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朴韓国大統領罷免 | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

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朴韓国大統領罷免

投稿日 : 2017年03月17日

朝日:国政の安定化が急務だ

産経:危機回避へ冷静さ回復を

日経:韓国は現実見据えた大統領選の論戦を 

毎日:挫折乗り越え安定望む

読売:司法の行き過ぎた政治決定か 対日関係への悪影響を避けたい           (50音順)

 

Protesters hold candles as they celebrate the impeachment of South Korea's ousted leader Park Geun-hye at a rally in Seoul

 写真:ロイター/アフロ

 

 

韓国の憲法裁判所は3月10日、朴槿恵大統領の罷免を決定した。朴氏は即時失職し、60日以内に大統領選が実施されることになったが、全国紙5紙は12日付の社説(毎日のみ11日付)で、韓国政治の混乱が対日関係、北朝鮮の核・ミサイル開発問題など東アジア情勢へ大きな影響を与えかねないとの懸念を示した。

 

■ 弾劾・罷免をめぐる評価

 

日経は朴大統領の罷免について、韓国の治的混乱を懸念しながらも「混乱をここまで深刻化させた責任は朴氏自身にある」と指摘し、政財界の癒着や職権乱用など韓国政界の悪弊を断つために「徹底した捜査が欠かせない」と論じた。

 

毎日も「罷免による不利益よりも、朴氏の行為が憲法秩序に与える否定的影響の方が大きいという判断である。現在の混迷ぶりを考えれば理解できる結論」と分析した。しかし、韓国世論の圧倒的支持によるものだとしても、「そもそも弾劾は公職を剥奪するかどうかという政治的判断であり、刑事罰を問うものではない」として、今後の冷静な対応を求めた。

 

読売は、韓国初の大統領罷免を「北朝鮮の軍事的脅威が深刻化する中での驚くべき事態」として、東アジア情勢や日韓関係への悪影響に強い懸念を表明。今後についても「これ以上、社会の分断が進まないよう、双方の自制が必要だ」と指摘した。ただ、憲法裁の決定については、「大統領罷免を求める国民の声に阿(おもね)って権力を行使したとすれば、行き過ぎだろう」と付言した。

 

産経は、金正恩政権の“異常性”が際立っているとして、「韓国が正常な機能を失っていることが、危機をより大きくしているこことも否定しがたい」と指摘し、「国家の立て直しへ冷静さを取り戻してほしい」と論じた。その上で、「北朝鮮の暴走阻止のため、連携する日米韓それぞれが、万全の態勢で策を練り、北朝鮮に圧力をかけることが最大の課題」と強調した。

 

朝日も、大統領罷免によって「北朝鮮への対処など多くの懸案への対応が滞った」とし、「何より急ぐべきは国政の安定化である」と主張した。その上で、統治機構の速やかな安定化のため、「弾劾を、統治システムの見直しの機会ととらえるべきだろう」と論じた。

 

■ 慰安婦問題と駐韓大使の帰任

 

慰安婦問題に関する日韓合意の履行が一段と不透明化する中で、朝日を除く4紙は合意の明確な履行を強く求めた。

 

読売は、「朴氏と日本が歩み寄った貴重な外交成果」として合意履行を韓国側に改めて求め、次期大統領選挙の左派野党の有力な候補予定者である「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)を、「慰安婦問題の日韓合意を否定し、釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像を設置した市民団体を、公然と支持した」と強い懸念を表明した。

 

産経も、韓国政府首脳による釜山の少女像撤去での前向き発言にもかかわらず、行動が伴わないことを厳しく批判し、「韓国の国際的な信用にかかわる問題である。いかなる政権が誕生しようと、日本との約束は果たされなければならない」と強調した。

 

日経も、韓国野党勢力に日韓合意の再交渉論がくすぶっていることについて、「『最終的かつ不可逆的な解決』をうたった合意の見直しは言語道断だ。仮にほごにするようなら日韓の信頼関係は損なわれ、韓国に対する国際的な信認も失墜するだろう」と論じた。

 

毎日も、「日韓合意は、両国関係を改善の流れに戻すのに大きく寄与した。必ず守られねばならないものだ」と強調した。その一方で一時帰国している駐韓大使については「重要な隣国が激動に見舞われている中、(中略)ソウルに帰任させる時期」と提言した。

 

■ 北朝鮮への対応策

 

日経は「北朝鮮とは融和路線に転換し、米韓や日米韓の安全保障協力を見直すべきだとの議論が浮上している」と懸念を示した。特に、米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備と日韓両国が締結した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「北朝鮮の脅威に日米韓が連携して対処するうえで欠かせない」と論じた。

 

読売も、THAAD配備について「配備に執拗(しつよう)に反対する中国の様々な圧力に屈しない姿勢が求められよう」と注文を付けた。産経も、左派系候補が「GSOMIA」やTHAAD配備を疑問視していることに関連し、「国際情勢を顧みず、大衆迎合的な発言を争うような大統領選を展開するのは、無責任かつ愚かなことである」と断じた。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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