実施日 : 2008年10月17日 - 18日
報告(動画):2008年10月17-18日【岩手プレスツアー(クリーン・エネルギーのまち「葛巻」】
投稿日 : 2013年08月24日
~小さな町の大きな挑戦と課題:岩手の大地と人々が育む、時空を超えた「自然との共生」~
■ミルクとワインとクリーンエネルギーのまち「葛巻」(2008年10月17-18日)
葛巻町は、北緯40度、岩手県北上山地の北部に位置し、標高1,000メートル級の山々に囲まれた山間地帯。「東北一の酪農郷」として知られ、人口は約8000人。
■鈴木重男 葛巻町長
私どものまち「葛巻(くずまき)」は、ミルクとワインとクリーン・エネルギーの町です。
食料、環境、エネルギーにしっかりと対応する町づくりを目指しております。
21世紀、地球上で最も大事だといわれる食料の問題、環境の問題、エネルギーの問題に今後も全力で取り組んでまいります。
■上外川(かみそでがわ)高原風力発電所
標高1000メートルを超える上外川高原に発電出力1,750kWの風車を12基設置。年間の予想発電量5,400万kWは約1万6千世帯分の電力消費量に相当する。電源開発(株)出資の(株)グリーンパワーくずまきが2003年に建設し、運営しています。
~株式会社グリーンパワーくずまき 佐瀬見司 所長~
デンマーク製のV66型という風車です。
(V66というと、)この66というのはブレードの直径です。
出力は1基1,750kW、全部で12基あります。
ここで発電した電力は、すべて東北電力に送ります。
ここから約12キロくらい離れたところに変電所があり、そこまで埋設ケーブルで行っています。
冬は非常にいい風が吹いて、一年間に5,400万kWの出力を計画しています。
上外川高原は眺望もすばらしく、新たな観光資源としても期待されます。
■町立 葛巻中学校 太陽光発電システム
~葛巻町農林環境エネルギー課 吉澤晴之 主任主事~
町としては、3基の風車をつくって町のシンボルができた。
次は住民の身近にも何か新エネルギーの設備がほしい、身近にあることで新エネルギーの普及をはかれるだろう。
更に、学校に設置することで、生徒たちの環境教育にも役立つだろうと、そのような目的をもってここに設置しました。
~葛巻中学校 サッカー部の皆さん~
(問:ソーラーパネルを知っていますか。どう思いますか。)
はい。良いと思います。
太陽光で電気を起こして、蓄えて、学校の電力を補っている。
~(「太陽光発電システム表示板」の説明:吉澤 主任主事)~
いまこれは21.8kW。今、変わりました。これが1時間続けば、22.1キロワット/アワーの発電ということになります。
年間の消費量はだいたい20万キロワット/アワー。
事業費については、4600万円かかっています。2分の1は国から補助をもらって、建てました。
今後、何か新しい公共施設を建てた際には、太陽光は当然そうですが、ペレットボイラーですとか、そういったクリーン・エネルギーの設備を必ず付けていくという計画はあります。
■くずまき高原牧場 バイオガスプラント
~葛巻町農林環境エネルギー課 吉澤晴之 主任主事~
こちらの牧場で育成している牛は、日本全国からお預け頂いている仔牛がおります。
年間で1800頭ほどお預け頂いていますが、その牛たちは夏場は山の上に放牧に出しています。10月末になると山から降りてきて、そちらの赤い屋根の牛舎におります。
葛巻は1万1千の牛がいますが。全部の牛から出てくる糞尿は1日400~500トンという量になります。その糞尿をしっかり管理、適正に処理しようという目的でこのプランとを建設しました。
良質な肥料をつくる過程でエネルギーを利用する。或いは、メタンガスはCO2の2倍以上の温室効果をもっていますので、それを空気中に出さずにエネルギーとして利用する。そういった様々な目的をもったプラントです。
■ 鈴木重男 葛巻町長
都市に住む人々に対して、山村では、食料もつくれる、環境も保全できる、エネルギーもつくれる、しかもクリーンなエネルギーをつくれるのですということを、実際にやってみせる。
葛巻は食料生産もできます。食料自給率は201%です。東京は1%、日本は40%しかありません。岩手の葛巻のようなところでは、食料自給もできます、環境も保全できます、次の22世紀にしっかりとつなげることができます。
更にはエネルギーまでつくれるのです。風力、太陽光、木質、メタンのみならず、薪、炭といったようなものまでわが町、こういった山村にはあるということを実証しながら展示をする、そういう役割を果たしていると考えています。