実施日 : 2019年05月23日 - 24日
案内:知の集積地・つくば発!最先端科学技術プレスツアー
投稿日 : 2019年04月24日
【テーマ】 つくばの最先端テクノロジー
~AIのスポーツ・介護分野での応用、未来の医療を支える新素材開発から宇宙ビジネスまで~
2019年6月8日(土)~9日(日)に茨城県つくば市で、自由貿易の推進やIoT、AI等の革新的技術を通じた世界の経済成長についてG20参加国の関係閣僚が議論する「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」が開催されます。
茨城県南部に位置するつくば市は、1960年代に国家プロジェクトとして整備された研究学園都市です。現在は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、産業技術総合研究所(AIST)など29の国等の研究・教育機関が集積し、約8千人の博士号保持者を含む2万人を超える研究者が様々な研究活動を行う、世界的な科学技術中枢拠点都市となっています。
人工知能(AI)、ビッグデータ、 IoTなどの先端技術は、今や私たちの生活に欠かせないものとなるとともに、少子高齢化や環境エネルギー問題など人類が直面する様々な課題を解決するカギとなっています。つくばには、こうした分野で世界を驚かせる技術を開発する知が集積すると共に、その研究成果をスピーディに実用化するベンチャー企業が数多く存在します。
本ツアーでは、人の「体感」をデジタルで作り出す世界初の「3D触力覚技術」、熟達者の技術や知能を次世代に継承するAIシステム、誤嚥を防ぐため、高齢者が食べ物を飲み込む(嚥下)力をAIで計測するウェアラブル、未来の医療材料スマートポリマー、低コストの超小型衛星で宇宙空間の利用拡大を目指すベンチャーなど、地球規模の課題解決に貢献するつくば発の最先端技術の最前線を取材します。
【取材内容】
つくばの最先端技術が拓く未来
(1)大井川 和彦 茨城県知事インタビュー ~茨城県のデジタル革命を牽引するIT出身知事~
マイクロソフトやドワンゴ(ニコニコ動画運営会社)などのIT企業役員などを務めた経験を持つ大井川知事(55歳)。2017年9月の就任以来、AI・IoT・ロボット・次世代自動車など新たな成長分野の研究施設や本社機能等の誘致促進、宇宙ベンチャーなどの新産業支援、さらには全国の自治体ではじめて行政文書の電子決裁化ほぼ100%を達成するなど、数々の革新的な施策を打ち出しています。また、2019年秋に茨城で開催される国体の文化プログラムとして全国初となる都道府県対抗によるeスポーツ選手権の導入を決めました。
◆大井川知事に最先端技術の革新をリードする茨城の将来ビジョン、目前となったG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合への抱負について聞く。
(2)PLIMES株式会社 ~AI技術で誤嚥を防げ!~
がん、心筋梗塞に続き、日本人の死因第3位の「肺炎」。中でも高齢者に多く見られるのが、飲み込み(嚥下)の失敗によって起こる誤嚥性肺炎で、飲み込む力の低下は高齢者の生死を左右する重要な問題となっています。大掛かりな検査機器を使わず、もっと気軽に、かつ正確に嚥下能力を測り、誤嚥を予防することはできないか。AIが嚥下の音を測るウェアラブルデバイス「GOKURI」を開発し、実用化を進めるのが筑波大学発スタートアップ企業PLIMES(株)。20年以上にわたり人工知能を研究してきた筑波大学鈴木健嗣教授らによって2018年4月に立ち上げられました。
「GOKURI」は、首に巻くだけの小さなセンサーで嚥下音や姿勢を測定し、AI技術とクラウドデータベースで嚥下能力がどの程度なのか定量化。97%の判定精度を達成しています。同機器には、ディープラーニングの技術が応用されており、日々蓄積されるデータによりAIが今後ますます賢くなるのも特徴です。設立から1年で高齢者施設や医療関係者を中心に1,000を超えるユーザーに利用されるまで普及してきました。この嚥下計が体温計や血圧計のように身近な存在となり、テクノロジーの力で健康寿命を延ばすことを目指しています。
◆「GOKURI」を導入している高齢者施設を訪問し、PLIMES(株)代表者からその開発経緯や仕組みについて説明を受けると共に、高齢者施設代表者に導入経緯や感想について聞き、利用者による「GOKURI」のデモンストレーションを視察する。
~リモート操作で付き添いの要らない電動車いす「Telewheelchair(テレウィールチェア)」~
先進技術を搭載した電動車いすテレウィールチェアを開発したのが筑波大学デジタルネイチャー研究室の若き研究者たちです。VRやAIを用いたテレウィールチェアは、介護者がゴーグル型の専用機器を装着することで遠隔地から車いすのリモート操作が可能。車いす自体にディープラーニングを用いた障害物検知機能を搭載しているため、人が近づくと自動で停止する仕組みになっています。これにより、介護者が付き添って車いすを運転する必要がありません。
今、急速な人手不足が進む介護業界。2025年にはおよそ253万人の介護人材が必要になると想定されており、その需給ギャップは約38万人と言われています。こうした技術は介護者の負担を減らし、介護者は「人間にしかできないこと」に注力することができます。テレウィールチェアは、先進技術を搭載しているにも関わらず、いずれも簡単に手に入る低コストの既製品を組み合わせて製作しており、開発コストを抑えている点がユニークです。これまで導入コストがネックになりIT技術を取り入れられなかった施設も、気軽に最先端の機器を活用できる時代がすぐそこまで来ています。
(左:介護者が映像を見ながら遠隔で操作 / 右:人を感知すると警告を表示して自動停止)
◆筑波大学 デジタルネイチャー研究室を訪問し、テレウィールチェアの開発者から開発経緯や目的、機能などについて聞き、実際にテレウィールチェアが動いている様子を視察・撮影する。
(4)株式会社LIGHTz(ライツ) ~熟達者が持つ知見をAIで次世代に継承!~
少子高齢化により労働人口の減少が進む中、ベテランの技能や知見をいかにして次世代に継承していくかはどの産業においても課題となっています。この課題をAIで解決するのが製造業向けの技術コンサルティング会社の社内ベンチャーとして、2016年につくば市に誕生した(株)LIGHTzです。「人の発想」を起点に、熟達者からの聞き取りと言語解析、AIを組み合わせることで、ベテラン技術者の直感的な気づきや判断力、経験によって積まれた勘といった「感覚的な部分」までもデータ化できる技能伝承システムを開発しています。
同社は、フェンシングの北京五輪銀メダリスト・太田雄貴選手の試合分析に携わったことなどをきっかけに、技術が属人化しやすいスポーツ分野にも2016年から本格参入。現在は、バレーボールの強豪・筑波大学女子バレーボール部と共同で、監督の技術や経験をデータ化し、作戦立案や選手育成につなげる研究を進めています。
◆ベテランの技術やトップアスリートのノウハウをAIを使ってデータ化する技術について乙部社長から説明を受け、同技術を導入している筑波大学女子バレーボール部の練習を体育館で見学しながらスポーツ分野での応用について聞く。
(5)株式会社ミライセンス
~世界初!脳内錯覚で触った感覚をリアルに表現する「3D触力覚技術」の発明~
「つるつる」、「ざらざら」、「グイグイ」、「プチッ」。片手に収まるサイズの小さなデバイスから伝わる「振動」のみで、何もない空間に、物を触った時の手触りや引っ張った時の抵抗感、物が切れる感覚、凹凸など、多様な感覚を表現する。特許技術である、神経科学に基づく「脳内錯覚現象」を活用し、特殊な振動を通じて、あたかもそこに実在するものを触っているかのような感覚を与えるこの驚きの技術を開発したのは産業技術総合研究所の研究者・中村則雄氏。
2014年に設立された産総研技術移転ベンチャー、(株)ミライセンスが事業化を進める世界初の技術です。VRの世界で長年の課題であった「見えているものに触れられない」もどかしさを解消し、よりリアルな感覚を呼び起こす要素としてVR界に新風を巻き起こしています。この技術は、産業用ロボットや自動運転技術、遠隔医療の際の触診など幅広い分野への応用が見込まれており、海外でもイノベーションの聖地であるシリコンバレーなどから熱い視線が注がれています。
◆開発者の中村氏、ミライセンス代表取締役の香田氏に「3D触力覚技術」の特徴や仕組みについて聞き、実際にデバイスを体験・撮影する。
(6)国立研究開発法人 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
グループリーダー 荏原 充宏 氏 ~変幻自在の新素材「スマートポリマー」で医療革命~
途上国や被災地などの低インフラ地域でも使える医療を「素材の力」で実現しようと情熱を燃やすのは、物質・材料研究機構の荏原氏です。もともと再生医療の研究に従事していた荏原氏は、米国留学中に途上国の医療発展プロジェクトに関わったことをきっかけに、どれだけ高度な医療も水や冷蔵庫などの設備がなければ提供できないことを痛感。「素材そのもの」で病を解決する方法として、スマートポリマーの医療分野での応用に取り組んできました。
スマートポリマーは、熱や光、水、磁場などに反応して変幻自在に形を変え、様々な機能を持つことができます。こうした特性を応用して荏原氏が開発した「抗がんメッシュ」(スマートポリマーを繊維状にし、抗がん剤と発熱成分を閉じ込めたシート)は、がんの患部に直接貼り付けて、磁場を短時間充てるだけで発熱と抗がん剤放出を同時に行い、実に70%のがん細胞を死滅させるという高い抗がん効果を発揮することが実験で証明されました。また、体の毒素だけを取り除くスマートポリマーを応用し、腕時計型の尿毒素除去フィルターも開発。災害時や発展途上国での透析治療に期待がかかります。
◆荏原氏の研究室を訪問し、研究内容とその応用について聞き、スマートポリマーが水や光に反応して形を変える様子を視察・撮影。さらに、同氏が開発した「抗がんメッシュ」や「人工透析デバイス」なども視察する。
(7)株式会社ワープスペース
~宇宙空間利用の基盤となる通信インフラネットワークの確立へ~
2030年までに70兆円を超える規模に成長すると予測される宇宙産業。近年、小型人工衛星の数が爆発的に増え、民間ベースでも宇宙空間利用がより一般的になっています。そんな中、宇宙事業者向けの通信インフラの構築に取り組むのが2011年に筑波大学で大学衛星プロジェクトをゼロから立ち上げ、2機の人工衛星の打ち上げに成功した亀田敏弘准教授率いる筑波大発のベンチャー、(株)ワープスペースです。2016年8月に設立された同社は、低コストの超小型通信衛星の開発、可搬型の地上局の設置・展開などを行っており、同社の技術実証衛星WARP-01が近く国際宇宙ステーションから放出される予定です。
海外では、アフリカや東南アジアなどの宇宙開発にも協力しています。
◆ベンチャー企業設立のきっかけとなった大学の衛星プロジェクトや同社の取組について聞き、同社が開発する衛星電波受信用の可搬型地上局(上写真)を視察・撮影する。
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【実施要領】
日程:2019年5月23日(木)~24日(金)(1泊2日)
スケジュール:
※日程は調整中のものであり、予告なく変更になる可能性があります。
<5月23日(木)>
7:20-8:50 東京~つくば市(バス移動)
9:00-10:30 株式会社ミライセンス
11:00-12:15 株式会社ワープスペース
12:30-13:10 昼食
13:40-15:10 国立研究開発法人物質・材料研究機構
15:45-17:30 株式会社LIGHTz
17:50 宿舎着(オークラフロンティアホテルつくば)
<5月24日(金)>
9:00 宿舎発
10:00-11:45 PLIMES株式会社(於:高齢者施設)
11:45-12:30 移動
12:30-13:30 昼食
14:00-15:00 茨城県知事
16:30-17:50 筑波大学デジタルネイチャー研究室
18:00-19:30 つくば市~東京(バス移動)
参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
参加費用:10,000円
(全行程交通費、宿泊費(朝食込み)、昼食(1日目、2日目)を含む)
※申し込み後に参加をキャンセルされる場合、理由の如何を問わず、以下のキャンセル料をお支払いいただきます。
・5月22日(水)15:00までのキャンセル 5,000円
・それ以降のキャンセル 10,000円(参加費用全額)
募集人数:10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)
※申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
FPCJ担当:
取材協力課 石田恵、菅原 順也
(Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp)
備考:
(1)本プレスツアーはG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合推進協議会が主催し、 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が企画・運営を担当しています。
(2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。
(3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。
(4)G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合推進協議会、及びFPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。
(5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。
(6)本ツアーは、報道を目的とした取材機会の提供を目的としているため、参加者には、本国での報道後、FPCJを通じG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合推進協議会に、記事、映像、音声(ラジオの場合)のコピーの提出をお願いしています。また、報道が英語・日本語以外の場合は、内容を把握するため、英語または日本語の概要の提出も併せてお願いしています。参加申込者は、これらに同意いただいたものとみなします。