プレスツアー(報告)

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実施日 : 2014年11月20日 - 21日

報告:香川プレスツアー「島々の挑戦」

投稿日 : 2014年12月08日

FPCJと香川県の共催による本プレスツアーには、中国、香港、台湾、韓国、ドイツ、イタリア、アメリカの7か国・地域から10名の記者が参加しました。地方の人口減少が進むなか、瀬戸内海には、若者の移住や滞在が増加している島々があります。本プレスツアーでは、高付加価値の地域産品により若者の雇用が生まれている小豆島、産業廃棄物不法投棄問題と向き合いながら、アートで島の魅力を発信している豊島を取材しました。(ツアー案内はこちら

 

 

【1日目 高松・小豆島】

 1. 日本を代表する大名庭園「栗林公園」

高松空港に到着した記者らは、まず高松市にある栗林公園を訪れました。400年の歴史を持ち、国の「特別名勝」に指定されている園内を、川田一郎・造園課長の案内で歩きました。広大な庭園には四季折々の美や、歩き進めるごとに変化する景色を楽しめる趣向が凝らされており、旅に出られないお殿様のため富士山に似せて作られた築山などもありました。記者らは川田さんから手入れの方法や園の歴史について聞きながら、紅葉に色づく日本庭園の粋を堪能し、熱心に撮影していました。

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 (写真右側:富士山に似せて作られた築山から庭園を眺める記者)

 

 

 

2. 小豆島ブランド「オリーブ牛」農家

一行は高松港からフェリーで小豆島に渡り、まずは小豆島発祥のブランド「オリーブ牛」を取材するため、酪農家の石井正樹さんの牛舎を訪ねました。石井さんは、「オリーブが体にいいことを知り牛にもいい効果があると考えた」とオリーブの搾りかすを与え始めたきっかけに触れ、全国的にオリーブ牛が知られるようになった経緯やオリーブ牛の肉のおいしさの理由を説明しました。昼食にオリーブ牛のお弁当を味わっていた記者らは、石井さんの説明に納得しているようでした。記者らは、オリーブ飼料を牛に与える様子を撮影しつつ、他の国産牛との違い、アベノミクスの影響、外国人労働者、後継者についてなど様々な質問を投げかけました。

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 3. 伝統の味を守る「ヤマロク醤油」

「今、日本で木桶を使って醤油を作っているメーカーは1%だけ」と話すのはヤマロク醤油の5代目社長、山本康夫さん。伝統の製法を守り、その良さを消費者に直接伝えることで価値の浸透を図っています。ここでは、地元に戻ってきたUターンの人や他県から移住してきたIターンの若者が、社長の考えに魅力を感じながら働いるようでした。記者らは築100年を超える蔵に入り、山本さんから、木桶にこだわる理由や家業を継いだきっかけについて聞きました(写真左側)。記者からは、木桶を作るのにかかる時間やコスト、売り上げの推移、人口減少でも蔵を訪れる人は多いのか、田舎に住む利点は何か、などの質問が挙がりました。また、ヤマロク醤油で働いているUターン、Iターンの方にもインタビューをし(写真右側)、「移住してきた若者はどのくらい定住するか」といった質問をしました。

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 4. 国内初の有機栽培に挑む「山田オリーブ園」

記者一行はオリーブの有機栽培を行っている山田典章さんを訪ねました。山田さんはオリーブの木が並ぶ農園の真ん中にテーブルを設置し、オリーブオイル、オリーブの塩漬けなどを用意して記者らを出迎えてくれました。また、有機栽培をするうえで問題となった害虫のアナアキゾウムシを見せ、どのような対策をとっているかについても触れました。記者からは山田さんの生活や農園の運営について多くの質問が挙がりました。「若い人にも移住を勧めるか」という問いに対して、「こういったチャレンジができる能力も、お金もある人がたくさんいる」との回答がありました。

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 (写真右側:アナアキゾウムシの対策方法について説明する山田さん)

 

 

 

 

 5. 移住を支える雇用を生み出す「井上誠耕園」

国産のオリーブを使用した食品、スキンケア商品を販売している井上誠耕園の本店を訪れた記者らは、まず八十定樹・渉外広報課長に同社の説明を受けました(写真左側)。八十課長は、小豆島で育てた希少な実から手作業で生み出される同社のオイルを「商品というよりは作品」と語りました。また、井上智博・社長からは「農業を担う地域を豊かにしたい」と事業を展開する理念を語りました。若者の雇用を率先して進めている井上誠耕園では、多くのUターンやIターンのスタッフが働いています。記者からは、会社が大きくなった理由、従業員の増加数、景気やアベノミクスの影響などについて質問が挙がりました。その後、記者らはUターンやIターンで島に移り住んだ従業員4人にインタビューし(写真右側)、小豆島の生活や帰省・移住した経緯を中心に質問しました。

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6. 小豆島町による移住促進の取組み(小豆島町長)

1日目の最後に、記者らは小豆島町役場を訪れ、塩田幸雄・町長に町の取組みについて聞きました。お話のなかで、「私が生きている間に小豆島の人14口は半分まで減ってしまった。この島の人口減少は日本の将来を先取りしている」との言葉がありました。そんな状況のなか、「地方にとって重要なのは昔のように国に頼るのではなく、独自の方法で活性化を図ることだ」と強調しました。記者からの質問では、「移住者に対する町からの支援や雇用は十分だと思うか」、「移住促進のための予算額は」、「地方は中央政権に頼り過ぎていると思うか」、「地方創生担当大臣に会ったら何を伝えたいか」、といった質問が挙がりました。

 

 

 

 

 

 

 【2日目 豊島】

7. 島民の奮闘の歴史「豊島のこころ資料館」

2日目朝、フェリーで小豆島から豊島に移動した記者たち。まずは、島の西端にある「豊島のこころ資料館」を訪れ、産業廃棄物不法投棄問題に立ち向かった住民の一人である廃棄物対策豊島住民会議の安岐正三・事務局長にお話を聞きました。安岐さんは、豊島に産業廃棄物が不法投棄された経緯、住民への健康被害、住民運動の展開、そして公害調停から現在に至るまでの流れを熱く語りました(写真左側)。記者からの質問では、「住民は一致団結していたか」、「日本の原発についてどう思うか」、「処理はいつ終わるか」、といった質問が挙がりました。回答のなかで安岐さんは「時代を超えて未来につけを回してはいけない」と話しました。

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 (写真右側:記念碑の前で撮影に応じる安岐さん)

 

  

 

 

8. 過去の負の遺産と向き合う「香川直島環境センター豊島分室/処分場」

豊島のこころ資料館を出た記者らは、隣接する豊島廃棄物処分場の現場へと向かいました。県の資源化・処理事業推進室の小蓑雅也・室長補佐により、既に8割の廃棄物処理が終わっており、それが終わった後は汚染水の処理が続くとの説明がありました(写真左側)。その後、記者らは長靴、マスク、ヘルメットを装着し、廃棄物が残る現場を視察し、土中から掘り起こされた廃棄物が積み上げられている様子をカメラに収めていました。特にアジアの記者からは「いい視察になった」「自国の参考になる」という感想が聞かれました。

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9. 地元のお母さんたちと若者が島の魅力を発信「島キッチン」

記者は、島の女性たちとUターンやIターンで島に移り住んだ若者が働くレストラン「島キッチン」を訪れ、昼食をとり、店長やスタッフの取材に臨みました。店長の藤崎恵実さんは、「島のお母さんと共に島の魅力を伝えていきたい」と想いを語りました。記者からは、島に戻ってきて苦労した点、若者が地方に戻って来るには何が必要か、若者が少ない島での生活はどうか、といった質問が挙がりました。

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10. 現代アートと島の風景が溶け合う「豊島美術館と棚田」

続いて記者らは、NPO瀬戸内こえびネットワークの活動について、甘利彩子・事務局長から話を聞きました(写真左側)。甘利さんは、「島のおじいちゃん、おばあちゃんに笑顔になってもらうことが活動目的」と話し、瀬戸内国際芸術祭でのボランティア活動や、毎月島で開催する誕生会、島キッチンの運営など幅広い取組みを説明しました。豊島美術館では周囲の自然に溶け込む建築と、水をテーマにしたアート作品を鑑賞しました。なかには海外から訪れた観光客にインタビューをしている記者もいました。記者は甘利さんに、地元の人の反応はどうか、島に戻ってきた人や移住者の状況はどうか、といった質問をしました。最後に、豊島美術館周辺一帯に広がる美しい棚田を視察・撮影しました(写真右側)。

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