実施日 : 2012年11月27日 - 28日
報告:「プレスツアー:九州のイノベーターたち」(2012年11月27日-28日)
投稿日 : 2013年08月24日
福岡市/有田町
アジアの国々に近く、古くから日本の玄関口として栄えてきた九州。
九州は、外国の新しい文化を受容し、日本の文化を外に送り出してきた歴史ゆえ、オープンな風土が培われてきたと言われています。
当センターでは、九州の福岡市と有田町を訪れ、ユニークな発想で日本を元気にしている様々な分野の“イノベーター”たちを取材するプレスツアーを企画しました(取材先詳細はこちら:プレスツアー案内)
本ツアーには、韓国、台湾、シンガポール、ドイツ、スイス、スペイン、クウェート、ブラジルの9か国/地域の新聞社や通信社等に所属する、9名の記者が参加しました。
1日目は福岡市(福岡県)を訪問。
最初に、伝統工芸「博多人形」の第一人者、中村信喬さんの工房を訪ねました。2010年にはローマ法王に招かれて自身の作品を献上したという中村さん。「作り手が持つ人のことを想って作る、祈りを形にしたものが日本の人形」という中村さんの言葉に、記者たちは熱心に耳を傾けていました。
次に、最先端のロボット開発で世界的に注目されているローカル企業、株式会社テムザックを取材しました。社員数20名ながら、世に送り出してきたサービスロボットは30種類にも及びます。常務取締役COOの久米康歳さんに、「日本にロボット産業という新たな産業を興したい」という情熱溢れる話を聞いたあと、介護用ロボットや災害用レスキューロボットなど、多種多様なロボットを実際に動かすデモンストレーションを見ることができました。
その後、福岡市 高島宗一郎市長の会見に臨みました。市長は、PRの一環で、福岡市の8番目の行政区として創設したバーチャルな「カワイイ区」について説明。福岡の魅力を「カワイイ」という切り口で紹介しました。また会場には、市長と共にシンガポールを訪れて同市のPRも行っているローカルアイドルグループ「QUNQUN」が登場。歌を披露すると共に、福岡市の魅力について語ってくれました。
1日目の最後に一行が訪れたのは、福岡市内の屋台「なかちゃん」。市が屋台営業の適正化に向けて施行を計画している「屋台条例」に関連した取材を兼ね、豚骨ラーメンをはじめとする福岡グルメや、屋台ならではの開放的な雰囲気を堪能しました。
※1日目の福岡市取材は、福岡市との共催事業として実施しました。
2日目は有田町(佐賀県)を訪問。
最初に、400年の有田焼の歴史について、有田町歴史民俗資料館 尾崎葉子館長にお話を聞きました。1600年代に豊臣秀吉の軍によって朝鮮半島から連れてこられた陶工・李三平が日本初の磁器を生み出したという起源、ヨーロッパに向けて数多くの磁器を輸出した17世紀の隆盛、バブル崩壊以降の苦戦する焼き物産業の現状などについて説明を受けました。
その後、名門窯元「源右衛門窯」の資料館を訪れ、17世紀に有田からヨーロッパに輸出された絢爛豪華な磁器の数々も見学しました。
次に、「源右衛門窯」の工房を訪問。職人の手によってひとつひとつ丁寧に作られる有田のものづくりの現場を間近に見学することができました。記者達は熱心に写真やビデオを撮影していました。
さらに、低迷する有田焼業界を活性化しようと、世界初の磁器による万華鏡を生み出した、佐賀ダンボール商会の社長 石川慶藏さんへのインタビューを行いました。源右衛門窯を初めとする地元の窯元などと協力し、高品質・高価格な新商品で新たな市場を開拓している石川社長のアプローチに、記者達は高い関心を示していました。
最後に、デザイナーの柳原照弘氏を迎え、「Arita 1616」という新たなコンセプトのブランドで世界市場展開を進めている株式会社百田陶園の社長 百田憲由さんを取材しました。コストのかかる絵付けをあえて施さず、まずはシンプルなデザインの低価格な商品で有田焼の良さを世界市場にアピールするというのが百田さんのアプローチ。記者達は百田さんの手法を、低迷する地場産業を活性化する一つの方策として捉え、熱心に質問を寄せていました。