注目の日本報道

一覧に戻る

新型コロナウイルス危機の影響と、変化を迫られる日本

投稿日 : 2020年04月13日

注目すべき海外メディアの日本報道


(4月3~9日)




新型コロナウイルス危機の影響と、変化を迫られる日本




 

 

7日、日本政府は特措法に基づく初の緊急事態宣言を発令した。新型コロナウイルス感染爆発防止を目的とした同措置は、欧米諸国で見られるような医療崩壊を回避するため国民に外出自粛への協力と行動変容を求めているが、日本の企業や生活に根付く慣習により、その実践は容易ではない。米国、英国、韓国の主要紙が、宣言の実効性や日本社会への影響について様々な角度から報じている。

 

 

 

■ The Washington Post(米国)

6日付「コロナウイルス下の日本:テレワークと苦闘する企業文化 在宅で働けと言うが、日本では容易ではない」(Simon Denyer東京支局長)を掲載。感染者急増中でまもなく緊急事態が宣言されるというのに東京の通勤電車は混雑し、多くの企業は何も変わらず活動していると報じている。その上で、日本の働き方は“対面”を要求し、社員は成果よりも費やした労働時間で評価されるとし、新型コロナウイルス時代のリモートワークの現実を受け入れる先進諸国の中にあって、日本は独特の頑固な働き方のため少しも準備していない国に甘んじていると論じている。

 

 

 

■ Financial Times(英国)

3日付「コロナウイルスが余った和牛を食卓へ運ぶ」(Leo Lewis東京特派員)を掲載。日本では外出自粛による外食の激減で超大量に余った高級和牛の処理に苦労しているが、当初政府が緊急経済対策案の一つとした「和牛券」は却下、一方で小売店は和牛の売上を伸ばそうとしており、ある大手スーパーでは今週末から通常価格の20-40%引きの特売商品に加えることにしていると報じた。

 

8日付「日本のコンビニ:都市封鎖の命綱」では、部分的な都市封鎖に入った日本では、およそ60,000店あるコンビニは必要不可欠なビジネスとして営業を許可されて売上を伸ばす見込みであり、新型コロナウイルス発生前はデフレ経済の衰退産業と言われてきたコンビニやその投資家にとっては、少なくとも今後の数四半期の間、10年前の栄光の日々を取り戻すチャンスかもしれないと報じた。

 

9日付商業施設や飲食店閉店の(議論)行き詰まり、封鎖の土台が崩れる」(Robin Harding東京支局長)を掲載。今週宣言された緊急事態のもと、休業を要請する具体的な業態、施設について、中央政府と東京都の間で協議が進められているが、小池都知事は感染者の急増により幅広い分野における休業を求める一方、安倍首相は経済を守るためできるだけ少数を列挙するに留めたいとしていると報じた。

 

 

 

 

■ 朝鮮日報(韓国)

9日付コラム日本で在宅勤務が難しい理由」(イ・ハウォン東京特派員)は、日本の文化を象徴する印鑑、その「ハンコ文化」が在宅勤務の最大の壁であり、電子メールより郵便を好む文化も在宅勤務の敵であるとして、書類の押印や郵便のために出勤せざるを得ない日本はいまだに対面文化が中心で「アナログ的」だと論じている。コロナ終息以降のAC(After Corona)時代の社会はもう少しスピーディーで柔軟になるよう求められるが、日本は「長年の習慣との決別」を惜しむ段階にあると結んでいる。

 

 

 

■ 中央日報(韓国)

8日付「緊急事態を宣言した安倍氏、韓国の「ドライブスルー」検査方式導入を検討」を掲載。これまで日本は韓国のドライブスルー方式の検査精度に疑問を呈し、否定的な見解を示していたが、安倍首相が乗車しながらできる検体採取の導入を示唆したことは注目されると報道。

 

9日付で韓国経済新聞からの転載記事「「緊急事態」初日の東京…普段と同じ出勤の人波」を掲載。東京都心の地下鉄の駅は通勤の人波で混雑しており、またSNSで「#東京脱出」が発信されると「コロナ疎開」で地方への深夜高速バスは満席になるなど、緊急事態初日にもいつもと変わらない東京の混雑状況を伝えた。

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信