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動画報告:FPCJフォーラム「対外情報発信のあり方~誰に対し、何を、どう発信するか」(2013年1月22日)

投稿日 : 2013年01月22日

 

1月22日、FPCJは賛助会員向けのフォーラムを開催しました。パネリストに、共同通信社・山口顧問、日本放送協会・脇田国際放送局長、ニッポンドットコムの原野理事長をお招きし、これからの対外情報発信について講演頂きました。

 

テーマ: 対外情報発信のあり方~誰に対し、何を、どう発信するか」
世界を取り巻く経済不安、各地で大規模化する災害、加速する少子高齢化、都市と地方の格差拡大など様々な地球規模の課題を前に、日本はどのような立ち位置から、誰に向けて、何を発信していくのか。オールド・メディアからニュー・メディアへと多様化する中で、どのプラットフォームをどう効果的に活用すべきか。絶えず変化をし続ける情報、その発信の在り方を、発信しながら考えていきます。

 

司会: フォーリン・プレスセンター 理事長 赤阪清隆

 

パネリスト:
◆共同通信社 経営企画室 顧問 山口光氏

1968年共同通信社入社。ジュネーブ支局長、共同通信国際局長、業務顧問、企画経営室顧問等を歴任。

 

これまで日本の対外発信は北米・欧州に向けた英語(翻訳)での発信に注力していたが、今や非英語圏(アジア、中東、アフリカ、南米)に対しても「目に見える形」で「きめ細やかな」発信が必要とされる時代。ネットやSNSで自ら発信している一般市民も巻き込み、マルチ・プラットフォームを駆使して、リアルタイムで発信する仕掛けや人材開発を、政/官/財・メディアの連携でやっていく時がきた。対外発信に足りないもの、リーチできていないもの、知られているようで知られていない話などをどう伝えていくべきか、物事を「多様」且つ「重層的」にとらえ、伝えることが重要。共同通信のJAPAN PORTALはグローバルな配信ネットワークを活用した多言語海外情報発信サービス。中国やアジア、米欧など世界60カ国の主要海外メディアへの情報一斉配信に対応し、英語、中国語、ハングルで国別、業界別のテーラーメイドの情報発信を可能にしている。「官」や「公」だけでなく、多面的、民主的に、多様性を生かしながら「民」の発信も行っていくことが重要だ。また発信した情報がリーチしているかどうかの検証-どの程度の人がみているか、そのサンプリングなども必要で、そこではSNSが役立つ。「個人」や「地域」からの発信を効果的に連携させ、拡充していく枠組みつくりが大事だ。

 

◆日本放送協会 国際放送局長 脇田哲志氏
1979年日本放送協会入局。中国総局長、国際部長、アメリカ総局長等を経て、2011年6月より現職。

 

日本からの情報発信とは何か? 日本の国際放送を担当する公共放送の立場から、「何を、どのように、何のために、か?」を問いたい。世界の人々が、それをどう受け止めるかの視点も大切だ。NHKの国際放送「NHK WORLD」。ラジオ日本(18カ国語)はまもなく80周年、在外邦人向けの日本語TVは20年あまりの歴史を持つが、国際放送の主力を担う英語の「NHKワールドTV」は始まってまだ4年足らず。世界の130の国と地域で1億6000万を超える世帯で見てもらえるまでに成長したが、先輩格のBBCやCNNを目標に、NHKは国際発信力強化を経営計画の柱の一つにしている。日本、アジアの情報を中心に、24時間毎正時に伝える最新のニュース。さらに科学技術、文化、芸術、各地の魅力、和食、ファッション、アニメ、JPOPなど日本が誇る様々な分野を番組にして伝えている。課題は、世界のさらに多くの人々に見てもらうこと。中国を含むアジア情報の強化により世界の他の国際放送との一層の差異化を図ること。世界の隅々まで届くきめ細かい配信網の整備が必要だし、インターネットの積極活用も重要だ。

 

 

◆一般財団法人ニッポンドットコム 理事長 原野城治氏
1972年時事通信社入社。同社政治部記者・パリ特派員・解説委員、ジャパンエコー社代表取締役を経て2011年より現職。

 

「等身大の日本を発信する」をミッションに2011年10月にウェブサイト「nippon.com」を開設。独自取材に基づくコンテンツを国連公用語6か国語と日本語で発信する。全くのゼロからスタートし、現在、ページビュー月間40万、英語圏ヘビーユーザー月間1万と成長著しいが、多言語の面ではいまだ発展途上。「情報発信と外交は表裏一体の戦略」と位置づけ、公益的な事業展開を図る。「日本を正確に伝え、理解してもらうためのコンテンツづくり」を信条に、「動く事象」や「生身の人間」といった「リアル」な日本を独自取材。時には社会の醜悪な部分にも踏み込みながら、絶えず変化する「生き物」をどう発信していくのか模索を続ける。同時に海外ユーザーを常に意識し、日本人向けの視点でない「複眼的思考」で捉えようと試みる。情報発信には「バーチャル」だけでなく、この「リアル」が不可欠だ。スタッフ30名(外部の翻訳者、チェッカーも含めば70名)の多国籍な人材で5年間奮闘すれば方向性が見えてくると考える。

 
 
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