菜、果物などの農産物の一大生産地として知られる。今回のツアーでは、農業に携わる新潟の人々の姿を追い、新潟の食の魅力、食の供給における先進的な取り組み、都市としての今後の発展性に触れる。

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古くから港町として栄え、豊かな自然と高い都市機能が共存するまち、新潟。日本海に面し、信濃川、阿賀野川、福島潟といった多くの水辺空間、緑豊かな田園環境に恵まれ、米、野菜、果物などの農産物の一大生産地として知られる。また、人口81万人を有する本州日本海側最大の拠点都市であり、その拠点性と発展性を活かし、東アジアへのゲートウェイとして更なる発展が期待される。

 

その新潟市において今年10月16日~17日、APEC食料安全保障担当大臣会合が開催される。新潟市は日本一の米どころとして食料自給率63%を誇り、これは2005年現在17政令指定都市中、第一位である。また、新潟県全体としての食料自給率は2007年現在99%で、先進国で最低水準と評される日本の食料自給率41%(2008年現在)と比べ、突出して高い数値である。先日、政府が閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」では、2020年度に食料自給率を50%に引き上げる目標が設定されており、これを達成するために新潟は大きな役割を担っていると言える。また、食料価格の高騰、地球温暖化による影響など、世界的な食料安全保障問題への対応が急がれる。

 

新潟では多くの人々が様々なかたちで農業に関わっており、「安心、安全で美味しい食」を作り、届けることに懸命に向き合っている。また、新潟県中越地震(2004年)、中越沖地震(2007年)と2度の震災を経験し、災害時における「食の供給」に力を入れ、日本をリードする取り組みを行っている。今回のツアーでは、農業に携わる新潟の人々の姿を追い、新潟の食の魅力、食の供給における先進的な取り組み、都市としての今後の発展性に触れる。 

 

※本ツアーは、2010年日本APEC新潟 食料安全保障担当大臣会合開催推進協議会が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画協力しています。

 

【取材内容】

 

1.野中振挙・新潟市農林水産部長によるブリーフィング:「新潟の農業の現状と課題」

新潟市のホームページへ 
北方文化博物館のホームページへ

 

 

日本の食料基地として重要性が高まっている新潟。新潟市では2008年に横浜市との間で、「危機発生時における相互応援に関する協定」を締結、どちらかの市で災害が発生した場合には相互応援・協力を行うとしている。関東で災害が発生した場合には、新潟から食料が首都圏に供給されることになる。他方で、少子高齢化や産業構造の変化に伴い、日本の農業を取り巻く状況は厳しさを増している。先日閣議決定された政府の「食料・農業・農村基本計画」では、兼業・零細企業を含め「全ての農業者が農業を継続できる環境を整備する」方針を明記し、規模拡大や効率化に重点を置いたこれまでの農政からの転換を打ち出している。ブリーフィングでは新潟の農業の特徴と現状とともに、こうした課題にどのように取り組もうとしているのかについて、新潟市農林水産部長から話を伺う。

 

同ブリーフィングは、「豪農の館」の別名を持つ、財団法人北方文化博物館で行われる。同館は、江戸時代の中期に、農から身を起こして豪農となり、巨万の富を築いた伊藤家一族の邸宅である。◇ツアーでは、ブリーフィング後、新潟産コシヒカリを使った羽釜炊飯を体験し、そこで炊いたお米を主食に昼食を取る。

 

 

2.人と自然が調和する「自然農業」に取り組む、家族経営の小さな農園

宮尾農園のホームページへ

 

「人間と自然が完全に調和した農業を実践したい」と17年前に脱サラし、父から農業を引き継いだ宮尾浩史代表(45歳)。200年以上続く宮尾農園の10代目として、昔ながらの農業の在り方を突き詰めた。たくさんの生き物とともに生き、作物も人も健康になれるという「自然農業」を実践している。土着微生物、落葉、米ぬかなどの自然の恵みを活かし、虫、ミミズ、微生物などの多様な生物が生きる田んぼでお米(コシヒカリ)や野菜を育てる。また、非遺伝子組換えなどの安全な飼料だけを与えて育てた健康な鶏から健康な卵を収穫する。自然農業とは、将来に豊かな大地を残すための循環型農業でもあり、米作りの中から生み出される、屑米、モミガラ、稲ワラなどは鶏の自給飼料となり、衛生的で快適な養鶏の環境作りに役立つ。稲作、畑作、養鶏という農作業が有機的に結びつき、地域の自然が循環される。それはまた、地域の自然保護に繋がる。

 

家族経営の小さな農園でありながら、こうした手間のかかる自然農業にこだわり、想いを同じくする地域の農家と連携・協力して、安全・安心で美味しい農作物を消費者に届ける。収穫期などの繁忙期には、約70名の個人、周辺の農家が「援農」にやってくるという。宮尾代表は「(地域で得られる)餌の自給率は80%。小さな農園スタイルだからこそ可能」と言う。また、「穀物の高騰化、鳥インフルエンザなどの周りの状況に対応するために、こうした小さな農園の存在が必要。大きなスタイルと小さなスタイルが共存し、多様性ある農業が求められる」と農業の在り方について思いを巡らす。◇ツアーでは、宮尾代表に話を聞くほか、田んぼや鶏舎を見学する。

 

 

3.「食」を通じた社会貢献、佐藤食品工業㈱が行う地域連携型の災害時支援

佐藤食品工業㈱のホームページへ

 

温めてすぐに食べられる手軽さが受け、全国的なヒット商品となったパックご飯(包装米飯)。この業界で30%以上のトップシェアを誇る佐藤食品工業は、最新の技術を駆使した独自の製法で、微生物の混入を防ぎ、炊き立てのごはんをそのままパックした無菌化包装米飯、「さとうのごはん」を製造・販売する。UHT(超高温短時間加熱)処理により、瞬時に加熱殺菌し、ふっくらとした炊きあがりのごはん。常温で6ヶ月間保存可能で、商品によっては、いつ、どこで、だれが、どのようにして作ったかが分かる、トレーサビリティシステムを運用する。

 

「ごはんを製造することを通じて社会貢献したい」とする同社は2005年、新潟市と「災害時における食料供給の協力に関する協定」を結び、災害時に市民生活の早期安定を図るため、食料供給などに積極的に協力すると約束。新潟県中越沖地震(2007年)では、災害時緊急支援用のパックご飯(2万食)が工場から作りたての状態で被災地に送られた。製造日から2日間は熱を加えずにおいしく食べることができるため、電気や水道などのインフラが復旧していない、被災直後の現場では重宝された。こうした支援体制は、新潟市に隣接する新発田(しばた)市、聖籠(せいろう)町との間でも整い、また新潟県、東京都、横浜市からも要請があれば支援できる体制にある。◇ツアーでは、パックご飯を製造する東港工場を訪れ、「日本の食文化を大切にしたい」という佐藤功社長にお話を伺うとともに、製造工程を見学する。

 

※工場内での写真・TV撮影は一部制限があります。撮影可能な場所については、現地関係者の指示に従って下さい。

 

 

4.泉田裕彦・新潟県知事、篠田昭・新潟市長による合同記者会見

新潟県のホームページへ  
朱鷺メッセのホームページへ

 

G8労働大臣会合(2008年)、国連軍縮会議(2009年)に続き、新潟で開催される重要な国際コンベンションとなる、APEC食料安全保障担当大臣会合。同会合について泉田知事は、「コンベンションシティ新潟という機能を高めてくれるものと確信し、この流れをさらに強固なものにし、東アジアへのゲートウェイ機能を新潟県全体で果たしていけるようにしたい」と意気込む。他方、篠田市長は、平成22年度を「政令市4年目を迎え、成熟を図る重要な年」と位置づけ、新年度予算では、「東アジアの活力を呼び込む新潟づくり」、「豊かな食と田園環境を活かした新潟づくり」などの5つの柱を打ち出した。新潟の拠点性と発展可能性を最大限活用し、成長著しい東アジアの活力を呼び込みたい、新潟の食の魅力を内外に発信し、食の発信基地となるフードバレーの推進に向けた取り組みを充実させたい、との展望を抱く。

 

 APEC食料安全保障担当大臣会合を控え、泉田知事、篠田市長が「食の新潟」から世界にどのようなメッセージを発信するのか、同会合が開催される「朱鷺メッセ」で話を聞く。◇ツアーでは、朱鷺メッセ展望室から、夕日が沈む中、広大な新潟平野、信濃川、日本海などの雄大な眺めを一望する。(朱鷺メッセは、展示会や各種会議の開催から宿泊までを1つの空間で行うことができる国内有数の複合コンベンション施設である。)

 

 

 

5.被災者の立場に立った「災害食」、新潟大学地域連携フードサイエンスセンター

新潟大学地域連携フードサイエンスセンターのホームページへ
ホリカフーズ株式会社のホームページへ

 

阪神淡路大震災(1995年)で食料をうまく供給できなかったという苦い経験から、食品業界の声を受け、1,000社以上の食品関連企業が集積する新潟で、被災者の立場に立った「災害食」を提供しようという動きが活発化している。その核となるのが、2003年に設立された新潟大学地域連携フードサイエンスセンター。同センターでは、新潟大学の様々な学部の研究者が集結し、産学官連携のもと、「新潟県食品産業の発展に貢献したい」との思いで、食に関する「知」の改革、改善、啓発を行う

 

同センターは、2度の震災の経験を通じ、災害復興を食品という立場から見つめてきた。地元の企業と連携し、被災地で必要とされる「災害食」のほか、超高圧処理装置を用いた食品加工、食品の品質・おいしさの研究など、幅広い食の研究・開発を行う。新潟県魚沼市にあるホリカフーズ株式会社は、同センターとの協力の上、ライフラインが寸断された被災地でも普段と変わらない温かくて美味しい「レスキューフーズ」を商品化した。◇ツアーでは、別府茂・新潟大学客員教授(ホリカフーズ㈱取締役)より、災害食に関するレクチャーを受け、災害食の調理・試食も行う。また、米品質評価、超高圧装置による食品加工の実験を見る。

 

 

6.新潟の自然が育むテロワール、100%自家栽培の国産ワイン 「カーブドッチ・ワイナリー」

カーブドッチ・ワイナリーのホームページへ 
ワイナリー「フェルミエ」のホームページへ

 

日本海を望む新潟市角田浜の伸びやかな丘陵の上に、欧州スタイルの本格的なワイナリー、「カーブドッチ・ワイナリー」の緑が一面に広がる。7ヘクタールもの広大なブドウ園には、シャルドネ、カベルネ・ソービニヨン、ピノ・ノワールなどのヨーロッパ系の品種が栽培され、100%自家栽培・自家醸造の「本物のワイン作り」が行われる。このワイナリーが誕生したのは18年前。鹿児島出身の落希一郎(おち・きいちろう)社長(62歳)が、ドイツで学んだワイン作りを活かし、日本で本物のワイナリーを創りたいと、新潟に移り住んだことに始まる。新潟の海岸一帯は、フランス・ボルドー地方に似て砂地で水はけがよく、夏は暑いが雨は少ないなど、ぶどう栽培に理想的な土地である。

 

同ワイナリーが目指すのは、消費者と作り手が直接つながるワイナリー。そのため、ワインの年間生産量は約7万本に限られ、「少量生産、少量消費」で運営される。こうしたワイン作りや経営スタイルに魅了される人は年々増えており、ぶどう1本につき1万円でオーナーを募集する「ぶどうの苗木オーナー制度」の会員数は1万4千人を超える。また、イングリッシュガーデン、レストラン、温泉付き宿泊施設などを備え、自然志向の大人のファンを獲得している。落社長は、本格的なワイナリーの経営を試みる人材の育成にも注力し、「ワイナリー経営塾」も開く。◇ツアーでは、落社長と、「ワイナリー経営塾」の一番弟子である、ワイナリー「フェルミエ」の本多孝代表に話を聞くほか、ぶどうの栽培地、醸造室、蔵などを見学する。その後、挙式場やコンサートホールとして親しまれているカーブドッチ・ホールで昼食を取る。

 

 

7.安心、安全、健康を人々に贈る、農業生産法人(有)グリーンズプラント巻

グリーンズプラント巻のホームページへ

 

 

新潟が指定産地となる「みつば」をはじめ、約20種類の料理用フレッシュハーブ、11種類のベビーリーフを生産、販売する、グリーンズプラント巻。東北・北陸地方では最大規模の野菜工場である10,000㎡の大型ハウスを含む計3つの農場を保有し、年間23万ケースのみつば、24万パックのフレッシュハーブを県内外の市場に出荷する。フレッシュハーブは、各市場からの注文販売を行い、まちのレストランのシェフが直接仕入れに来るほどの人気ぶりだ。

 

「安心・安全な野菜を提供し、健康を人々に贈る」をモットーとする若林馨社長(65歳)は、新しい農業技術を取り入れながら、健康で栄養成分をしっかりと持った、安心・安全な野菜を消費者に届ける。例えば、野菜の栽培に使う水は全て特殊なセラミックスを使った「FFCテクノロジー」という技術で活性化した上で使用する。この技術により、水に発生する細菌、野菜の傷みやすさなど、水耕栽培特有の問題が解決される。スーパーからの返品が減り、「棚持ちが良い」と評判を呼んだ。「野菜の成分のほとんどが水だから栽培に使う水は本当に良い水でなければなりません。野菜にとって良い水は、それを食べる人々を健康にします」と若林社長は言う。海外産の安価な野菜が市場に出回る中、水にこだわり、味と品質で勝負をしてきた同社の生き残り戦術を伺う。◇ツアーでは、若林社長の案内により、水耕栽培を行う角田浜農場を見学する。

 

【実施要領】

 

1.日程:2010年4月20日(火)~21日(水)

 

<第1日目:4月20日(火)>

 

7:48 東京駅発 (JR新幹線Maxとき307号)
9:51 新潟駅着 (貸切バスで移動)
10:30-12:30 北方文化博物館 
(ブリーフィング:新潟の農業の現状と課題)
、昼食(羽釜体験)
13:00-14:30 宮尾農園 取材
15:00-16:15 佐藤食品工業株式会社 取材
17:15-18:05 泉田裕彦・新潟県知事、篠田昭・新潟市長による合同記者会見
18:15-18:30 朱鷺メッセ (31階展望室)
18:40- 夕食懇親会
ホテル日航新潟 泊)

 

<第2日目:4月21日(水)>

 

8:50 ホテル発 (貸切バスで移動)
9:30-11:30 新潟大学地域連携フードサイエンスセンター 取材
12:00-14:30 カーブドッチ・ワイナリー 取材、昼食(カーブドッチホールにて)
14:40-16:10 農業生産法人(有)グリーンズプラント巻 取材
17:29 燕三条駅発 (JR新幹線Maxとき340号)
19:20 東京駅着

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:1人13,000円(東京-現地往復交通費及び、宿泊、食事を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、直接参加者にご連絡します

 

4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります

 

5.FPCJ担当者:矢野、濱(TEL:03-3501-5070)

 

6.備考
1)写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従ってください。
2)2010年日本APEC新潟 食料安全保障担当大臣会合開催推進協議会、及び当センターは、ツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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