プレスツアー(報告)

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実施日 : 2015年02月12日 - 13日

報告:京都市プレスツアー「千年の都が育てるもの」

投稿日 : 2015年02月25日

京都市へのプレスツアーを、京都市主催、FPCJ企画協力で実施しました。文化財保護の最前線、伝統産業の海外市場への挑戦、ものづくり精神を受け継ぐ京都発のベンチャー企業、をテーマに京都の各分野のトップランナーたちを取材した本企画には、中国、香港、韓国、バングラデシュ、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの8カ国・地域から11名の記者が参加しました。(ツアー案内はこちら

 

 

 

<1日目>

1. 二条城 二の丸御殿 障壁画模写プロジェクト

 

DSC_0005 京都に到着した記者らは、始めにユネスコの世界文化遺産に登録されている二条城の二の丸御殿を訪れました。学芸員の中野志保さんの案内のもと、御殿内の各部屋の用途や、それぞれの目的に合わせて描かれた障壁画のモチーフについて説明を受けました。また、実際に内部を歩くことで、日光や気温、湿度など環境の影響を受けやすい日本建築ならではの文化財保護の必要性にも触れることができました。じっくりと絵を眺める記者や、狩野派の絵師について質問する記者の姿がありました。

 

 

 

 

次に、模写室に移動し、二の丸御殿の障壁画の模写作業をDSCF5241行っている日本画家の谷井俊英さんに模写プロジェクトの説明を受けました。原画の傷みや変色が進んだ経緯や、新しい模写画を古い建物の雰囲気に合わせるために100年経過した色を出す工夫、狩野派の技法を忠実に再現する方法について聞きました。トレーシングペーパーに原画を写す作業や金箔を貼る作業が行われ、記者らは熱心にその様子をカメラに収めたり、絵師の方々にインタビューしたりと取材に勤しみました。「復元作業を行う上で昔の絵師の技や心、彼らとの繋がりなどを感じるか」といった質問が寄せられ、谷井さんは「模写をしていると昔の絵師の技のいかに素晴らしいかがよく分かる」と答えました。最後に記者らは、展示・収蔵館を訪れオリジナルの障壁画を視察・撮影しました。

 

 

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2. 有限会社 横山竹材店

 

DSC_0034京都の伝統産業を取材するため、創業96年目の横山竹材店を訪れました。4代目の跡継ぎとなる横山祐樹さんの案内で、竹の加工作業を視察しました。記者からの「なぜ京都が竹の都となったのか」という質問に対し、横山さんは「京都は古くから茶道などの家元が集っており、竹を庭や建築、インテリアに使う文化があった」と説明しました。竹材のなかには1本200万円の値がつく古い貴重な逸品もあり、驚きの声を上げる記者もいました。

 

 次に、竹雑貨を販売する横山竹材店のショップへと移動した記者らは、横山竹材店で最年少の従業員である20代の田中めぐみさんを取材しました。田中さんは、店長として働きながら店内で竹雑貨を手作業で作っています。取材後、竹製の箸をお土産に購入する記者の姿もありました。

 

 

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最後に、横山竹材店が世界で初めて開発に成功した「防炎竹」についてDSCF5286横山さんから説明を受けました。商業施設にも使用できるよう、特別な薬剤を染み込ませながらも竹の風合いはそのままに残したこの商品は、開発に5年もの歳月がかかったとのこと。発売から1年目の現在、売り上げの20%を占めるまでに至っています。記者からは、プラスチック製品と比較した際の優位性や海外向けの販売に関してなど数々の質問が挙がりました。

 

 

 

 

 

 3. 西村友禅彫刻店

 

 

DSC_0067横山竹材店と同様、伝統技術を生かして新しい製品開発への挑戦を行う、友禅彫刻師の西村武志さんを訪ねました。西村さんは、着物の模様を染める際に使われる型を見せながら、型の彫り方や道具について紹介しました。新しい仕事として、手彫りで図柄を施したiPadやiPhoneの革製ケースの制作を手がけるようになった西村さんは「父から譲り受けた技術を着物以外でも生かせてうれしい」と話しました。

 

 

 

 

DSC_0061記者からは、着物の仕事量が減少している現状や後継者の育成について質問が寄せられました。iPadケースは、液晶画面の光でケースの模様が浮かび上がるようになっており、「きれいだ」と感想を漏らす記者もいました。

 

 

 

 

 

 

2日目>

4. 京都大学 最先端テクノロジーで文化遺産の保存

 

ツアー2日目は、記者らは京都大学の桂キャンパスを訪れ、文化財のデジタル保存に取組む井手亜里教授を取材しました。井出教授は、文化遺産、大学、そして最先端技術が集まる京都に拠点を置く利点に触れたうえで、デジタルアーカイブ技術の特徴や日本と海外で手掛けたプロジェクト事例について説明しました。記者からは、美術品のデジタル画像の著作権帰属先や、自国で行われたプロジェクトについて質問が挙がりました。その後、1cmサイズの人物画を等身大サイズに拡大していく様子や、文化財をスキャンするデモンストレーションを見ることができました。

 

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5. GLM株式会社 

 

DSCF5339記者らは、日本初の量産型の電気自動車(EV)スポーツカーを開発したGLM株式会社を訪れました。社長の小間裕康さんから大学時代にベンチャー企業を起業したきっかけや、EVスポーツカーの開発に至るまでの経緯について聞きました。記者からの「京都に拠点を置く理由は何か」、「京都の伝統技術をどう取り入れているか」という質問に対し、「京都には優れた部品メーカーがあり、部品を集めやすい利点がある」、「七宝焼きや西陣織といった京都の文化を細かいところに取入れている」との回答がありました。

 

 

 

 

インタビュー後、記者らは実際にEVスポーツカーに試乗することができました。電気自動車のため、スポーツカーにしては静かなエンジン音や加速の速さに驚く記者の声がありました。

 

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6.  門川大作・京都市長インタビュー

 

ツアーの締めくくりに、記者らは京都市長へのインタビューを行いました。DSCF5368大学などの教育・研究機関や優良企業を多く抱えている京都市の一面や、増加する外国人観光客に対応するための取組みについて聞きました。記者からは、伝統産業への支援、市の財政状況、少子高齢化や地方創生についての質問が挙がりました。なかには、京都市の景観を守るための看板撤去の取組みを知り、「他の地方都市のお手本になるのではないか」とコメントを寄せる記者もいました。また、市長から、京都市の海外都市との交流事例についても紹介がありました。記者からは「とても充実したインタビューができた」という感想が寄せられました。

 

 

 

 

 

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