台風10号が観測史上初めて東北地方に上陸
投稿日 : 2016年09月14日
注目すべき海外メディアの日本報道
(9月5日~9日)
2016年9月13日
台風10号が観測史上初めて東北地方に上陸し、甚大な被害をもたらした。
8月19日に発生した大型で強い台風10号(Lionrock)は、東北地方を暴風域に巻き込みながら、8月30日に岩手県大船渡市付近に上陸した。雨量が8月の1カ月分に匹敵する大雨となったところもあり、30日で発生からちょうど2千日を迎えた東日本大震災の被災地では、地盤沈下や堤防決壊などにより、広い範囲で浸水被害が起きた。岩手県では、高齢者グループホームの9名を含む20名が、また北海道では2名が犠牲となった(9月12日現在)。
1951年に気象庁が観測を始めて以来、初めて東北地方の太平洋側に上陸した台風10号について、各国メディアは災害現場の写真とともに報じた。8月31日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版(米国)は、アレクサンダー・マーティン記者による「台風10号、日本の東北を横断」を東京発で掲載。「台風10号は、2011年の地震・津波の被災地に大雨・高潮・強風をもたらした。異例の気象パターンにより、太平洋上をゆっくりと迷走。日本の東の海上で発生し、南方へ進路を取っていたが、Uターンして本州に向けて北西へ進路を変えた」と伝えた。同日付CNN電子版(米国)は、東京発で若月陽子記者/ユアン・マッカーディ記者の「台風10号の猛襲で、少なくとも9名が犠牲に」を掲載。「岩手県岩泉市の高齢者グループホームで、台風10号に伴う河川の氾濫により9名が犠牲となり、また1,100名を超える住民が避難している」と報じ、また「北海道では空知川の堤防が決壊し、1名が行方不明、26,000名に避難勧告が出ている」と伝えた。さらに、ABC News電子版(米国)は、同日付でAP通信(米国)の山口真理記者による「台風の襲来で高齢者を含む11名が死亡」を転載。岩手県岩泉市で大量の流木が住宅に押し寄せる写真を掲載するとともに、「東北の多くの地域が泥水に覆われた光景は、5年前に同地域を襲った東日本大震災による大津波を彷彿とさせた」と報じ、「台風10号によって最も深刻な被害を受けた岩手県は、東北沿岸部で18,000名が犠牲となった2011年3月の津波と地震から復興中の地域の一つである」と伝えた。
AFP通信電子版(フランス)は、8月30日付で「強力な台風10号は、日本の東北を直撃」を掲載。東京電力の発言として「運転停止中の福島第一原子力発電所では、猛烈な風から作業クレーンや設備を守るために対策をとった」と報じた。また、中国日報電子版(中国)は、8月31日付の新華社通信「台風10号の強襲により、11名が犠牲、3名が行方不明」を転載し、「(9名が犠牲となった)グループホームの近くの施設からは、80名がヘリコプターで無事に救助された。降雨量が3日間で8月ひと月の平均の300ミリを超えたため、幅広い地帯が浸水した」と伝えた。
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外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」