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戦後70年、広島の平和記念式典(2015年8月6日)

投稿日 : 2015年08月06日

注目すべき海外メディアの日本報道

(8月3日~8月6日)

 

平成27年8月6日

 

戦後70年、広島の平和記念式典について各国メディアが報じる

原爆が投下されてから70年を迎える広島市で、8月6日、平和記念式典が開かれた。過去最多の100カ国の代表を含む約5万5000人が参列した。式典では広島市の松井一實市長が平和宣言を読み上げ、「『非人道の極み』、『絶対悪』である核兵器の廃絶を目指さなければなりません」と核廃絶を訴えた。続いて安倍総理が、「核兵器のない世界」の実現に向けて、今秋の国連総会に新たな核兵器廃絶決議案を提出する意向を表明した。広島市では、原爆によりその年だけで約14万人が死亡したとされる。被爆者の平均年齢は80歳を超え、被爆体験の継承が引き続き課題となっている。

 

記念式典の模様は、世界各国で報じられた。BBC電子版(英国)は、6日付けで、「広島原爆投下から70年」を掲載。式典の進行を写真を交えて伝え、「被爆から七十年を迎えた今朝、私は、改めて平和の尊さに思いを致しています」との安倍総理の言葉を紹介した。ガーディアン紙(英国)は「広島、原爆投下の日を記憶する」を、ル・モンド紙電子版(フランス)は「広島で鐘の音、歴史上初の原爆投下から70年」をそれぞれ速報で掲載し、核廃絶を訴える松井市長の言葉などを伝えた。

 

8月6日にあわせ、被爆者の声を伝える報道も相次いだ。米国では、CNN電子版が、6日付けで、アイヴァン・ワトソン記者「広島:悲しみ、原爆の恐怖は70年たっても消えない」を広島発で掲載。17歳で被爆し、2年後に出産した長男が生後わずか18日で原爆症により死亡した女性の思いなどを伝えた。ニューヨーク・タイムズ紙電子版は、5日付けで、ジョナサン・ソブル東京特派員「広島の被爆者 自身の体験を新しい世代に継承する」を広島発で掲載。NHKの調査で、広島市の住民の約3割が原爆投下の日付を答えられなかったことなど、風化が進む現状や、風化を食い止めようと「伝承」に取り組む人々を取り上げた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版は、4日付けで、林由佳記者「広島:被爆から70年」を広島発で掲載。生後8ヶ月で被爆し、のちに米国で広島に原爆を投下した航空機のパイロットと面会した経験を持つ女性などを紹介した。また、ロイター通信電子版は、4日付けで、リンダ・シーグ記者「日本の被爆者 核に反対の声、安倍総理の戦争観を非難」を掲載。高校生の時に被爆した、福島県原爆被害者協議会の星埜惇氏が、東日本大震災の福島第一原発事故を受けて反原発への思いを強めた経緯などを紹介した。

 

このほか、ガーディアン紙電子版が、3日付けで、ジャスティン・マッカリー東京特派員「広島の原爆投下を生き延びた男性:『生き地獄を味わった』」を広島発で掲載。20歳で被爆した体験を語り伝える広島県原爆被害者団体協議会の坪井直理事長や、スカイプを通じて被爆体験を伝えている84歳の女性の活動などを伝えた。フランクフルター・アルゲマイネ紙電子版(ドイツ)は、5日付けの「広島から70ドラゴンは放たれた」で原子爆弾について取り上げた。

 

アジアでは、聯合ニュース(韓国)が、5日付けで「原爆投下70韓日学生が広島で韓国人犠牲者を追悼」を掲載。日韓の大学生らが、平和記念公園内にある韓国人犠牲者の慰霊碑で追悼を行ったことを報じた。朝鮮日報日本語電子版(韓国)は、金秀恵東京特派員「朴槿令氏「『天皇はすでに謝罪、靖国参拝反対は内政干渉』」を6日付けで掲載し、朴槿恵大統領の実妹である朴槿令氏が、日本のインターネット動画配信サイト「ニコニコ動画」の取材に応じたことを報じた。また、中央日報日本語電子版(韓国)は、「有識者懇の北岡氏、70年談話『おわびが足りないと言うのは日本のメディアと韓国だけ』」を掲載し、安倍首相が発表する戦後70年談話をめぐり、有識者懇談会座長代理の北岡伸一氏の発言を、日本メディアの報道を引用して伝えた。

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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