プレスツアー(報告)

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実施日 : 2009年02月10日

報告(動画):2009年2月10日【世界不況に立ち向かう”地方経済”プレスツアー】

投稿日 : 2013年08月24日

■オリジナリティと匠の技で不況にひるまない埼玉の中小企業(2009年2月10日)

 

 

 

◆世界不況の中の製造業

 

(株)渓水 代表取締役 職人 菅野敬一氏

 

航空機や新幹線の、主にシート周辺のパーツを作る精密板金加工業者。その精度の高い加工技術を活かし、2003年にオリジナルブランド「エアロコンセプト」を立ち上げ、かばんや名刺入れ等の製造販売を開始。

 

今、世界的な不景気になってきましたから…、実は私のところも非常に困難です。
ボーイングは、787という、世界中から多く注文をもらっている機種が、なかなかテスト飛行が終わらず、生産に行かないとか…。

 

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(株)住田光学ガラス 副社長 住田利明氏

 

光学ガラスと光ファイバー製造のパイオニア。精巧な技術と日々の研究でデジカメ用の非球面レンズではトップクラスのシェアを誇る。「開発力は命」がモットー、層の厚いR&D部門が世界初の製品を数多く生み出す。

 

非常に今厳しいです。
今、カメラが売れませんから、カメラの部品としてのガラスは今本当に売れなくなってきています。

 

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(株)協同商事コエドブルワリー 副社長 朝霧重治氏

 

地元特産さつまいも「川越イモ」を原料とした発泡酒「Beniaka(紅赤)」が世界的に高く評価されるビールメーカー。本場ドイツ職人仕込みの「クラフトビール」製法で丁寧に質の高いビールをつくり、新しいビールの楽しみ方を提案する。

 

残念ながら日本では大量生産型のものづくりは難しいと思います。
人件費、土地、あらゆるユーティリティが高、そうすると製造業もどんどんなくなってしまって、今サービス業が90%を占めている…

 

 

◆「命を宿す」ものづくり

 

(株)渓水 菅野敬一 社長

 

私の会社はおじいさんの代からこの仕事をしているのですが、 15年ほど前に、あるお客さんの経営不振で私の工場は倒産してしまいました。何日か、「今日は死のう」という日がありました。

 

倒産しましたが、私の父もお爺さんも非常にいい技術をもっていましたから、他のお客さんが「おまえをはなさないよ。もっと続けなさい」といってくれて、ここに引っ越したのです。

 

なぜこれがいいかというと、私の命がここにたぶんあるんだろうと。
愛情こめて自分の作りたいものを作っていくんだ、 死ぬまでになんとか自分のほしいものは、信じてるものだけは、 自分でつくっていこうという気持ち、 それがきっとこのかばんや多くのものをもった方々に語りかけているのかなあと判断しています。

 

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(株)住田光学ガラス 住田利明 副社長

 

とにかく売りたいというよりも、「世の中にないものを作りたい」という気持ちでやってきましたから、できあがったものをお客さんにみせて、なんとか使ってもらえないだろうかというアプローチをしています。

 

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(株)協同商事コエドブルワリー 朝霧重治 副社長

 

職人が原料を吟味して、毎日、赤ちゃんを育てるように、丁寧に食品をつくるということに、大量に効率を追求してつくるというものづくりとは違う品質が生まれると思います。
そこが私たちの競争力の一つです。

 

 ◆開発力は命

 

(株)住田光学ガラス 住田利明 副社長

 

うちの開発部門の仕事は新しいものを開発することです。
同じようなことをやっているように見えますが、中ではどんどん変化しています。

 

私のお爺さんが商売を始めたのが約100年前で、最初は仕入れて売ったものを、加工して売って、そのうちにだんだんガラスそのものを作るようになり、今この会社があるわけです。

 

その中でも、カメラのレンズに特化してそれのみ追求するのではなく、 ガラスをつくるのだったら、ガラスからファイバーをつくる、 ファイバーをつくったらその別の用途を開発するとか、ということを常に続けています。
普通は次のものに手を延ばさないのですが、我々は常に次のものを追い求めてきました

 

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(株)渓水 菅野敬一 社長

 

ここにある形というのは、私たちがいつも見ている飛行機、航空機の部品から発想を得ています。
航空機、飛行機の部品は軽く、より強く、という概念:コンセプトをもってつくっていますから、この部品のこの構造体はかばんにしたら非常にいいんじゃないか、という発想が私の中に生まれました。

 

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(株)協同商事コエドブルワリー 朝霧重治 副社長

 

ビールは伝統産業ですから、遺伝的資料として、この酵母にはこのような特徴があるというようなことが蓄積されていますので、それを世界中から調達すればよいわけです。

 

 

◆大量生産・消費しない-職人的ものづくり

 

(株)協同商事コエドブルワリー 朝霧重治 副社長

 

大規模な工場では、ビールは約3週間で仕上げるというのが経営的に必須ですが、我々のようなメーカーは発想がもともと違いますから、短期で効率を追求して安価につくるのではなく、とにかくいいものをつくる
その上でかかってしまったコストはお客様に説明して負担して頂く、発想を変えていく。

 

そうすると時間をかけてものをつくってもだいじょうぶ、コストを追求した原料を使わなくてもだいじょうぶ、という職人的ものづくりが一つの回答なのではないかなと思います。

 

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(株)渓水 菅野敬一 社長

 

早く作る、安く作る、というお客さんの要望がありますが、 それは必ずしもいいものが地球上に残っていかないと思います。
長く使っていくうちに自分のものになってくる、自分の友達のような、伴侶のような…、 手放せなくなったときの愛情というのがモノの価値なのだと思います。

 

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(株)住田光学ガラス 住田利明 副社長

 

よその会社は安く作るとかそういった方向の開発をやっていると思います。
新しい種類のガラスを作ろうというのは世界でもおそらくわが社くらいだと思います。

 

 

◆戦後最大の不況、でも…

 

(株)渓水 菅野敬一 社長

 

私たちこの12人の職人は、喜びをしってしまいましたから。 是非こういう、自分たちが真剣になれるもの、お客さんから本当に喜んでもらえるもの、それを愛情こめてつくっていくのが、一番いいのではないかと考えています。

 

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(株)協同商事コエドブルワリー 朝霧重治 副社長

 

職人たちが丁寧に作ったビールを、地ビールではなく「クラフトビール」という新しい言葉とともに提案していきたいと思っています。
それは私どもを含めた200社全体が、ビールを選ぶという楽しみを提案していく、 トータルで結集していく力になるのではないかと思います。

 

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(株)住田光学ガラス 住田利明 副社長

 

(今回の不況は)今までで最大だと思います。 世界で原子爆弾が3つか4つ一度に爆発したくらいの影響が世界中にあるのではないかと思います。 

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