実施日 : 2013年11月20日
案内:プレスツアー「子育て・女性活躍支援で日本をリードする横浜市」
投稿日 : 2013年11月01日
先進国でも突出して女性の社会進出が遅れている国といわれる日本。出産や育児で仕事を辞める女性が6割以上にのぼり、企業管理職に占める女性の割合は約1割と他の先進国に比べて著しく低い。一方、日本で女性の潜在的な労働力を活用すれば、その経済波及効果は6兆円に上るとの試算もある(2013年7月電通総研調べ)。IMFが2012年10月に発表した「Can women save Japan?」と題するレポートで、女性の社会参加により日本の1人当たりGDPは4~5%上昇すると予測。安倍総理大臣も、4月のスピーチで成長戦略の柱に「女性の活躍」を位置づけ、子育てと仕事を両立できる環境整備に力を注ぐ考えを表明した。
同スピーチの中で、国や全国の自治体が学ぶべき「お手本」として安倍総理が言及したのが「横浜市」の取組みだ。横浜市は、林文子市長のリーダーシップの下、「女性の社会進出支援」「子育て支援」に積極的に取り組んできた。中でも出産した女性の社会復帰を妨げる一因となっている「保育所待機児童問題(※)」では、「全国の市町村で待機児童数が最も多い」状態から、わずか3年で、待機児童ゼロを実現(2013年4月1日時点)。安倍政権は、この快挙を生んだ横浜市の一連の取組み、いわゆる「横浜方式」を全国に拡げていくことで、現在、日本に約2万3000人いるとされる待機児童数を2017年までにゼロとする目標を掲げている。
※日本の都市部では、母親が働くために子供を保育所に預けたくても保育所が満員で入れないというケースが相次ぎ、大きな社会問題となっている。
本プレスツアーでは、「日本経済再生のカギ」と目される「女性の活用」に向けた動きを牽引する横浜市の取組みを取材する。特に、「保育コンシェルジュの設置」「株式会社の保育事業参入促進」「土地の有効活用」などの工夫により、「待機児童ゼロ」を達成した「横浜方式」に焦点を当てる。
*本プレスツアーは横浜市が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画協力しています。
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<取材内容>
1. 林文子 横浜市長ブリーフィング
2005年に米国『フォーブス』誌の「世界で最も影響力のある女性100人」、2008年に米国『フォーチュン』誌の「世界ビジネス界で最強の女性50人」にも選ばれた林市長。日本で今よりももっと女性管理職が珍しかった時代に、BMW東京社長、ダイエーCEO、日産自動車執行役員など、大企業のトップ・マネージャー職を歴任してきた。2009年に横浜市長に就任した直後に「保育所待機児童解消プロジェクト」を発足。予算の重点配分(3年間で72億円から157億円へ増加)、「保育コンシェルジュ」の設置、株式会社の保育事業参入促進、保育所の大幅増設など様々な施策を一気に推し進めた結果、「当時全国ワーストの1552人に上る待機児童を3年間でゼロにする」という目標を見事に達成した。2013年9月にインドネシアで開催された「APEC女性と経済フォーラム」では、「今でも日本では重要な意思決定をするポジションに着く女性が極めて少ない」ことに言及。「だからこそ、自ら市長になり、女性の活躍を自分の使命とし、横浜から日本を変えていくことを決心した」と語っている。
◎ツアーでは、林市長より、日本政府の施策にも大きな影響を与えた「横浜方式」をはじめ、市の女性の社会進出・子育て支援策についてお話を伺う。
2.神奈川区地域子育て支援拠点「かなーちえ」
「地域子育て支援拠点」は、「子育てをする親を孤立させず、地域で子供を育てていこう」という考えから、横浜市内の全18区に1箇所ずつ設置された。登録をすれば無料で施設を利用することが可能で、就学前の子供とその保護者が遊び・交流したり、子育てに関する情報交換・相談をしたりする場となっている。また、普段は在宅で育児を行っているが、一時的に子供を預けたい保護者と、子供を預かってくれる地域の人を結びつける役割も担っている。核家族化が進み、子育てする母親の孤立化という問題が指摘される中、横浜市にならった「地域子育て支援拠点」の設置の動きは、東京にも拡がりを見せている。
◎ツアーでは施設長の案内で「かなーちえ」を視察する。
3.保育コンシェルジュ・インタビュー
~各家庭のニーズにあった多様な保育サービスを紹介~
保育コンシェルジュとは、横浜市が全国に先駆けて配置した保育サービス専門の相談員。「待機児童となった1552人の家庭がどういう状況なのか、一人ひとりにお会いしてきちんとフォローしなければ」、さらに「保護者の方のニーズや事情にあった、きめ細かな対応をしなければ」という林市長の指示を受けて2011年に市内全18区に配置。各家庭のニーズを丁寧に把握して、その家庭にあった保育サービスを紹介するように努めた。例えば、働く親の中には、フルタイム勤務の人から、週2日だけ働いているという保護者もいて、全ての保護者が毎日朝から夜まで子供を預かってくれる保育所を必要としている訳ではない。横浜市では、保護者の勤務形態に応じて、フルタイム仕様の保育所から、子どもの一時預かりサービスまで、多様な選択肢を用意し、ニーズに応じて紹介することで、待機児童の解消につなげたのである。
◎ツアーでは、「かなーちえ」にて、保育コンシェルジュ2名にインタビューを行う。
4.屏風ケ浦はるかぜ保育園
~限られた土地を有効活用!高架下の保育所~
日本でも珍しい道路の高架下にある保育所。横浜市では、待機児童ゼロを目指すにあたって、「保育コンシェルジュ」の設置をはじめとする「ソフト面」を充実するとともに、保育所を増設するというハード面の整備を同時並行で進めてきた。保育所増設にあたり、市が行ったことの1つが「市有地や民有地の貸し付けによる保育園の整備」だ。その第一歩として、担当職員が一丸となって「保育所に使えそうな土地探し」を市内で徹底的に行い、見つかった場所で保育事業を行いたいという法人を募集した。「屏風ヶ浦はるかぜ保育園」は、市有地といっても市道の高架下を活用して生まれた。限られた土地を可能な限り有効活用して保育所を整備しようという横浜市の努力の結晶とも言える。
◎ツアーでは、横浜市の取組により道路の高架下という、これまであまり保育園整備の例がない場所に誕生した「屏風ヶ浦はるかぜ保育園」を訪れ、施設長から話を聞く。
5.P’sスマイル保育園
http://www.doronko.biz/pssmile/
~駅ビル6階に誕生した親にも子どもにも優しい保育園~
横浜市の「保育所整備マッチング」事業により誕生した、 JR鶴見駅ビル6階にある保育所。「整備マッチング事業」とは、土地の所有者と保育事業を行う法人とを市がいわば「仲人役」となって結びつける事業。P’sスマイル保育園は、地権者であるJR東日本と事業を行う「社会福祉法人どろんこ会」を結びつけた事例。JR東日本は、1996年より、子育て支援事業として沿線に保育園を開設する「Happy Child Project」を展開しており、一方のどろんこ会も、働く親の利便性を考え、「駅前型保育」に力を入れてきた。園内の空間デザインは、児童行動学に基づいて数々の学校・保育所の空間をデザインしてきた千葉大学の柳沢要教授の研究チームが手掛けた。「駅ビルの一角」という非常に限られた空間のなかで、どうすれば子供たちに一つでも多くの経験をする機会をつくることができるか、という観点で作られた園内には様々な工夫が施されている。「どろんこ会」の理事長を務める安永愛香氏は、かつて自身の子どもを保育園に預けたときに、保育サービスの質や保育業界の抱える問題に危機感を頂いたことがきっかけで、自ら保育園をつくることを決心したという。現在は「どろんこ会」のほか、2つの株式会社を経営し保育事業を行っている。
◎ツアーでは、P’sスマイル保育園を訪れ、保育園の概要、日本の保育事業の現状、横浜市で保育事業を行う利点等につき話を聞く。また、施設の利用者であるワーキングマザーにインタビューを行う。
<実施要領>
1.日程案: 2013年11月20日(水)
11:00-12:00 林文子 横浜市長ブリーフィング(於:フォーリン・プレスセンター会見室)
12:00-12:40 昼食(同上)
12:45 日本プレスセンタービル発(借り上げバス)
13:30-14:15 神奈川区地域子育て支援拠点かなーちぇ
保育コンシェルジュインタビュー
14:45-15:30 屏風ケ浦はるかぜ保育園
16:15-17:30 P’sスマイル保育園
18:15 日本プレスセンタービル着
(※上記は仮日程です。若干の変更が生じる可能性があります。)
2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用: 1人1,500円(交通費、昼食代含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。
4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5. FPCJ担当:石川、大沼(TEL: 03-3501-3405)
6.備考:
(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2)横浜市、FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。