実施日 : 2014年06月15日 - 25日
報告:ASEAN記者招聘事業
投稿日 : 2014年07月18日
2014年6月15-25日 の日程で、ASEAN記者招聘事業「東日本大震災からの復興~海洋資源を活かした東北再生をアジアと共有~」を行いました。津波など沿岸災害のリスクを抱えるアジアの国から日本に記者を招いて、東日本大震災から日本が得た教訓や、海洋資源を活かした復興の取り組みを取材してもらうことにより、各国における防災への取り組みの強化などにつなげてもらうことを目的とした事業です。インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイから計4名の記者が参加し、11日間にわたり、東京及び震災被災地で取材を行いました。
※本事業は日本財団、東芝国際交流財団から助成を受けて実施しました。
取材テーマと対象国
東日本大震災から3年が経過し、被災地では復興の取り組みが本格化しています。被災地のみならず、日本各地でも今回の震災から得た経験と教訓をもとに災害対策が進んでいます。世界には、日本と同じように津波や高潮などの危険に晒されている国、災害からの復興に取り組んでいる国が多くあります。日本と同じように国土を海に囲まれ、自然災害の影響を受けやすいASEAN諸国などがそうです。そのASEAN諸国は地理的にも日本に近く、日本にとって重要なパートナーですが、殆どの国の報道機関は日本に支局を開設していません。そのため、彼らが震災後の日本を直接取材し、今回の震災の教訓を本国で報道する機会は極めて限られていました。そのような現状を踏まえ、今回の事業では、ASEAN諸国の中でもインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイから、各国を代表する報道機関の若手記者を中心に計4名、日本に招待しました。
取材先
参加記者たちは、6月15日から25日まで11日間のうち、約半分は東京での取材に充て、気象庁の津波警報システムや東京都の高潮対策などを取材しました。それ以外の日程は、震災による津波で大きな被害を受けた東北地方の太平洋沿岸部を岩手県宮古市から宮城県岩沼市まで移動しながら、各地で地元住民や行政関係者へのインタビューや現場視察を通じ、災害に強いまちづくりや防災教育、持続可能な漁業などの取り組みを取材しました。
こちらが今回訪問した箇所の地図です。
当センターのFacebookに写真を多数掲載していますので、こちらもぜひご覧ください。
参加記者の反応
全行程を通じ、参加記者は「東日本大震災における日本の経験を共有し、自国の災害への備えに役立てよう」という問題意識を持って取材をしていました。
取材先のなかで、記者たちが最も高い関心を示したのは、「森は海の恋人」と「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」という2つのNPO活動でした。「森は海の恋人」は、海を守るためには実は森を守る必要があることに気づき、子供たちへの環境教育や森づくり、自然環境保全に取り組んでいる宮城県気仙沼市の団体です。一方の「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」は、震災瓦礫と土を混ぜたところに木を植えて森を作り、自然の防潮堤にしようという現在進行形のプロジェクトで、今回は宮城県岩沼市の植樹現場を訪問することができました。「海を守るために森を守る」、「自然の力によっていのちを守る」という、どちらも古いようで新しい、どこの国でも実践できる取り組みに、記者たちは熱い視線を注いでいました。
全ての日程を終えた後、記者からは以下のような感想を聞くことができました。
●政府関係者だけでなく、NPO職員、漁師、大学教授、学校関係者、ビジネスマン等、様々なセクターの人から話を聞き、バランスのとれた取材が実現できてよかった。
●自分の国でも最近大きな災害があったので、被災地の方々から聞いたアドバイスは本国の人々に参考にしてもらえると思う。
●同様のプログラムをもっと組んでほしい。
参加記者による報道を通じて、それぞれの国での防災・減災意識が向上することを願ってやみません。
逆取材も受けました!
記者たちの取材の様子が岩手日報、三陸新報、河北新報に掲載されました。
河北新報の記事はこちら
招聘した記者
【フィリピン】Mr. Dewey Joseph Gida Yap
Philippine Daily Inquirer(フィリピン・デイリー・インクワイラー) 記者
*フィリピン・デイリー・インクワイラー紙: 1日あたり50万人以上の読者を有するフィリピン最大の日刊英語紙。
*どんな記者?…日本人が知らないこともたくさん知っていて、驚かされました。
【タイ】Mr. Thasong Asvasena
The Nation(ネーション) Senior Rewriter/Front page Editor
*ネーション紙: 1971年創刊。発行部数は日刊約5万部で英字紙としてはタイ国内第2位。
*どんな記者?・・・4人の記者のなかでも最年長だったこともあってか、若手記者に人生を説いてくれました。
【マレーシア】Ms. Azzah Mohamad @ Md Som
Bernama(ベルナマ通信) 国際部記者
*ベルナマ通信: 多民族国家といわれるマレーシアにおいて、マレー語、英語、中国語、スペイン語、アラビア語で様々なニュース配信をしている国営通信社。
*どんな記者?・・・おしとやかな外見とは裏腹に、繰り出す質問は切れ味鋭かったです。
【インドネシア】Mr. Bayu Prasetyo
ANTARA(アンタラ通信) 国内ニュース記者
*アンタラ通信: インドネシア主要紙や地方テレビ局など約500社にニュース配信する国内最大の通信社。
*どんな記者?・・・歌と甘いものが大好き。休憩時間はよく遊び、取材中はとても真剣な切り替え上手。
既に記事が出ています!
各記者からは、既に記事の報告を受けています。別途ご報告致しますので、ご期待下さい。