プレスツアー(案内)

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実施日 : 2015年10月23日

案内:横浜プレスツアー「多国籍の人々が共生する社会に向けた試み」

投稿日 : 2015年10月08日

- ベトナムからの難民など約10カ国の人々が暮らす団地 -

- 外国にルーツを持つ生徒が全体の50%以上を占める小学校 -

- 8名もの外国人介護職員が活躍する特別養護老人ホーム -

 

 

 島国である日本は、歴史上異文化との交流が限られていた時代もあったことから社会の同質性が極めて高く、他の先進諸国と比較すると多文化の共生は進んでいるとは言い難い状況だ。また、日本語が母語ではない人が日本社会で生活するうえで、日本語が大きな壁になることも多い。

 一方、2014年末時点で、日本における在留外国人の数は212万人を超えている。前年末と比べて5万5千人以上(2.7%)増加しており、多文化・多国籍の人々との共生は、今後ますます重要なテーマになっていくものと考えられる。

 

共生を模索してきた地域の事例

1-DSCF6195RE 同質性の高い日本社会で異なる文化的背景を持つ人々がどう共生していけるかを考えるうえで、一つの重要な事例を横浜市に見ることができる。同市の泉区には、20年以上前から外国人住民が増加している地域があるのだ。大規模な公営集合住宅群「いちょう団地」では、約10カ国の人々が暮らしており、約2,100世帯のうち2割以上が外国人世帯である。1980年代からベトナムを始めとするインドシナからの難民などの定住が進み、さらに中国残留日本人孤児やその家族、日系のブラジル人やペルー人など多様な文化背景の人々が集まっている。近隣の小学校は全校生徒の50%以上を外国にルーツを持つ子供たちが占めている。この地域では、住民、小学校、地元ボランティア団体などが連携し、異言語、異文化の人々と共にコミュニティを形成する道が模索されてきた。

 

介護現場における事例

 さらに横浜市内では、少子高齢化で介護人材不足が深刻化するなか、EPA(経済連携協定)の枠組みで来日した外国人職員が活躍している介護現場の先行事例も見ることができる。

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Ⅰ.本プレスツアーでは、共生を模索してきた地域の事例として、横浜市・泉区を訪れ、住民の多国籍化が進むいちょう団地、全校の50%以上を外国にルーツを持つ生徒が占める小学校、草の根で外国人と日本社会を結ぶ活動を続けてきたボランティア団体に取材する。

 

Ⅱ.さらに、介護現場における事例として、横浜市・保土ケ谷区の特別養護老人ホームを訪れ、施設で活躍する外国人職員や介護の様子を取材する。

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※本プレスツアーは横浜市が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しています。

 

 

【取材内容】

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Ⅰ.地域の事例:20年に渡って多国籍の人々と共生する道を模索

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1.外国籍世帯が増加し、約10カ国の人々が共に暮らす公営集合住宅群

神奈川県営 いちょう団地

・自治会関係者

・団地住民

http://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/02suishin/01kouhou/izumikuban/h27kouyoko/1-27/ichodanchi.html

 

80年代から進んだ多国籍化。インドシナ難民や中国残留日本人孤児とその家族などが入居

3-s260-DSC_0008-icho 神奈川県内で最大規模の県営団地である「いちょう団地」(横浜市泉区)。約2,100世帯のうち、2割以上が外国人世帯と言われており、ベトナム、カンボジア、中国、ラオス、インドネシア、ブラジルなど約10カ国の人々が暮らしている。

 いちょう団地は、高度経済成長期で人口増加が進むなか1971年に作られた。ここに外国人が住み始めたのは1980年代。きっかけは、隣接する大和市にベトナム、ラオス、カンボジア難民のための定住支援施設「大和定住促進センター」ができたことだった。

 1975年のベトナム戦争終結に前後して、インドシナ3国(ベトナム・ラオス・カンボジア)で新たに社会主義体制が発足し、多くの人々が難民として国外へ脱出した。4-s260-DSC_0006-restaurant-trimmed日本にも1980年の1,278人をピークに、70年代半ばから90年代初めまで多くの人々が「ボートピープル」として渡ってきた。これに対する日本政府の支援のひとつとして作られたのが「大和定住促進センター」だった。半年間入所でき、日本語教育や職業の斡旋などの支援を受けることができた同センターは、1980年の設立から1998年の閉所まで2,600人以上の難民を社会に送り出した。そして、センターで研修を終えた難民やその家族が、近くのいちょう団地に移り住むようになった。 

 さらに、「中国残留日本人孤児」(第二次世界大戦末期の混乱のなか、日本への引き揚げがかなわず中国に取り残された日本人。当時その多くが子供。)として中国で育った人々の帰国が1980年代から増え、これらの人々やその家族もいちょう団地に住むようになった。また、周辺に自動車関係などの工場が立地していることから、出稼ぎで日本にやってきた日系のブラジル人やペルー人も入居している。団地敷地内や周辺には、外国人のニーズに合わせた東南アジア食材店などが点在するようになった。

 

試行錯誤のなかで模索した外国籍住民との共生

5-s260-ichoudanchi-60trimmed 当初、文化や生活習慣の違いから、新たに入ってきた外国人と日本人住民との間にコミュニケーションが図られることは少なく、溝があった。特に言葉の壁により意思疎通ができないという問題は大きく、ゴミ出しのルールや交通規則など、外国人住民が日本語の情報を理解できないことで起こるトラブルも多かった。試行錯誤の末、現在では、ゴミの出し方を示す団地内の掲示板が6言語で表記されていたり、暮らし方マニュアルの冊子が8言語で配布されるなど情報の多言語が進んでいる。また、自治会や地域のボランティア団体などの長年の働きかけにより、外国人住民も敷地内の清掃やお祭りなど自治会の活動に参加するようになった。自治会による団地内の放送も、外国人住民が参加して4言語で行われている。

◆いちょう団地を訪れ、自治会関係者や住民にこれまでの歩みや、多文化共生に向けた取組みについて聞く。また、敷地内にある東南アジア食材店も訪れる。

 

 

 

2.外国にルーツを持つ生徒が50%以上を占める小学校

横浜市立 飯田北いちょう小学校 

・校長 田中秀仁さん

http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/iidakitaicho/

 

6-DSCF6195RE小学校全体の生徒数は減少するなか、外国籍の生徒は増加

 いちょう団地やその周辺に住む外国人の子どもたちが通う飯田北いちょう小学校では、全校生徒320名のうち、外国籍の生徒が141名(44%)だ。日本国籍を取得した外国にルーツを持つ生徒(26名)を加えると、全体の約52%を外国につながる子どもたちが占めている。ここでは、日本、ベトナム、中国、カンボジア、ラオス、ブラジル、タイの7カ国の子どもたちが共に学んでいる。日本社会の少子高齢化が進むなか小学校全体の生徒数は減少しているが、外国籍の生徒は増える傾向にある。

 

多国籍・多言語の子どもたちに向き合う教育現場

7-DSCF6226RE 外国籍・外国にルーツを持つ生徒のなかには、日本語での日常会話や学習ができない子どもも多い。子ども以上に親が日本語でのコミュニケーションが取れないケースも多くある。教育現場では、それらの課題に約20年前から取組んできた。日本生まれで日本語の日常会話ができる外国籍の子どもたちも、学習に使う語彙が不足していて勉強についていけないという問題が多く見られるため、現在、飯田北いちょう小学校では、国語と算数の授業時間を日本語のレベルに合わせて4~5個のグループに分けている。少人数制にして、よりきめ細かい指導をしているのだ。また、通訳やボランティアを配置して外国語による対応も行っている。さらに、子供たちの中には、日常生活の大半のコミュニケーションが日本語となることで、母語を忘れて家庭での親子の会話が困難になるという別の課題もあるため、ベトナム語学習教室も開催している。

 同校の田中校長は、「日本人の子どもたちも将来外国で仕事をしたり、外国人と働くことが増えていくと思う。多文化の人々が共に生きる社会を体験することが子供たちみんなにとってプラスになると思う」と語る。

◆飯田北いちょう小学校を訪れ、田中校長から、多国籍・多言語の子どもたちを教える現場で直面した課題や、それに対する取組みについて聞く。また教室を訪れ、実際に多国籍の子どもたちが学んでいる現場も視察する。

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3.外国人と日本社会の橋渡しをしてきた草の根活動 

ボランティア団体 多文化まちづくり工房 

・代表 早川秀樹さん

・ベトナム語通訳職員 グェン・ファン・ティ・ホアン・ハーさん

http://tmkobo.com/index.html

 

日本語教室、子供たちへの補習授業から生活相談まで

s260-nihongokyoshistu いちょう団地の目の前に拠点を構え、外国籍の住民が日本社会で暮らしていくためのサポートをしているボランティア団体多文化まちづくり工房。代表の早川さんは、日本に帰国した中国残留孤児向けの日本語教室を大学生時代に始めたことがきっかけで、約20年にわたってこの地域で活動を続けてきた。

 まちづくり工房では、大人向けの日本語教室に加え、子供たちへの補習教室や進路相談、そして学校や団地自治会などへの通訳派遣などを行っている。また、外国籍の住民からの多種多様な生活相談も受け付けており、役所や学校から届く書類の内容を説明して欲しい、結婚・離婚など法的手続について聞きたいなど、年間1,500件もの相談が寄せられている。

 さらに、いちょう団地内の掲示物・配布物の翻訳を手がけたり、団地内の放送の多言語化など自治会の活動に協力し、日本人住民との間のコミュニケーションの橋渡し役を務めてきた。

 このような、外国籍の人や子どもたちの居場所を創り出し、地域に新たな繋がりを作りだしている点が認められ、昨年度に総務大臣賞である「ふるさとづくり大賞」で団体表彰を受賞している。 

 

いちょう団地で育った外国にルーツを持つ若者たちが多言語化や防災に活躍

 2010年には、いちょう団地育ちの外国にルーツを持つ若者たちが中心になり、防災組織「TRY angels」も立ち上げた。メンバーは救命救急講習を受講し、地域の防災訓練に参加。6言語併記の「防災パンフレット」や、「応急手当法リーフレット」も作成している。このように、いちょう団地で育ち、日本語と外国語両方を理解できる若者たちは、異言語間を繋ぐ大きな役割を果たしている。そのうちの一人が、ベトナムからの難民を親に持ち、10歳で来日したハーさんだ。多文化まちづくり工房の支援も得て日本語の習得や勉学に励み、現在はこの団体の通訳になって、地域になくてはならない存在となっている。

◆多文化まちづくり工房 代表の早川さんや、通訳スタッフのハーさんに活動内容などについて聞く。

try angels

 

 

 

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Ⅱ.介護現場の先行事例:人材不足が深刻化するなか外国人介護職員が活躍

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4.EPAで来日した 8名の外国人介護職員が働く特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム よつば苑

・よつば苑 施設長(社会福祉法人育生会 副理事長) 碓井義彦さん

・フィリピン人介護福祉士 アレクサンダー・デラクルスさん他、外国人職員

http://fuku-ikuseikai.com/yotsubaen.html

 

13-DSCF6252trimmedEPAに基づく外国からの介護人材の受入れ

 少子高齢化が進む日本で、特に人材不足が深刻化しているのが介護分野だ。一方、日本では、EPA(経済連携協定)に基づき、国家資格である介護福祉士を目指す研修生の受入れが始まっており、2008年の対インドネシアを皮切りに、2009年からはフィリピン、2014年からベトナムとその範囲が広がっている。介護福祉士を目指す場合は、来日後3年間の実務研修を積み、4年目で試験を受けて合格を目指す仕組みだ。合格すれば期間の制限なく働き続けることが可能になる。

 

8名の外国人職員が活躍する介護現場

14-s260-P1030236[1] 横浜市(保土ケ谷区)にある特別養護老人ホーム「よつば苑」では、介護人材の確保に長期的に取組みたいと、EPAで来日したフィリピン人を積極的に採用してきた。同施設のベッド数は120床。特別養護老人ホームのため、利用者のほとんどが介護が常時必要で在宅での生活が困難な高齢者だ。

 15-DSCF6257trimmedよつば苑では、介護職員約40人のうち8人が外国人(フィリピン人およびベトナム人)だ。うちEPAの研修期間を終えた5名は、国家試験を突破して、介護福祉士の資格を取得している。彼らは正職員として採用され、職場に不可欠な存在として日本人と同じ待遇で働いている。同施設では、3年間の研修期間中は、「しっかり勉強して4年目で試験に合格して継続して働いて貰いたい」という考えのもと、横浜市などの助成を活用し、研修生が業務時間に日本語研修を受けたり、福祉専門学校に通学できるようにバックアップしてきた。外国人介護職員の仕事ぶりについて、施設長の碓井さんは「フレンドリーで、思いやり深く高齢者に接していて、良い仕事をしている。介護を受けている人や家族から不満を聞くこともない。よくやってくれて頭が下がると言われる」と語る。

◆よつば苑を訪れ、施設長の碓井さんや、外国籍の介護職員に話を聞く。さらに、職員が高齢者と接している介護現場の様子も視察する。

 

 

【実施要領】

8:00 関内駅集合

8:00-9:00 借上げバスで移動

9:00-10:45 横浜市立 飯田北いちょう小学校

11:00-12:30 ボランティア団体 多文化まちづくり工房

12:30-13:15 昼食

13:30-15:00 いちょう団地

15:00-15:45 借上げバスで移動

15:45-17:15 特別養護老人ホーム よつば苑

17:15-17:45 借上げバスで移動

17:45 横浜駅解散

 

 

2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用: 11,500円(全行程交通費、昼食代を含む)

*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TV12名まで)。

*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5. FPCJ担当:吉田知加(TEL: 03-3501-3405

 

6.備考:

(1) 写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。

(特に小学校や介護施設内などでの撮影については、撮影できるタイミングや人物に制限がありますのでご注意下さい。)

(2) FPCJおよび横浜市はツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

(3) 本プレスツアーでは、参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

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