注目すべき海外メディアの日本報道(2013年5月10日)
投稿日 : 2013年05月10日
「注目すべき海外メディアの日本報道」では、日本発のものを中心に、日本のみなさまに知っていただきたい日本関連の報道をご紹介し、できるだけオリジナルの記事(Web版)へのリンクも貼っております。
注目すべき海外メディアの日本報道
(4月29日~5月7日)
2013年5月10日
1. 安倍総理のロシア、中東諸国歴訪に関して各国メディアが報道
安倍総理は4月28日から5月4日の日程で、ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコを歴訪した。日本の総理大臣として10年ぶりに公式訪問したロシアでは、プーチン大統領と会談し、双方が受け入れ可能な北方領土問題の解決を目指し、交渉を加速させるとの共同声明を発表。UAE・トルコ両国とは、日本の原発輸出を可能にする原子力協定を結んだ。
4月30日付クリスチャン・サイエンス・モニター紙(米国)は、「日露がようやく関係正常化に同意」と題する記事を掲載。両国首脳が関係正常化に向けて努力することに合意した背景について、日本側には、福島原発事故以来、ロシアの液化天然ガスへの需要が高まっているとの事情に加え、中露の接近を阻止したいとの狙いがある一方、ロシア側は、投資やシベリアの天然資源開発の技術の呼び込み先として日本を有望視していると報じた。その上で、記事は、北方領土問題の解決なくして日露両国が平和条約を締結する可能性はないとだろうと指摘。「現時点では、クリル諸島(原文ママ)問題の解決策は見当たらない」とするモスクワの極東問題専門家の見方を紹介した。同じく米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙の同日付記事「日露首脳、領土交渉再開に合意」も、過去10年間で初めての両国首脳による共同声明は、しばしば冷え込む日露関係においては前向きな一歩であるが、その前進は僅かなものであり、安倍総理が北方領土の一部返還の実現に失敗した歴代総理以上の成功を収めるかどうかは定かではないと報道。「交渉再開はむしろ別の目的を達成するための手段に過ぎない」との専門家の見方を紹介し、両国間の協議は、しばしば、ロシア側の日本の政府・企業に対する投資の呼びかけと連動してきたと指摘した。
また、トルコとの原子力協定締結に関しては、CNN.com(米国)が、5月4日付で「日本、トルコと原発建設プロジェクトに署名」と題する記事を掲載。220億ドル規模になると見込まれる同プロジェクトへの合意は、東日本大震災及び福島原発事故により揺らいだ日本の原子力産業にとって再興への第一歩になるとした。フランスのラ・トリビューン紙電子版も、6日付で関連記事を掲載。「日本は原発事故の経験と教訓を分かち合い、原子力安全の向上に貢献していく」との安倍総理発言等を報じた。
2. 米国主要紙が憲法改正を巡る最新の世論調査結果を報道
5月3日の憲法記念日に、日本の各主要紙が憲法改正に関する世論調査の結果を掲載した。これに関連して、6日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、Takashi Mochizuki記者による東京発の記事を掲載。憲法記念日に発表された複数の世論調査によれば、日本国民の半数以上が戦後憲法は改正されるべきと考えているようだと報じた。一方で、記事は、世論調査の結果は必ずしも安倍総理の提案する改正を支持するものではないとも報道。総理が憲法第9条改正の考えをより公に表明しているのに対し、日本経済新聞の世論調査では、9条改正の必要性を支持した回答者の割合は僅か38%であったと紹介した。
<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html