科学技術広報研究会(JACST):オンライン・プレスセミナーのお知らせ
「世界の課題に立ち向かう、日本発の7つの最先端研究」
新型コロナ、環境・エネルギー、高齢化社会、自然災害、宇宙、文化資源
各分野におけるトップレベルの研究の現在を知る
2021年2月4日
科学技術広報研究会(JACST)
国際広報部会
科学技術広報研究会(JACST)は、大阪市立大学、信州大学、東京工業大学、横浜国立大学、国立天文台との共催で、報道関係者を対象に「世界の課題に立ち向かう、7つの日本の最先端研究」を紹介する、オンライン形式のプレスセミナーを2021年2月18日(木)に開催します。
このセミナーは、日本全国の科学研究機関・大学などの研究者が、それぞれの研究をコンパクトにまとめて発表する機会です。海外メディアを主な対象としていますが、国内メディアの報道関係者にもご視聴いただけます。
新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生命や生活、人としてのあり方について考えを深める機会となりました。同時に、よりよい未来を築くためのサイエンスや社会科学への社会の期待が高まっています。
そこで、世界の課題に向き合い、世界をリードすると考えられる日本発の7つの研究テーマを、皆様にわかりやすくご紹介します。
【研究テーマと発表者】
1.新型コロナウイルス感染症関連研究
(城戸康年 准教授 大阪市立大学 医学研究科)
2020年、全人類は、感染症に国境はないことを目の当たりにしました。
昔のペスト流行時と同じく国境封鎖や都市封鎖が行われた一方で、1年でワクチン開発成功というイノベーションスピードは科学の進歩を象徴しています。私達は従来から、国際感染症の最前線は、発生源である流行地にあるものと考え、コンゴやケニアを拠点として、マラリアや顧みられない熱帯病についての研究を行ってきました。分子マーカーの探索をめざしたトランスレーショナルリサーチの進捗から新型コロナへの対策まで、取り組みの様子をご紹介します。
(日本語)
https://research-soran17.osaka-cu.ac.jp/html/100001448_ja.html
(英語)
https://research-soran17.osaka-cu.ac.jp/html/100001448_en.html
2.江戸時代における感染症との向き合い方も垣間見える――浮世絵の媒体としての機能、芸術作品としての評価
(菅原真弓 教授 大阪市立大学 文学研究科)
日本を代表する芸術としてしばしば取り上げられる浮世絵。しかしその実際の役割は、芸術というよりむしろ「メディア」でした。「疱瘡絵」という疫病退散のお守り(図)、ご存知でしたか?
一方、19世紀後半には、欧州で日本ブームが巻き起こります。浮世絵はゴッホなど印象派の画家に愛好され、本国日本では思いもよらぬ高評価を獲得しますが、このことは、後の浮世絵研究に功罪半ばの影響を与えます。浮世絵研究の最前線をご紹介します。
(日本語)
https://research-soran17.osaka-cu.ac.jp/html/100000594_ja.html
(英語)
https://research-soran17.osaka-cu.ac.jp/html/100000594_en.html
3.水質浄化、バイオデバイス、次世代電池など多様な分野での活用が進む「信大クリスタル」
(手嶋勝弥 教授 信州大学先鋭材料研究所)
「信大クリスタル」とは、信州大学が世界を先導するフラックス法(物質の融点 よりもはるかに低い温度で単結晶を育成する技術)によって育成した無機結晶材料を指します。低温で育成できるため省エネルギーで、安価な設備でも目的に応じた結晶材料をつくりだせることから様々な製品に使用できます。重金属イオン吸着による水の浄化、人体への負担の少ない人工関節やリチウムイオン二次電池等など様々な分野で利用が進められています。また、同学は「信大クリスタル」吸着材を用いて、サブサハラ (タンザニア・ケニア等)で深刻化する地下水のフッ素汚染除去に取り組むプロジェクトにも参加しています。
(日本語)
(英語)
https://shindaicrystal.com/en/
4.液体金属を応用した「ゴミ」にならないエコなコンクリート
(近藤正聡 准教授 東京工業大学)
皆さんは、毎年3000万トンの使用済みコンクリートが発生している事をご存じですか? 高層ビル、道路や橋、ダムなど、私たちはコンクリートで造られた建造物の恩恵を受けて安心安全な社会生活を営んでいます。一方で役割を終えたコンクリートは再利用の用途が限られているため、莫大なゴミとなる可能性があります。生活に欠かす事のできないコンクリートを資源として循環し続けたいという想いから、液体金属を応用したエコなコンクリートと、その再資源化方法を開発しました。
(日本語)
https://www.slideshare.net/TokyoTech/2019-204671198
https://www.titech.ac.jp/news/2019/044481.html
5.健康長寿を実現する「インターバル速歩」-その効果のエビデンス-
(増木静江 教授 信州大学バイオメディカル研究所)
「インターバル速歩」とは、信州大学で開発された、早歩きとゆっくり歩きを3分ごとに繰り返すウォーキング法です。これを5か月継続することで、中高年者の体力が平均20%向上、高血圧、高血糖など生活習慣病の症状が20%改善、医療費が20%削減されることを実証しました。さらに同システムの汎用性を高めるスマホアプリの開発にも成功しました。この研究を、世界が直面する高齢化社会の課題の解決策として、長寿国日本から発信します。
(日本語)
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-sports/research/
(英語)
https://eurekalert.org/pub_releases/2019-11/su-qoq110119.php
https://eurekalert.org/pub_releases/2020-09/su-ire090220.php
6.1000回のシミュレーションから、台風被害を予測する
(筆保弘徳 教授 横浜国立大学)
私の専門は気象学で、特に台風について研究しています。 近年、気候変動に伴い台風は激甚化し、大きな被害が出ています。 私たちは、数値シミュレーションや気象観測、機械学習を用いて、台風のメカニズムの解明に取り組み、台風被害の軽減や台風エネルギーの活用方法の開発に貢献したいと考えています。これまで、研究成果を活用して、日本全国を網羅する台風ハザードマップや台風や豪雨に対するリアルタイム被害予測サイトも開発しました。
(日本語)
http://www.fudeyasu.ynu.ac.jp/
http://www.fudeyasu.ynu.ac.jp/risk/
https://www.ripo.ynu.ac.jp/topics/YNUResearch/YNUResearch004_20180320.pdf
(英語)
https://www.ripo.ynu.ac.jp/topics/YNUResearch/YNUResearchen004_190417.pdf
7.あなたも天文学者! 研究者とともに銀河の謎に挑戦
「GALAXY CRUISE(ギャラクシー・クルーズ)」
(臼田-佐藤 功美子 特任専門員 国立天文台天文情報センター)
国立天文台がハワイ島で運用する「すばる望遠鏡」は、超広視野主焦点カメラHSCを用いて、2014年から300夜を使って広大な宇宙の画像を撮影しています。その中に写りこんだ「衝突銀河」の形や個数を調べることは、銀河の生い立ちをひも解き、その多様性の謎に迫ることにつながります。しかし、写り込んだ大量の銀河は研究者だけでは分類しきれません。そこで、専門家ではない方々が、簡単なトレーニングを行った上で、衝突銀河を特定し、その形を分類するプロジェクト「GALAXY CRUISE」を開始しました。大勢の乗組員が一体となって宇宙という大海原を航海するという世界観のもと、ゲーム感覚で宇宙を巡りながら銀河を分類します。2021年1月15日現在、80の国と地域から6262名が参加し、銀河総分類件数は120万回を超えました。今後、集まった分類結果をもとに、衝突が銀河の成長に与えた影響に迫るとともに、人工知能の力も活用し、多くの銀河を分類する予定です。
(日本語)
https://galaxycruise.mtk.nao.ac.jp/
https://www.nao.ac.jp/news/topics/2019/20191101-prc.html
(英語)
https://galaxycruise.mtk.nao.ac.jp/en/index.html
https://www.nao.ac.jp/en/news/topics/2020/20200219-prc.html
Twitter:
https://twitter.com/Galaxy_Cruise (日本語)
https://twitter.com/Galaxy_Cruise_e (英語)
――――――――――――――<概要>――――――――――――――
※本プレスセミナーは、Zoomウェビナーを利用した「ライブ配信」で実施します(主催:科学技術広報研究会(JACST))。「入退場自由」となっております。お気軽にご参加ください。
■日時:2月18日(木)14:00~16:35(※申込締切:2月16日)
■言語:日本語・英語(逐次通訳)
■参加費:無料
■定員: 100名
■スケジュール
14:00-14:05 (05分) ご挨拶
14:05-14:17(12分) 水質浄化、バイオデバイス、電池など多様な分野での活用が進む「信大クリスタル」
14:18-14:30(12分) 健康長寿を実現する「インターバル速歩」-その効果のエビデンス-
14:30-14:55(25分) 液体金属を応用した「ゴミ」にならないエコなコンクリート
14:55-15:20(25分) 1000回のシミュレーションから、台風被害を予測する
15:20-15:30(10分) 休憩
15:30-15:55(25分) あなたも天文学者! 研究者とともに銀河の謎に挑戦 「GALAXY CRUISE(ギャラクシー・クルーズ)」
15:55-16:15(20分) 新型コロナウイルス感染症関連研究
16:15-16:35(20分) 江戸時代における感染症との向き合い方も垣間見える――浮世絵の媒体としての機能、芸術作品としての評価
【お申し込み方法】
お送りしたメールをご確認ください。
※メールでのお申込は受け付けておりません。
【備考】
・「Zoomウェビナー」を使用しますので、参加者の皆様のカメラは終始OFFとなります。また、参加者のマイクは、質問を許可された場合のみミュートが解除されます。
・本オンライン・プレスセミナーは録画されます。開催後、JACSTならびに各研究者の所属する機関のウェブサイトやSNS等でビデオを公開する予定です。予めご了承下さい。
<外国メディアからの問い合わせ先(申し込み関連)>
公益財団法人フォーリン・プレスセンター 広報戦略課 吉田、濵田
E-mail: sc@fpcjpn.or.jp
電話: 03-3501-5251
<科学技術広報研究会《JACST》について>
科学技術広報研究会(JACST:Japan Association of Communication for Science and Technology )は、研究機関や大学などの広報担当者が、所属する組織の枠をこえて、広報活動における課題を共有し、それらを通してお互いに助け合い、共に成長していくことを目指したネットワークです。約130機関から約200名の広報担当者が参加しています(2021年2月1日現在)
ウェブサイト:https://sites.google.com/view/jacst/
問い合わせ先:JACST事務局:jacst-office@googlegroups.com
<各研究内容に関するお問い合わせ先>
・都築寛子(JACST国際広報部会前部会長)
国立天文台 天文情報センター 広報室
・松木里奈(JACST会員)
大阪市立大学 国際交流課
matsuki@osaka-cu.ac.jp
・国立大学法人信州大学 総務部総務課広報室
Tel: 0263-37-3056 Fax:0263-37-2188
・川口恵美子(JACST会員)
東京工業大学 研究・産学連携本部
kawaguchi.e.aa@m.titech.ac.jp
・津村明子(JACST会員)
横浜国立大学 研究推進機構
・大林由尚(司会、JACST国際広報部会副部会長)
東京大学宇宙線研究所 重力波観測研究施設
ooba@icrr.u-tokyo.ac.jp, 080-4800-8427