実施日 : 2023年04月25日 - 26日
報告:「G7 サミット直前・広島プレスツアー」
投稿日 : 2023年06月12日
本ツアーではG7サミット直前の広島を訪れ、開催を控える地元の声を聞くとともに、被爆の実相や被爆者の平和への想い、企業による戦後復興の軌跡と現在、被爆者の想いを継承する若者たちの取組を取材しました。
本ツアーには、中国、フランス、日本(英字紙)、スペイン、トルコ、ベトナム等(※アルファベット順)のメディアから11名の記者が参加しました。
※本ツアーは広島サミット県民会議と外務省が共催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。
※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。
【1日目】
<おりづるタワー/県内企業>
株式会社広島マツダが運営するおりづるタワーは、屋上展望台やオフィスなど様々な機能を有する複合施設です。記者たちは、同社の未来戦略室顧問兼おりづるタワー館長の金平京子氏から建設の背景や理念について説明を受けるとともに、県内企業の戦後復興を紹介する「Pride of Hiroshima展」実行委員会副委員長の菖蒲田清孝氏から地元企業の戦後の歩みについて聞きました。記者からは、折り鶴と広島のつながり、広島から平和のメッセージを発信することの意義などについて質問がありました。
元祖へんくつやは、戦後にお好み焼き等の屋台が集まっていた新天地広場で開業した老舗お好み焼き店です。記者たちは、市民にソウルフードとして愛されるお好み焼きを昼食として味わった後、三代目店長の沖中幸夫氏から、義祖母から伝え聞いたという同店のあゆみについて話を聞きました。記者からは、麺を入れたきっかけ、お好み焼きが今後どう受け継がれていくか、広島市民にとってのソウルフードとは何か、などについて質問がありました。
<被爆者インタビュー>
記者一行は、被爆体験証言者の河野キヨ美氏から、被爆当時の記憶や核兵器廃絶と平和への想いについて、当時の様子を再現した絵などを見ながら話を聞きました。記者からは、G7の首脳たちにどのようなメッセージを伝えたいかなどの質問があったほか、大変感銘を受けたというコメントが寄せられました。
<広島市長インタビュー>
G7サミットの広島開催や被爆体験の継承、安全保障などについて、松井一實・広島市長から話を聞きました。記者からは、G7広島サミット開催に際し各国の首脳に何を見せたいか、どのようなメッセージを発信したいか、被爆者の証言を絶やさないためにどのような取組をしているかなどの質問があがりました。
広島平和記念資料館 副館長の豆谷利宏氏による概要説明の後、館内を自由に見学しました。
【2日目】
<広島電鉄株式会社>
原爆投下から3日後に運転を再開した路面電車は、復興へと歩む広島の街を支えてきました。記者一行は、まず相生橋で、被爆した当時の電車が今も街を走る様子を撮影した後、広島電鉄本社で取締役 電車事業本部長の平町隆典氏及び執行役員 電車事業副本部長の東耕一氏から、戦前・戦後の同社の歴史について話を聞きました。そして、千田車庫に停車する被爆電車や県内の高校生がデザインしたG7ラッピング電車を視察しました。記者からは、G7サミットへの期待、路面電車が広島で導入され現在も使用される理由、被爆電車の役割などについて質問がありました。
マルニ木工は、木製家具の製造・販売で世界から高い評価を得ているメーカーです。記者らは、会長の山中武氏から、同社の戦前・戦後の歩み、各国の納品事例について話を聞きました。その後、本社工場を視察し、世界のトップ企業やハイブランドホテルなどで使用されている「HIROSHIMAアームチェア」の材料や、部品加工、組立などの工程を取材しました。記者からは、なぜ世界の定番であり得るのか、海外の大量生産とどう差別化されるか、若者たちを惹きつける要素は何かなどの質問がありました。
崇徳高等学校 新聞部は、部員数190人を超える全国有数規模の新聞部で、幅広い分野を主体的に取材しています。記者たちは、顧問の花岡健吾教諭に部の概要について説明を受けた後、「平和問題担当班」や「G7広島サミット取材特別編成班」に所属する生徒の皆さんから活動について聞きました。その後、記者と新聞部の皆さんが相互に取材し合う時間を持ちました。記者からは、平和についてどう考えているか、将来は記者になりたいか、日本のことを知らない人々に何を伝えたいかなどの質問がありました。
基町高等学校 創造表現コースの生徒たちは毎年、広島平和記念資料館の「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトに参加し、被爆体験証言者と対話しながら、約10カ月かけて被爆時の光景を描きあげています。制作現場を視察した後、同コースの3名の生徒から、描いた場面の説明や絵を描いて感じたことについて話を聞きました。記者からは、被爆体験証言者とどのような対話を行いながら制作を進めたか、参加して最も学んだことは何か、などの質問があがりました。また、若者たちが被爆体験証言者の経験を追体験していることが素晴らしいというコメントも聞かれました。
◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)
东南网(中国)
5月5日 「珍惜和平——走进日本广岛和平纪念资料馆和纸鹤塔」(平和を大切に―日本の広島平和記念資料館とおりづるタワーを訪ねて)
5月5日 「日本广岛的复兴精神:仍在行走的原爆电车与创造经典的曲木工厂」(広島の復興の精神:現在も走る被爆電車と名作をつくる曲木工場)
RTL(フランス)
5月19日 「Le journal RTL de 5h du 19 mai 2023」(2023年5月19日5時のニュース)
5月19日 「JAPON – Le G7 s’ouvre a Hiroshima, 78 ans apres la bombe atomique」(原子爆弾から78年後の広島でG7サミットが始まった)
點新聞(香港)
5月7日 「廣島戰後時代衍生的靈魂食物——廣島燒」(戦後の広島から派生したソウルフード、広島焼き)
Agencia EFE(スペイン)
5月17日 「Teenagers’ paintings keep memories of Hiroshima survivors alive」(10代が描いた絵が、広島の被爆者の思いを語り継ぐ)
Infobae(米国)
5月19日 「Periodistas adolescentes japoneses siguen de cerca la cumbre del G7 en Hiroshima」(広島で開催されるG7サミットを見守る日本のティーンエイジャー記者たち)
寰宇新聞(台湾)
5月16日 「「像打雷加地鳴」 原爆受害者口述二戰經驗」("雷や地響きのような" 被爆者が第二次世界大戦の経験を語る)
台湾テレビ(台湾)
5月11日 「辦G7領袖高峰會 廣島悠久路面電車見證歷史」(G7サミットが開催される広島 長く活躍する路面電車が歴史の証人)
中央通信社(台湾)
5月17日 「92歲廣島原爆倖存者 難忘堆積如山的少年屍體」(広島原爆の被爆者92歳、少年の遺体の山が忘れられない)
5月18日 「G7廣島峰會倒數 二戰後復興象徵「御好燒」成話題」(G7広島サミットへのカウントダウン 戦後復興のシンボル、『お好み焼き』が話題に)
Anadolu News Agency(トルコ)
5月18日 「Hiroşimalılar, Ukrayna'daki savaşın gölgesinde yapılacak G7'nin barışı teşvik etmesini istiyor」(ウクライナ戦争の影で、G7に平和をアピールしてほしいという広島県民の声)