注目すべき海外メディアの日本報道(2012年11月6日)
投稿日 : 2012年11月06日
1.日中関係
(1)ル・モンド紙(フランス)のフィリップ・ポンス東京特派員は、「日本外交の後退」(10月31日付)で、尖閣諸島を巡る争いにおける日本の主張は、米国等の同盟国からも見捨てられるなど孤立しており、日本外交の弱体化を示していると指摘。経済不振に加え、方向性を欠いたまま回り道を続けている日本外交が、国際舞台における日本の存在感低下の要因だと報じた。
(2)タイムズ紙(英国)のサム・フレミング経済編集長は、「東の不穏な雰囲気に気付こう」(25日付)で、中国のIMF・世銀年次総会欠席について、中国政府は経済外交分野での国際的な信頼を失ったと指摘。その上で、欧米諸国は、日本企業が中国国内で受けた暴力行為は、中国に投資する者全てへの警告であることに気付くべきと報じた。
(3)中国青年報(中国)の謝昱航記者は、「他人に日本敵視を強制する考えは非常に危険」(23日付)の中で、中国の一部のネットユーザーが、大型客船で日本を訪問した上海の観光客一行を批判したことについて、法や道理を欠いた非常に危険な考え方であると批判した。一方、環球時報の「千人の旅行団と日本旅行の大幅減少は中国の多元化を示している」(22日付)は、日本旅行を控える多くの中国人がいる一方で、千人規模の中国人観光客が日本を訪れているという事実は、民衆の行動に対する中国政府の不干渉を反映しており、同国政府の進歩を示していると報じた。
2. 日韓関係
(1) KBSTV(韓国)は、25日付放送で、グーグルの地図サービス上で、東海(ママ)が「日本海」との表記で新たに表示され、独島(ママ)の表記が「リアンクール岩礁」に変更されたことについて、同島を紛争地域化しようとする日本の戦略の成果であると伝えた。また、26日付朝鮮日報社説は、官民一体となって諸外国・関連機関における独島・東海の表記変更を監視することと、国民がサイバー空間での世論戦への参加覚悟を持つことが必要と指摘した。
3.国内政治
(1)ワシントン・ポスト紙(米国)のチコ・ハーラン東アジア総局長は、28日付「衰退する日本は、かつての期待感に満ちた支持者を失う」(東京発)で、日本は、海外におけるかつての支持者を段々と失って来たのに加え、東日本大震災後に有意義な改革を実行できなかったために、それまで日本を見捨てずにいた残りの支持者すら失ってしまったと指摘。こうした大規模な転換により、日本は長引く不況の中にあるだけでなく、避けようのない衰退の道を辿っているとの見方が生まれていると伝えた。
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/a-declining-japan-loses-its-once-hopeful-champions/2012/10/27/f2d90b2e-1cea-11e2-9cd5-b55c38388962_story.html
4.東日本大震災
(1)AP通信(米国)のエレーヌ・カーテンバック記者は、30日付、仙台発で「日本は復興予算をそれ以外の事業に使用」と題する記事を配信。被災地復興の状況に関する、FPCJプレス・ブリーフィングでの久保田崇 陸前高田市副市長の「スピードと柔軟性が欠けている。大震災発生から19カ月経つ今も、我が市では大きな変化は見られない。新しい建物が一つも建てられていない」との発言も伝えた。同副市長の発言については、BBC(英国)もAP報道を引用した。
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5ixNX52gS-3wStCh3zLvdKQ7uDvJw?docId=bcf07242a40e4fae8051fb544a2c27f2
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-20150364
<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html