注目すべき海外メディアの日本報道(2013年6月14日)
投稿日 : 2013年06月14日
「注目すべき海外メディアの日本報道」では、日本発のものを中心に、日本のみなさまに知っていただきたい日本関連の報道をご紹介し、できるだけオリジナルの記事(Web版)へのリンクも貼っております。
注目すべき海外メディアの日本報道
(6月1日~6月7日)
2013年6月14日
1. アベノミクス「第3の矢」を各国主要メディアが分析
5月23日の日経平均株価急落以降、安倍政権の経済政策「アベノミクス」に関する報道が活発化している。
6月1日付タイムズ紙(英国)は、「GDPの2倍超の借金を抑制する明確な計画なしに極端な増刷に乗り出すのは危険な作戦」とし、思い切った労働市場改革や文化的変化が必要になるだろうが、まだそれほど大胆な動きはないと報じた。4日付レ・ゼコー紙(フランス)はヤン・ルソー特派員による東京発の記事を掲載。安倍総理の目指す構造改革は複雑で効果は未知数だが、参院選勝利により改革断行のチャンスもあると分析した。「道半ばで挫折すれば、『奇跡』は『幻想』に終わるだろう」とまとめている。FPCJが取材協力を行った、6日付ル・フィガロ紙(フランス)のアルノー・ドラグランジュ北京特派員による東京発の記事では、日本を「眠りから覚めた」と形容。消費者の景況感は大幅に改善したが、設備投資拡大や賃金引き上げの動きは鈍いとし、「短命に終わる恐れがある」との識者の声を報じた。AFP通信(フランス)は同日、ジャック・リュイルリー支局長による安倍総理へのインタビュー記事を配信。アベノミクスは日本経済を立て直せる「唯一の解決策」であり、日本経済の復活を世界経済回復のエンジンにしたいとの総理の考えを報じた。
5日に開かれた産業競争力会議で、政府はアベノミクスの「第3の矢」となる成長戦略の素案を発表。各国の主要メディアは、素案の内容や影響、今後の見通しなどを伝えた。
6日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、田淵広子記者による「安倍総理の新戦略は興ざめ」との東京発の記事を掲載。安倍総理が大胆な改革を実現できない場合には、株価を押し上げた高揚感は消え、低迷に逆戻りする危険があるとするエコノミストの解説を紹介した。
同日付オ・グローボ紙(ブラジル)は東京発のClaudia Sarmento特派員による記事で「市場はさらに詳細な戦略を期待していた」と報道。ストレーツタイムズ紙(シンガポール)掲載のKwan Weng Kin特派員による東京発の記事も、市場に失望感が広がっていると伝えた。
2. TICAD V 各メディアの反応
第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が6月1~3日、横浜市で開かれ、民間主導の成長促進、インフラ整備などを盛り込んだ「横浜宣言」及びロードマップ「横浜行動計画」が採択された。政府は官民で最大約3.2兆円の支援に取り組む方針を打ち出している。
3日付AFP通信(フランス)はジャック・リュイルリー支局長による横浜発の記事を配信し、安倍総理の「アフリカは世界の成長の中心になる。今こそ投資する時」との発言を報じた。
同日付タイムズ紙(ザンビア)は、「20年前の草創期には日本政府の広報基盤に過ぎなかったが、アフリカの首脳たちにとって5年ごとのもっとも重要な3日間になった」と同会議の高まる重要性を強調。2日付のeNCA(南アフリカ共和国)、ラ・ナシオン紙(ジブチ)、3日付のエソール紙(マリ)、ノティシアス紙(モザンビーク)、シドワヤ紙(ブルキナファソ)、ル・マティナル紙(ベナン)などアフリカ各国のメディアも議論の模様や感謝の声を伝えた。
中国の影響を指摘する論調も目立ち、3日付ダーゲンスナーリングスリヴ紙(ノルウェー)はアフリカの資源と市場の成長を巡り日本は中国と競争を繰り広げていると解説。昨年12月の就任後アフリカ未訪問の安倍総理と、アフリカを就任後初の外遊先に選んだ中国の習近平国家主席を対照的だと評した。同日付フランクフルター・アルゲマイネ紙(ドイツ)も、日本の対アフリカ支援は市場確保と中国の影響の抑制を狙ったものと分析。中国は資源へのアクセスを確保したものの、民主的、経済的発展の促進にはあまり貢献してこなかったと報じた。
<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html