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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年8月2日)

投稿日 : 2013年08月02日

「注目すべき海外メディアの日本報道」では、日本発のものを中心に、日本のみなさまに知っていただきたい日本関連の報道をご紹介し、できるだけオリジナルの記事(Web版)へのリンクも貼っております。

 

注目すべき海外メディアの日本報道
(7月24日~7月29日)

2013年8月2日

 

 1.「アベノミクス」に引き続き、高い関心

 

7月26日、6月の全国の消費者物価指数が去年の同じ月に比べて0.4パーセント上昇し、1年2カ月ぶりにプラスに転じたと総務省が発表した。同発表を含め、安倍総理の経済政策(いわゆる「アベノミクス」)の効果や展望について、海外メディアの報道が引き続き相次いだ。

 

26日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、大辺暢記者による東京発の記事「日本の消費者物価指数上昇、景気回復の兆し」を掲載。消費者物価指数に加え、株価などの他の指標においても景気回復の兆候が窺えるものの、消費者物価指数上昇率は日銀が目指す年率2パーセントよりも遥かに低く、デフレを克服したと宣言するのはまだ早いと指摘した。同紙は、29日にも「日本の復活への努力は世界に影響を及ぼす」と題した記事を掲載。欧州経済が停滞し、中国経済の成長も鈍化する中、アベノミクスが成功すれば、日本経済は再び世界経済の牽引役となり得るが、失敗した場合には、富士山のように巨額な日本の政府債務は崩壊し、世界経済に衝撃が及ぶかも知れないと指摘した。また、29日付ハンデルスブラット紙(ドイツ)は、マーティン・ケリング東京特派員による記事「さよなら、デフレーション」を掲載。アベノミクスについて、現時点までは投資家が安倍総理の夢に投資し、市場活況がもたらされているが、「良いインフレ」への道のりは長く、総理には公約通りの広範囲に渡る構造改革が求められると論じた。

 

安倍総理が25日から27日にかけて訪問したASEAN諸国の一つ、シンガポールの主要紙でもアベノミクスに期待する記事が掲載された。24日付のストレイツ・タイムズ紙社説は、日本は経済再生に向けた正しい道を歩んでおり、国民の多くは再軍事化を望んでいないのだから、総理は政治的資源を経済再生のために使うべきだと指摘。一方で、25日付のビジネス・タイムズ紙「アベノミクスは短期的なものであってはならない」と題した社説を掲載。安倍総理が国民の人気を得るために短期的な経済刺激策に頼り過ぎ、より長期的な規制緩和を十分に行わなければ、日本で「バブル経済」症候群が再燃する危険性があると論じた。

 

 

2.「防衛大綱」中間報告発表を機に、日本の防衛政策の今後に注目が集まる

 

7月26日、日本政府が今年中の策定を目指している新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)に向け、防衛省が中間報告を発表した。同報告は、島しょ部への攻撃に対応するため、自衛隊が機動展開能力や海兵隊的機能を確保することが重要との方針を示したほか、無人偵察機の購入を含む防衛力の大幅な強化を提言した。

 

27日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)に掲載されたマーティン・ファクラー東京支局長による記事「日本の大臣が域内でのより積極的な軍事プレゼンスを提案」は、日本は攻撃用兵器および無人偵察機の所有を検討しており、域内の安全保障においてより積極的な役割を担っていくとの小野寺五典防衛相の発言を紹介。保守的な安倍政権は戦後の平和主義から更に離れて日本を率いて行く可能性があり、小野寺大臣の発言はそうした方向性の初期の兆候を示すものだと報じた。同日付ワシントン・ポスト紙(米国)掲載のチコ・ハ-ラン東アジア総局長による記事「日本人は防衛力強化を検討」も、安倍総理は平和憲法による自衛隊への制約を緩和すると公約しており、中間報告はタカ派の同総理の下での日本の新たな防衛戦術を示唆するものだと伝えた。28日付人民日報電子版(中国)も、新華社通信による報道内容として中間報告の詳細を掲載。その上で、日本メディアが伝えたところでは、「日本の安全保障政策は今後重大な調整が行われる可能性がある」と報じた。

 

 

3. キャロライン・ケネディ氏の駐日大使への起用を米国メディアが揃って報じる

 

7月24日、オバマ大統領が故ケネディ大統領の長女であるキャロライン・ケネディ氏を次期駐日大使に起用すると米国政府が発表した。

 

米国主要紙は揃って同氏起用を報じた。25日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、東京支局の林由佳記者等による記事を掲載。数か月前から起用が噂されており、日本では殆ど驚かれることはなかったが、長らく米国のスターに熱狂してきた有名人好きの同国内では当初大きな関心を呼んだと伝えた。同日付ニューヨーク・タイムズ紙記事は、ケネディ氏の駐日大使就任は日本にとって有益だろうとのアナリストの見方を紹介。同日付ロサンゼルス・タイムズ紙記事は、ケネディ氏の起用は男性優位な日本社会での女性の地位向上に貢献するかもしれないとの期待の声を報じた。

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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