実施日 : 2012年11月02日 - 03日
報告:石川プレスツアー「世界農業遺産・能登の里山と現代的スタイルで蘇る匠の技」 (2012年11月2-3日)
投稿日 : 2013年08月24日
国内最大級の伝統的工芸品の祭典「全国伝統的工芸品フェスタ」が石川県で開かれるのを機に、同県へのプレスツアーを実施しました。同県の伝統工芸及び、昨年世界農業遺産に登録された「能登の里山・里海」を取材する今回のツアーには、中国、香港、韓国、スイス、イタリアから6名の記者が参加しました。
能登の里山・里海(1日目)
ツアー一行はまず、美しい農村の原風景が残る能登の集落を訪れ、過疎化・少子化が進む現状から集落を再生させようとする「春蘭の里」の取組みを取材しました。「春蘭の里」では、地元の30軒の農家が、自宅を改装し、「農家民宿」として宿泊客を受け入れるとともに、能登の里山で体験できる様々なグリーン・ツーリズムを提案しています。こうしたビジネスが軌道に乗り、実行委員の多田喜一郎氏によれば、かつて外からの来訪者がゼロだった集落に、今年は、年間1万人の来訪者が見込まれています。ツアーでは、多田氏から取り組みの概要につきお話を伺うとともに、囲炉裏や五右衛門風呂がある農家民宿を視察し、宿泊客にも提供されている地元の食材と輪島塗の漆器を使った昼食を堪能しました。また、能登の人々の温かさに感銘を受け、台湾から移住して実行委員のメンバーに加わった汪銘皓さんへもインタビューを行いました。
この他、石川県がトヨタ自動車と共に手掛ける、環境、観光、ITを組み合わせた日本初の試み「能登スマートドライブ・プロジェクト」を取材しました。記者らは、プロジェクト概要につき話を聞くとともに、同プロジェクトで導入されているトヨタのプラグインハイブリッド車・プリウスにも試乗しました。
石川の伝統工芸(1日目及び2日目)
輪島塗や九谷焼といった石川県が誇る伝統工芸の生産量が減少している中、今回のツアーでは、現代的なデザイン・スタイルを取り入れた新たな伝統工芸のかたちを提案する職人、若手作家、女性たちの活動に焦点を当てました。具体的には、輪島塗の手法を使ってスピーカーや楽器といった作品を生み出している塩安漆器工房、輪島塗の漆器を使った現代的なコーディネートを提案している女性グループ「彩漆会」、九谷焼の手法を用いて、USBメモリ、自転車、チョロQなどを制作している九谷塾の取組みを取材しました。また、金沢で開催中の「2012全国伝統的工芸品フェスタin石川」を視察したほか、若手工芸作家の研修施設である卯辰山工芸工房、金箔の生産を手掛けるさくだ、江戸時代の建物が現存する東茶屋街にも訪れました。