バングラデシュの立てこもりテロ事件で、邦人7名が犠牲に
投稿日 : 2016年07月13日
注目すべき海外メディアの日本報道
(7月4日~7月8日)
2016年7月13日
バングラデシュの立てこもりテロ事件で、邦人7名が犠牲に
7月1日、バングラデシュの首都ダッカで起こった武装グループによる立てこもりテロ事件は、20名の犠牲者を出す最悪の結果となった。邦人犠牲者は、いずれも独立行政法人国際協力機構(JICA)のプロジェクトで現地に赴き、インフラ整備事業に携わっていた関係者であり、同国の国づくりに貢献していた7名が犠牲になったことに対して、大きな衝撃が広がった。
(写真:ロイター/アフロ)
AFP通信電子版(フランス)は、東京発2日付で「バングラデシュ首都ダッカでテロ:日本政府によると日本人犠牲者は7人」を掲載。過激派組織ISを名乗る組織が犯行声明を出したことを報じるとともに、このテロ事件で日本人7人を含む20人が死亡したと伝えた。AP通信電子版(米国)は、2日付東京発でケン・モリツグ東京支局長の「バングラデシュの立てこもり事件、日本の海外開発援助を浮き彫りに」を掲載。日本人被害者はJICAのインフラ整備事業で働いており、JICAによる支援は、無償資金協力が約14億ドル、技術協力が12億ドル、円借款が88億ドルにのぼると報じた。また、日本の海外開発援助は、財政赤字と経済停滞とが相まって縮小してきているものの、依然その規模は大きく、安倍首相は日本の国際的役割を高めるために、海外開発援助の増加に力を入れていると伝えた。ロイター通信電子版(米国)は、3日付で梶本哲史記者の「日本人犠牲者の遺族、テロ攻撃のショックの中、バングラデシュへ向かう」を東京発で掲載。2014年に安倍首相が世界最貧国のひとつであるバングラデシュに対する支援を表明して以来、日本はバングラデシュのインフラ整備事業に深く関与してきたことを報じた。あわせて、遺族の言葉を取り上げ、「息子は開発途上国の役に立ちたいと思っていた。自慢の息子だったと誇りをもって言える」と伝えた。
フィナンシャル・タイムズ紙電子版(英国)は、3日付インド・ニューデリー発の「ダッカのレストランの立てこもりで20名の人質が犠牲に」を掲載。事件の数日前の6月29日にJICAが6件の電気、インフラ、防災のプロジェクトのための計1,730億円のODA供与について、バングラデシュ政府との合意を発表していたことを伝え、3日付ガーディアン紙電子版(英国)は、「ダッカのカフェでのテロ攻撃、20名の人質が犠牲となり終結」を掲載。日本人7名が犠牲となったことを受け、安倍首相がテロ攻撃に対する悲しみを表明し、「これは国際社会が共有する普遍的価値に対する挑戦であり、強く抗議する」と述べたことを伝えた。
新華社通信社日本語電子版(中国)は、3日付で「ダッカにおける襲撃事件で犠牲者多数 非難相次ぐ」を掲載。パン・ギムン国連事務総長の声明を紹介し、「テロリズムを効果的に阻止し、取り締まるために、地域や国家間の協力をさらに強化する必要がある。バングラデシュ政府がテロリズムを取り締まるため果たした努力を引き続き後押ししていく」と強調したことを伝えた。中央日報日本語電子版(韓国)は、4日付社説で「アジアに東進したISのテロ、韓国のそばに来ている」を掲載。外国公館密集地域内の食堂で20人を死亡させた今回の事件は、最近のトルコ・イスタンブール空港テロのように民間人を標的にしたと報じ、防御能力がない「ソフトターゲット」を狙ったもので、両事件ともに極めて卑怯だと断じた。
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