実施日 : 2016年09月12日 - 14日
案内:九州(熊本・鹿児島)プレスツアー
投稿日 : 2016年08月23日
熊本: 地震からの復興に向けて歩む現状
鹿児島: 火山の恵みと共に生きる
―― 熊本: 地震からの復興に向けて歩む現状――
熊本市、南阿蘇村、阿蘇市
今年4月、2度にわたって震度7の地震に見舞われた熊本県。県発表によると、地震による死者の数は88名(関連死含む)。約16万棟の住家が被害を受けた。
熊本県は8月3日、熊本地震からの復興の道筋と目指す将来像を示す、復旧・復興プランを発表。各地でも復興に向けた歩みが始まっている。
特に被害が大きかったエリアの一つである南阿蘇村でも、仮設住宅への入居が徐々に進んでいる。避難所として被災者を受け入れていたレジャー施設や、休業を余儀なくされていた地元のカフェが営業を再開している姿も見られる。
熊本市中心部にある熊本城も、地震で櫓(やぐら)が倒壊するなど大きな損傷を受けたが、市では、「復興のシンボル」として20年かけて城全体を地震前の状態に
戻したいとの目標を掲げている。
―― 鹿児島: 火山の恵みと共に生きる ――
指宿市
鹿児島県の最南端に位置する指宿(いぶすき)市。市のほぼ全域が約10万年前の火山活動によって形成された阿多カルデラの中にある。世界でここだけに存在する、温泉熱で温められた 砂に埋まるユニークな入浴法「砂むし温泉」で名高い、九州を代表する観光地だ。
ここでは、火山と共に生き、その恵みである温泉や火山灰土壌、湧き水などを産業に生かす人々の知恵を見ることができる。その分野は観光業から、うなぎ養殖、農業、焼酎造りまで多岐にわたっている。
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本プレスツアーでは、以下を取材する。
◆熊本県
・熊本市: 蒲島知事インタビュー、県のPRマスコットキャラクターくまモン、熊本城の被害状況。
・南阿蘇村: 仮設住宅、被災者受け入れを経て営業再開したレジャー施設(阿蘇ファームランド)、同じく営業再開した地元カフェ(ティッペル)。
・阿蘇市: 火山の土を使って器を作る陶芸家
◆鹿児島県(指宿市)
・「砂むし温泉」、露天風呂、ウナギ養殖場、サツマイモ農家、焼酎蔵元
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【取材内容】
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Ⅰ.熊本県
地震からの復興に向けて歩む現状
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<熊本市>
1. 熊本県 蒲島 郁夫 知事
~地震からの復興の現状~
http://www.pref.kumamoto.jp/chiji/
http://www.pref.kumamoto.jp/chiji/hpkiji/pub/List.aspx?c_id=3&class_set_id=6&class_id=1307
https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_16643.html
今年、4月 14 日と 16 日の2度にわたり震度7の地震が発生した熊本県。県発表によると、地震による死者の数は88名(関連死含む。地震による直接の死者数は50名。全壊約8,500棟を含む約16万棟の住家が被害に見舞われ、1,480名もの人々が避難所で生活している(8月15日現在)。
県は8月3日、地震からの復旧・復興プランを発表。ここで蒲島知事は次のようなメッセージを出している。
「これまで当たり前と思っていた普段の生活が、いかに有難く、かけがえのないものであるか、そして、その生活を取り戻すのが、いかに大変なことであるかを痛感しています。
先人たちも、過去に、幾多の災禍に見舞われました。しかし、その度に、力を合わせて乗り越え、貴重な財産を私たちに残してくれました。今の時代に生きる私たちにも、ふるさと熊本の輝きを再び取り戻し、さらに発展させ、次の世代に引き継いでいく責務があります。今こそ、県民一人一人の力を結集し、熊本の復興に力強く取り組んでいかなければなりません。
熊本地震からの復旧・復興には、かねてから私が提唱してきた『被災された方々の痛みを最小化すること』、『単に元あった姿に戻すだけでなく、創造的な復興を目指すこと』、『復旧・復興を熊本の更なる発展につなげること』からなる『復旧・復興の3原則』を基本として対応することが不可欠です。」
◆蒲島知事から復興の現状や、今後の計画について聞く。
2. 熊本県のPRキャラクター「くまモン」、復興の旗振り役に
~各国で愛される熊本の〝営業部長“。避難所訪問で活動再開~
・くまモン(熊本県 営業部長(兼しあわせ部長))
http://kumamon-official.jp/profile
http://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=14996&sub_id=1&flid=60627
熊本県庁が2010年から展開している熊本県PRマスコットキャラクター、くまモン。2011年には、日本各地のマスコットキャラクターが一堂に会した「ゆるキャラグランプリ」で優勝。現在ではtwitterのフォロワー数が50万を超えるほどの人気ぶりだ。
熊本県は、企業や団体に無償で「くまモン」の商標利用を認めており、これが知名度の拡大に拍車をかけた。熊本県の試算によると、2015年のくまモングッズや関連商品の売上高は1,007億7,800万円を記録。前年比56.6%増で、このうち海外での売上高は21億円を超えている。
知事から熊本県の営業部長(兼しあわせ部長)に任命されているくまモンは海外でも精力的に活動してきた。フランスでのジャパンエキスポに参加したほか、中国、台湾、シンガポールなどでも県のプロモーションを行い、各地で愛される存在になっていった。
地震発生後、ネット上には、パンダがくまモンに寄り添う中国発のものなど、傷ついたくまモンを励ますイラストとメッセージが各国で発信、拡散された。くまモンは、復興への祈りや支援が表現される際にも、熊本県のシンボル的存在となっていたのだ。
県も、熊本県の復興に向けて、くまモンが旗を持った図のシンボルマークを作成。復興の旗振り役を務めるくまモンが、「心を一つに頑張ろう!」と県民に呼びかける姿をイメージしたものだという。来年3月末までは、県内関係企業だけが商品に利用できる仕組みで、厳しい経営環境に置かれている県内企業の支援を図る。
◆くまモンを撮影する。
©2010熊本県くまモン
3. 熊本城を復興のシンボルに
~日本屈指の名城の被害状況と、再建への動き~
・熊本城
http://wakuwaku-kumamoto.com/castle/
http://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=12552
日本を代表する城の一つとして名高い熊本城。17世紀初頭に築かれ、城域の周囲は5.3kmにもおよぶ。天守閣は1877年に一度焼失し、1960年に市民からの寄付により再建されたものだが、櫓(やぐら)、城門、塀など13棟はオリジナルが残り、国の重要文化財に指定されている。その雄大な美しさで長らく街のシンボルとして市民に愛されてきた熊本城だが、今年4月の地震によって重要文化財の2つの櫓が全壊したほか、各所で石垣が崩れ、瓦は落ち、天守閣に至るまで全体に甚大な損傷を受けた。現在、石垣崩壊などの危険があるため、一部を除いて立入禁止になっている。
城の修復・再建には、技術的にも資金面でも多くの困難があるが、励ましや支援の申し出が国内外から多数寄せられており、熊本市では募金の受け付けを始めた。
熊本市の大西一史市長は7月末、「復興のシンボル」として、天守閣を2019年までに再建し、20年後には城全体を地震前の状態に戻したいとの目標を発表した。全体の復旧費用は600億円を超える見込みだ。
◆外周から熊本城の現在の様子を視察・撮影すると共に、地元関係者に再建に向けた思いを聞く。
<南阿蘇村>
4. 南阿蘇村
~被災地域の現状と、復興への歩み(仮設住宅など)~
http://www.vill.minamiaso.lg.jp/
http://www.aso-geopark.jp/mainsites/mainsite01.html
阿蘇カルデラの南に位置し、山々と水源に恵まれた自然豊かな南阿蘇村(人口約11,600名)。カルデラとは、火山の活動によってできた大きな凹地のことだ。カルデラの織り成す世界的にも珍しい雄大な風景や温泉を目当てに、村には年間600万人もの人々が訪れてきた。
阿蘇カルデラは、東西18km、南北25kmと世界で有数の大きさを誇る。今から約27万年前から約9万年前の間に起った巨大噴火の結果生じたものだ。噴火による火砕流堆積物は、今残っているものだけでも総計175平方kmにおよんでいる。阿蘇カルデラの中央には現在も活動を続けている中岳の火口があり、カルデラ内には約5万人の人々が、火山と共に暮らしている。
南阿蘇村は、今回の震災によって死者17名という被害を受けた(関連死含む)。2,300棟以上の家屋に被害があり、611名が避難所で生活している(8月15日現在)。主要道路である国道57号線から続く阿蘇大橋や、県道28号線の俵山トンネルも崩落するなど交通インフラにも甚大な被害が出ている。
一方で、村内には、既に営業を開始した店や宿泊施設も出てきている。
また、住宅が損壊した人々のために、村役場では6か所の仮設住宅の整備も進めてきた。
◆南阿蘇村内の被害状況を視察するとともに、仮設団地を訪れる。
※住民の方へのインタビューについては調整中。
5.発砲スチロール製の宿泊施設が地震に耐え、避難所に
~被災者受け入れを経て、営業再開したレジャー施設~
・株式会社阿蘇ファームランド
営業総括部長 増田 康二さん
企画広報部 支配人 森山 千鶴さん
http://www.dome-house.jp/characters05.html
南阿蘇村に開業して今年で21年目となる阿蘇ファームランドは、健康をテーマにしたレジャー施設だ。約100万平方メートル(東京ドーム約21個分)の広大な敷地内には、温泉やスパ、レストラン、宿泊施設などがある。2015年には年間のべ400万人が訪れ、30万人が宿泊しており、そのうち3割を韓国、台湾、香港など外国からの観光客が占めた。
4月に発生した地震では、水道管が破損し、レストランなどの建物にも被害があったが、特殊発砲スチロール製の宿泊施設「ドームハウス」、約450棟は無傷だった。約20年前に自社で研究を重ねて開発したもので、建材は空気の含有量を極力減らして強度を高めた特殊な発泡スチロール製で、構造は柱や梁のないドーム型だ。軽さと強度、柔軟性を兼ね備え、かねてから耐震性で高い評価を得ていた。日本の建築基準法をクリアし、特許も取得している。
地震後、阿蘇ファームランドでは、破損した水道管やタンクを急ピッチで修復し、村役場の要請を受けて、5月下旬から被災者のべ約700名を「ドームハウス」に受け入れてきた。体育館などのプライバシーのない避難所で1週間もの間過ごした後に「ドームハウス」に移ってきた被災者からは、「家族に1棟の独立した空間になったことで気を遣わなくてよくなった」、「夜中に赤ちゃんが泣いても迷惑をかけずに済むので、ストレスから解放された」との声が聞かれたという。
8月1日には、「ドームハウス」50棟を含む一部の営業が再開された。自らも被災して10日間も車中泊をしながら被災者受け入れの準備を進めた営業部長の増田さんは、「今回の震災や被災者の受け入れで多くのことを学んだ。人間は自然と向き合って生きていかなければならない。そして人間は壊れたものを直せる。ドームハウスの耐震性や、防災の重要性を多くの人に伝えていきたい」と語る
◆阿蘇ファームランドを訪れ、「ドームハウス」を視察、撮影する。また、スタッフの増田さん、森山さんに、ドームハウスの特徴、被災者受け入れ時の体験、今後に向けた展望について聞く。
6.震災後、営業再開したカフェを営む一家
~「火山と共存していく」。ペンション再開も目指して一歩ずつ前に~
・カフェ「ティッペル」
小山 久夫さん、陽子さん親子
http://cafe-tippel.com/weblog/
南阿蘇村のペンション集合エリアにあるカフェ「ティッペル」。小川久夫さん夫妻と娘の陽子さんが一家で切り盛りしている。店内で手作りされるドイツ仕込みのバームクーヘンが評判で、くるみ割り人形をはじめとするドイツの小物も販売している。隣では、小川さんの息子夫婦がペンションを経営している。
4月の地震で、ペンションの壁が崩落し、玄関も破損、水道や灯油の配管も壊れた。また、水道は40日以上、電気も1週間以上も止まり、ライフラインが絶たれた。ペンションは修理が必要な状態のため休業を余儀なくされているが、カフェの方は地震で店内の商品や食器がことごとく床に落ちて壊れたものの、水道が復旧してすぐの6月中旬には営業再開にこぎつけた。小川さんは、「しばらくは試練だが、これからもこの土地でやっていきたい。2年前にも阿蘇山(中岳)の噴火があって観光業は痛めつけられた。それでも、火口やカルデラならではの地形があるからお客さんが来てくれるし、おいしい水も湧いている。共存していくしかない」と穏やかに語る。地震前に比べると観光客は減ったが、ボランティアで村を訪れる人々など、少しずつお客さんの数が戻ってきているという。
建物が一部損壊した息子夫婦が経営するペンションも、来春には修理を終えて営業再開したい考えだ。
◆カフェ「ティッペル」を訪れ、小川さん一家に、震災発生時の様子や、カフェ再開後の現状、今後の展望などについて聞く。
<阿蘇市>
7.火山の土を使って器を作る陶芸家
~活火山がある土地に生き、その恵みを活かす~
・阿蘇坊窯 山下 太さん(43歳)
https://thewonder500.com/product/%E6%BA%B6%E5%B2%A9%E9%87%89%E3%81%AE%E5%99%A8/
南阿蘇村から見て、阿蘇山の北側に位置する阿蘇市。ここに、阿蘇カルデラの火山土壌を使って陶器を生み出す山下太さんが窯を開いている。
山下さんが材料として使う土は、全て自らがカルデラで採取してきたもの。釉薬にも溶岩を使う。数万年前の噴火で流れ出た溶岩が冷えて固まったものが、1200度の窯で再びマグマのような状態に戻るという。そのようにして生み出された器には、火山のパワーそのものを感じさせる力強さがある。
山下さんは、その場所ならではの独自のもの、環境に特化したものを作りたいと思うなかで、阿蘇の土に出会った。そして鉄分を含む火山の土に魅せられていった。「火山の土は地球の恵み。自分は地球という惑星に生きている。その内側から出ているエネルギーを手にしているように思う。この環境で器を焼くのが自分の役割だと感じている」と話す。
4月の地震では多くの作品が割れ、工房の大黒柱も壊れてしまったが、山下さんは、「天災はあって当たり前。そういう場所の上に人間が住まわせて貰っている」と言う。そして、「火山は恵みであると同時に、恐ろしいものでもある。阿蘇の人々はそれを感じながら、常に自然に対して謙虚に生きてきたのではないか」と語る。
山下さんの器は、経済産業省がクールジャパン政策のもとで日本の優れた地方産品を発掘し海外に伝えるプロジェクト「The Wonder 500」にも選ばれている。
◆阿蘇坊窯を訪れ、山下さんにインタビューすると共に、作陶の様子や作品を視察する。
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Ⅱ.鹿児島県(指宿市)
火山の恵みと共に生きる
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<指宿市>
1.世界で唯一、天然の「砂むし温泉」
~医学的にもデトックス効果が実証された~
http://sa-raku.sakura.ne.jp/efficacy.html
鹿児島県の最南端に位置する指宿市。市のほぼ全域が約10万年前の火山活動によって形成された阿多カルデラの中にある。指宿を語るうえで欠かすことができないのが、世界でここだけに存在する「砂むし温泉」だ。
いたるところに温泉が湧くこのまちでは、海辺の砂浜にも高温の温泉が噴き出すという貴重な光景が見られる。砂むし風呂とは、その温泉の熱によって約55度に温められた砂浜の砂に埋まる入浴方法で、身体の芯からほぐれ、リフレッシュできると人気だ。世界的にユニークなこの「砂むし風呂」により、指宿は九州有数の観光地として知られてきた。
300年もの昔から健康に良いと語り継がれてきたが、近年、その効果が医学的にも実証されている。鹿児島大学の研究によって、心拍出量の増加や深部体温の上昇など数々の有効性が証明されたのだ。この研究によると、血液の循環促進による老廃物の排出、炎症や痛みを発生させる物質の洗い出し、酸素栄養の供給がその効果の源で、普通の温泉の3~4倍もの効果があるという。
◆砂むし温泉を実際に体験し、その様子を撮影する。さらには、砂浜に温泉が勢いよく噴き出す塩田跡も視察する。
2.温泉の恵みが観光客を魅了する
~1日12万トンもの湯が湧き出すまち。産業への利用も~
・ヘルシーランド露天風呂「たまて箱温泉」
http://www.seika-spc.co.jp/healthy/?page_id=337
・山川製塩工場跡
http://www.ibusuki.or.jp/tourism/view/fushime/
指宿の魅力は、まちの各所で湧き出す温泉だ。泉源は1,000ヶ所を超え、1日あたりの総湧出量は約12万トンに上る。その熱源は地下深くのマグマであると考えられている。
この魅力に惹きつけられ、人口4万2000人の市に、年間約394万人もの観光客が訪れている(2014年統計)。近年では、台湾、韓国、中国などアジアの国々からの観光客も増加している。
指宿市が保有する露天風呂「たまて箱温泉」は、眼下に広がる大海原と、活火山である開聞岳を一望する絶景を楽しむことができる。旅行者の口コミで人気が拡大し、トリップバイザー社のランキングで3年連続全国1位に選ばれているほどだ。
温泉は観光に留まらず、産業にも利用されてきた。1940年代~60年代にかけては、海岸一帯の温泉熱を利用した製塩が行われていた。塩田跡では、当時熱源として利用されていた、地下から噴出する大量の蒸気を今も見ることができる。
◆営業前の時間を利用し、露天風呂「たまて箱温泉」内で、温泉の前に海と開聞岳が広がる絶景ポイントの撮影をする。また、かつて温泉熱が製塩に利用された塩田跡を訪れ、蒸気が絶え間なく噴出される様子も視察する。
3.温泉水を利用したうなぎ養殖
~水温維持とコストカットを実現。温泉のまちならではの知恵~
・いまむら養殖有限会社 代表取締役 今村 寛信さん
https://www.pref.kagoshima.jp/af05/sangyo- rodo/rinsui/suisangyo/suisanbutu/suisanitiban.html
鹿児島県は、温暖な気候と豊富な水に恵まれ、ウナギ養殖の好条件が揃っている。生産量は日本一(6,838トン)で、全国シェアは約39%だ(2014年統計)。
なかでも多くの温泉が湧き出る指宿市では、ウナギの養殖に温泉水が活用されている。ウナギの生育には、年間を通して水温30度が最適だからだ。
ウナギ養殖歴30年の今村さん(53歳)は、温泉水を利用して父親の代からウナギ養殖を営んできた。年間約50トン、25万匹ものウナギを生産しており、「毎年10月から翌年の梅雨明けまでの期間、温泉水を使う。水温を30度にするために燃油を使えば、ウナギ1キロあたり100円もかかってしまう」という。養殖場の敷地内にふんだんに湧き出る温泉を使えば燃油コストはゼロだ。
養殖場には、流れる水を見守るようにして、父親の代から祀られているという水神の祠が建てられている。
◆いまむら養殖を訪れ、今村さんに話を聞くと共に、ウナギ養殖現場を視察する。
4.火山灰土壌を利用したサツマイモ栽培
~水はけの良さを生かす知恵で、生産量日本一に~
https://www.pref.kagoshima.jp/ag01/sangyo-rodo/nogyo/nosanbutu/satumaimo/ziten/02_3.html
https://www.pref.kagoshima.jp/kids/sangyou/shokusangyou.html
https://www.kagoshima-shoku.com/2266
かつて薩摩の国と呼ばれていた鹿児島。江戸時代、この地から日本全国に広がったと言われるのがサツマイモだ。現在も盛んに生産されており、鹿児島県の生産量は37万4000トンと日本一で、全国シェアは約40%だ。その理由は、県本土面積の半分以上を覆う火山灰土壌にある。
火山灰土壌は、水が留まりにくく栄養が少ないため稲作には不向きだ。しかし、逆にさつまいもの栽培には水はけの良いこの土が適していることから、栽培が普及した。土壌の水はけが良いことで、水分は少なくでんぷん量が多い、高品質のサツマイモが育つのだ。人々は火山灰土壌の特性を生かす知恵で、この地をサツマイモの名産地にしてきた。
◆収穫期を迎えたサツマイモの畑を訪れ、農家に、火山土壌ならではの利点について聞く。
5.火山の恵みが詰まった酒、薩摩焼酎
~特産のサツマイモと豊富な湧き水が紡ぐ味~
指宿酒造株式会社
http://www.riemon.com/about_riemon
http://www.tanshikijyoryu-shochu.or.jp/satsumashochu/
火山灰土壌を活かして育てられたサツマイモと、火山の恵みである豊富な湧き水を原料に、鹿児島で盛んに作られているのが焼酎だ。
焼酎王国といわれる鹿児島県には、113もの蔵元があり、その出荷額は年間約1,260 億円に上る(2010年統計)。
2005年には、「薩摩」(※鹿児島の旧名)が、WTO(世界貿易機関)のTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)で、サツマイモ焼酎の地理的表示としての認定を受けた。ちなみに、世界ではワインのボルドー、シャンパーニュ、ウイスキーのスコッチなどの産地が地理的表示の指定を受けている。「薩摩焼酎」の表示が認められるのは、鹿児島県産のサツマイモと水を使い、県内で製造されたものだけだ。
指宿市内にある蔵元、指宿酒造でも、地元の農家が丹精込めて育てたサツマイモが9月に収穫期を迎えると、獲れたての新鮮なサツマイモを使った仕込みが始まる。
同社では、年間約50万本もの焼酎を出荷しており、近年は中国、香港、台湾、ベトナム、シンガポールや米国などへの輸出も始めている。
◆指宿酒造を訪れ、収穫されたサツマイモを加工する現場など焼酎造りの行程を視察する。
【実施要領】
1. 日程案: 2016年9月12日(月)~14日(水)(2泊3日)
1日目 (9月12日(月): 熊本(益城町~南阿蘇村~阿蘇市)
時間 |
取材内容 |
8:10-09:55(1h45)
|
羽田~熊本(JAL)
|
10:10-10:30(20) |
移動 |
10:30-11:00(30)
|
益城町の現状撮影(*調整中) |
11:00-12:30(1h30) |
移動および昼食(バス内お弁当) |
12:30-12:50(20)
|
南阿蘇村の現状撮影 |
12:50-13:00(10) |
移動 |
13:00-14:00(1h) |
仮設団地訪問、被災者取材(*調整中)
|
14:00-14:10(10) |
移動 |
14:10-14:55(45) |
営業再開したカフェ「ティッペル」
|
14:55-15:10(15) |
移動 |
15:10-16:20(1h10) |
阿蘇ファームランド
|
16:30-17:10(40) |
移動 |
17:10-18:10(60) |
阿蘇坊窯 山下 太氏
|
18:10-18:20(10) |
移動 |
18:20 |
ホテルチェックイン(内牧温泉) |
18:40-19:10(30) |
地元観光業関係者への取材 |
19:15-20:45(1h15) |
夕食 |
2日目 (9月13日(火)): 熊本(熊本市)
時間 |
取材内容 |
8:00 |
ホテルチェックアウト・出発 |
8:00-9:45(1h45) |
移動 |
10:30-11:30(1h)
|
熊本県知事(20) くまモン(20) 県担当者による補足説明(20)(仮) |
11:30-11:50(20) |
移動 |
12:00-12:30(30) |
昼食 (熊本城・城彩苑) |
12:30-12:50(20) |
飲食店関係者へのインタビュー(仮) |
13:00-14:20(1h20)
|
熊本城 (関係者に案内頂きつつ外周より撮影) |
14:30-15:00(30) |
移動 |
15:15-16:07(52)
|
熊本~鹿児島中央(九州新幹線)
|
16:10-17:40(1h30) |
移動 |
17:40 |
ホテルチェックイン(指宿温泉) |
18:00-19:30 |
夕食 (※希望者は、夕食後に各自砂むし温泉体験) |
3日目 (9月14日(水): 鹿児島(指宿市)
時間 |
取材内容 |
8:15-8:35(20)
|
指宿市関係者による概要説明①: 火山の恵み(温泉、火山土壌による特産物など) |
8:35-9:00(15) |
移動 |
9:00-9:30(30) |
ヘルシーランド露天風呂「たまて箱温泉」撮影
|
9:30-10:00(30) |
移動 |
10:00-10:45(45)
|
サツマイモ農家 (薩摩焼酎用のサツマイモ畑) |
10:45-11:00(15) |
移動 |
11:00-12:15(1h15) |
薩摩焼酎の蔵元 指宿酒造株式会社
|
12:15-12:45(30) |
移動 |
12:45-13:30(45) |
昼食 |
13:30-13:50 |
移動 |
13:50-14:50(50) |
温泉水を利用したうなぎ養殖
|
14:50-15:00(10) |
移動 |
15:00-16:45(1h45) |
指宿市関係者による概要説明②:市の観光概況・震災の影響、砂むし温泉の効能など
塩田跡~開聞岳遠景~砂むし温泉撮影(市関係者にご案内頂きつつ) |
16:45-18:30(1h45) |
ヘルシーランド~鹿児島空港 |
19:25-21:15 |
鹿児島空港~羽田空港(ANA) |
2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用: 1人15,000円(全行程交通費、宿泊費、食費を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。
4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5. FPCJ担当: 吉田知加(TEL: 03-3501-3405)
6.備考:
(1) 写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2) 経済産業省、JTB九州、FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。
(3) 現在調整中の取材日程については、変更になる可能性があります。また、本案内の情報は、8月初旬時点のものであり、9月の実施日には状況が変化している可能性があります。ご了承下さい。