プレスツアー(報告)

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実施日 : 2015年06月02日

報告:和紙プレスツアー(埼玉県小川町)

投稿日 : 2015年06月12日

DSC_0004本ツアーでは、埼玉県小川町と東秩父村を訪ね、その地で受け継がれてきた伝統工芸「小川和紙」を取材しました。午前中は小川和紙そのものについて学び、紙漉きの実演を見学・撮影しました。また、小川和紙で洋服を制作しているデザイナーにも話を聞きました。午後からは、戦時中に「風船爆弾」のために量産されていたという小川和紙の別の姿に迫りました。

FPCJ企画・主催の本ツアーには中国、台湾、ロシア、カザフスタン、フランス、スイス、米国の7か国/地域から11名の記者が参加しました。

 

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1. 後継者育成の必要性が叫ばれる小川和紙・細川紙

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一行はまず、和紙の材料や製作過程の説明を細川紙技術者協会会長の鷹野禎三氏から聞きました。細川紙とは小川和紙の一種で、昨年11月にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。鷹野氏の熟練の技が披露された紙漉きの実演では、記者が鷹野氏を囲んで様々な角度からその様子を熱心に撮影していました。質疑応答では鷹野氏に対し、ユネスコ無形文化遺産登録後の環境の変化、和紙の手漉きで生計は成り立つか、研修生の筋の良し悪し、男女の漉き手では仕上がりに違いが出るかといった質問が記者から出ました。また、鷹野氏の下で修業を積む研修生の女性二人には、和紙作りの世界に入ったきっかけ、和紙の伝統を受け継いでいく使命感を持っているか、研修を終えたら独立できると思うか等の質問が向けられました。「手漉きを体験できたらもっとよかった」という声もありましたが、職人の技を間近で見、撮影することができてよかったという声も聞かれました。

 

 

2. 和紙の新たな可能性を切り拓いた「紙衣(かみこ)」

デザイナー岡嶋多紀氏の制作による和紙で作った洋服「紙衣(かみこ)」は埼玉伝統工芸会館に常設されています。絞り染めによる様々な模様のコートやパンツなどを見ながら、紙衣の制作のきっかけとその方法について説明を受けました。続いて撮影や質疑応答が行われました。記者からは、水洗いはできるか、販売予定はあるか、制作のための資金源は何かなどの質問が出されました。また、「和紙という伝統工芸の良さを世の中に広く伝えたいという岡嶋氏の使命感には感服した」という感想も聞かれました。

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3. 戦時中、奇策に使われた小川和紙~風船爆弾~

風船爆弾とは直径10メートルにもなる紙製の気球に爆弾を吊るしたもの。この気球に使われた和紙は主に小川町の職人によって漉かれていました。小川町立図書館長で郷土史家の新田文子氏から風船爆弾の仕組や風船爆弾の作戦の全体像について説明を受けました。質疑応答では、当時、風船爆弾のためにごく薄い和紙を漉いていた今年92歳になる笠原海平氏に質問が集中しました。紙を漉いていた時の気持ち、武器を作っているという認識はあったか、戦前と戦後で和紙に対して抱いた感情の変化、自身の孫へ伝えたいことは何かなどが挙がった主な質問です。終了後、記者からは「笠原氏は多くを語らなかったが、当時の証人に会えたことには意味がある」という感想がありました。

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