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日本のスーパーコンピューター、「富岳」で再び世界の頂点に

投稿日 : 2020年06月29日

注目すべき海外メディアの日本報道

(6月9日~24日)



日本のスーパーコンピューター、「富岳」で再び世界の頂点に



 

スーパーコンピューターの計算速度を競う最新の世界ランキング「Top500」が22日発表され、理化学研究所と富士通が共同開発した「富岳(ふがく)」が首位を獲得した。海外主要メディアは22日~24日付で、2011年以来の日本のスーパーコンピューターの快挙だとし、新型コロナウイルス治療への活用にも触れつつ、一斉に報じた。その他、英国主要紙ではEU離脱後の日英経済関係、韓国主要紙では東京特派員による、日本の観光戦略、少子化問題、韓流復活についてのコラムが掲載された。

 

 

CNN(米国)電子版は、「世界最速のコンピューター「富岳」、新型コロナウイルス拡大を研究中」を掲載。富士通と理化学研究所により共同開発された「富岳」は、世界のスーパーコンピュータートップ500リストの一位となり、2011年以来数年ぶりに日本が首位を占めたとし、理研では新型コロナウイルスの診断、治療、飛沫拡散シミュレーションなどの研究に既に使用しているが、本格運用は来年を予定と報じている。22日付、The New York Times紙(米国)は、「日本のスーパーコンピューターに世界最速の戴冠」との見出しで、技術及び経済競争力の象徴となっているスーパーコンピューターで日本は依然として比較的小さなプレーヤーだが、最新のTop500リストの大半を占める中国と米国を凌いでトップの座についた富岳は、2位に蹴落としたIBMシステムの2.8倍/秒の速度で計算を実行する壮大な機械だ、と報じた。

 

The Guardian紙(英国)は、世界最速のスーパーコンピューター「富岳」 コロナウイルス治療を探索」(Justin McCurry 東京特派員) を掲載。世界最速と名された日本のスーパーコンピューターはコロナウイルスの治療の可能性を探るため威力を発揮しているとし、専門家は約2000の既存薬品から新型ウイルス治療を見つけ出す助けになるだろうと期待しており、開発責任者は「富岳のために開発された最先端のIT技術が、コロナのような困難な社会的課題の大きな進歩に貢献することを希望する」と語った、と報じている。また、The Times紙(英国)は、24日付日本、世界最速のコンピューターを構築」(Richard Lloyd Parry 東京特派員)で、スーパーコンピューターの速度と膨大量のデータ処理能力は気象予報、航空機設計、暗号解読、核兵器設計など、多岐な分野の複雑なタスクを実行可能にするが、富岳はすでにコロナウイルス感染の飛沫拡散のシミュレーションの調査やウイルス治療効果の精査比較等に活用されているとし、「市民が偉大な関心を寄せる分野のアプリケーションに高い効果を発揮するよう開発された結果として世界最強のスパコンであることを立証した」との開発者責任者のコメントを紹介している。

 

中央日報紙(韓国)は、「日本のスパコン、米中おさえて1位奪還…韓国「ヌリオン」は18位」という記事で、1~2年以内に米国と中国でも毎秒100京回の計算能力を備えたスパコンが登場するとみられるため、日本が1位の座を守り続けることは至難の業であり、また、韓国をはじめとする全世界で高速計算機である量子コンピューターの開発も速い速度で行われている、と報じた。

 

人民日報紙(中国)は、24日付世界スパコンランキング 日本の「富岳」が首位、中国は入選数で最多」を掲載。「Top500」のスパコンのうち、中国は226台で世界一を維持し、全体の45%以上を占めたとしつつ、世界の主要技術大国は現在、次世代の100京級(E級)スパコンをめぐり競争を展開し、中国のE級スパコンのプロトタイプはすでに開発が完了している、と伝えた。

 

その他、BBC(英国)電子版や朝鮮日報(韓国)も同様に報じている。

 

 

 

【英国EU離脱後の日英関係】


The Sunday Times紙(英国)は、23日付「英国が日本との取引を固めるには6週間」を掲載。日英自由貿易協定が合意に至るまでの猶予は一か月余り、日本の松浦首席交渉官は、「英国のEU離脱後の移行期間終了に間に合うよう交渉を完了するには、あと6週間しかない」と述べ、他方、トラス国際貿易大臣は、先にデジタル貿易・サービス分野を含む日本との包括協定合意への野心的な計画を示し、これにより英国企業や人々により多くの機会を提供し、コロナウイルスで打撃をうけた経済を活性化する助けとなるとしている、と報じた。Financial Times紙(英国)は、同日付「日本は英国にEU離脱後の最初の貿易交渉への合意を急がせる」(Robin Harding 東京支局長他)で、日英両政府は、昨年発効した日EU経済連携協定を基本とすることに合意したものの、英国は日本製品と農産物に対する関税の「引き下げまたは撤廃」、および英国の各種サービス産業における「意欲的な市場参入への取り組み」を含む更なる目標を設定したが、農業は日EU貿易交渉で最も議論を呼ぶ分野であり、英政府関係者は「デジタル・データ分野と共に交渉の一部分であり、英国農業者の日本市場参入のため闘う」と述べた、と報じた。


これらに先立ち9日付The Times紙は、「EU離脱後の日本との貿易協定は、英国に何ができるかを国際社会に示す」との見出しで、トラス 国際貿易大臣による寄稿記事を掲載日英経済協定は現在の日EU経済協定に基づき、既存の利益を維持するものであり、デジタル産業を含め、英国の企業と消費者のために、選択肢と野心を拡大し、赤字の削減と貿易障壁を減らすことを目指し、英国ビジネスに価値ある機会をもたらせるよう、有利に交渉を進めるつもりだと述べている。

 

 

【韓国から見る日本の観光戦略、少子化問題、韓流復活】


中央日報(韓国)は、23日付「【グローバルアイ】金を使う才覚、金を稼ぐ才覚」(ソ・スンウク 東京総局長)と題するコラムを掲載。安倍内閣は観光を成長戦略の中核に訪日外国客を3000万超に増やし、コロナ禍の追加補正予算にも大規模な観光促進事業費を反映、加えて、少子化問題では出生率を現在の1.36から1.8を目指し対応に没頭しているとし、日本が観光インフラと出生率にオールインするのは成長基盤を維持するためだと指摘。他方、韓国では訪韓外国客も出生率も日本を下回るものの、どのように金を稼いで国を成長させるのか、成長に関連した談論は聞かれないと嘆いている。同じく23日付の朝鮮日報(韓国)は、「「"愛の不時着"5回も見た」ヒョンビンが日本の週刊誌の表紙に」(イ・ハウォン 東京特派員)と題する記事で、韓日関係は戦後最悪だが、日本では韓流が再び脚光を浴びているとし、コロナ禍の自粛生活もあって大人気となった韓国ドラマ『愛の不時着』などの事例を挙げながら、韓流ブームが新たな次元に入ったと見る専門家の見解として、「日本のファンは韓国の作品を日韓関係のフレームで見ておらず、世界的に認められているレベルの高い韓国の作品を見たいという思いが大きい」「韓国文学の翻訳が日本で読まれており、娯楽的な次元にとどまっていた韓流が文学でも受け入れられている」との声を紹介している。


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