緊急事態宣言39県解除と新型コロナ危機の日本経済・社会への影響
投稿日 : 2020年05月15日
注目すべき海外メディアの日本報道
(5月7日~14日)
緊急事態宣言39県解除と新型コロナ危機の日本経済・社会への影響
5月末まで延長された緊急事態宣言は、5月14日、東京や大阪など8都府県を除く39県で解除された。英国、米国の主要メディアでは、最新の動向に加え、新型コロナウイルス感染拡大の日本経済への影響や、社会の変容についての記事が散見された。
【緊急事態宣言、39県で解除】
Financial Times紙(英国)は、14日付で「日本、コロナ感染者減少のほぼ全県で緊急事態を解除」(Robin Harding 東京支局長)を掲載、同解除は世界第4位の経済再生に向けた大きな前進となり、都市封鎖ではない日本の自主的な外出自粛戦略が感染抑制をもたらしたことを裏付けたと報じている。また、同日付The Wall Street Journal紙(米国)も「日本の大部分で緊急事態が解除に」(Peter Landers東京支局長)と題し、欧米よりもはるかに少ない感染者数と死亡者数から安倍総理は(感染抑制)成功を強調し、感染減少をもたらした外出・営業自粛措置を称賛したと報じた。
【新型コロナ感染拡大による日本経済への影響、社会の変容】
Financial Times紙(英国)は、12日付「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)はコロナ時代の開かれた貿易への意欲を試す」(Robin Harding東京支局長)の冒頭で、日本のコロナウイルスは比較的小規模な流行と移動自粛により異例な経緯を辿っており、死亡率も最悪の被害を受けた欧州諸国の50倍低いが、経済への悪影響は同様だと言及した上で、合意されれば世界最大の自由貿易協定の一つとなるRCEPの交渉に精力的に取り組む日本の姿勢を報じている。また同紙は、13日付の「コロナウイルスが産業用ロボットを呼び込む」(Kana Inagaki記者)と題する記事で、作業員同士が距離を置かなくてはならないコロナ後の世界では工場自動化の流れは加速するとの見方がある一方で、“失業”という大きな不安を生み出すと報じている。一方で、14日付The Guardian紙(英国)は「日本の自殺減少。コロナによる外出制限がストレス要因を変化させる」(Gavin Blair記者)を掲載。4月の自殺者数が前年比20%減少しているのは、学校の始業遅れや通勤が減り、家族との時間が増えた結果であろうと報じている。
The Wall Street Journal紙(米国)は、7日付「コロナ都市封鎖で任天堂「どうぶつの森」が記録的な売り上げ」(Peter Landers東京支局長)を掲載。最新ゲームソフトが1300万本以上売り上げており、ビデオゲームが人気の時間つぶし法であることを証明した、と報じた。また、同紙は12日付「トヨタは年内の回復を視野」(Sean McLain記者)で、新型コロナパンデミックによる最悪の経済的打撃は終わり、「欧米では経済再生と景気対策の連携により、年末までに自動車販売は2019年の水準に回復するだろう」との同社CFOの発言を伝えている。他方、The Washington Post紙(米国)は、13日付「日本版トランプ・クオモ対決が緊迫」(Simon Denyer東京支局長、Akiko Kashiwagi記者) との見出しで、経済対策に必死で注力する国の指導者と新型コロナ制御の取り組みで人気急騰の知事の闘いは米国のトランプ対クオモのようだと報じている。