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福島・楢葉町の避難指示解除(2015年9月14日)

投稿日 : 2015年09月14日

注目すべき海外メディアの日本報道

(9月5日~6日)

 

2015年9月14日

 

福島・楢葉町の避難指示解除を各国メディアが報道

 

2011年3月の福島第一原子力発電所の事故を受けて、福島県楢葉町に出されていた避難指示が9月5日午前0時に解除された。楢葉町はほぼ全域が原発から20キロの地点にあり、東日本大震災後の事故により避難指示が出され、役場と住民を含む町全域、約7,300人が周辺地域に避難していた。この解除に先立って4日夕方に町内の総合グラウンドには町民が集まり、3,000本のろうそくに火を灯して復興への思いを共有。松井幸英町長は5日朝に行った役場での訓示で、「新生ならは」の創造を目指していこうと呼びかけた。福島第一原発周辺では、楢葉町を除いても、いまだ9つの市町村で避難指示が出されており、約7万人が避難生活を送っている。

 

国の指示で役場と全住民が避難した7町村の中で、初の解除となった楢葉町についても各国メディアが報じている。AP通信電子版(米国)では、山口真理記者が5日付けで楢葉町発の記事を掲載。「日本、絶望的な原発近くの避難指示を解除」と題し、日本政府が4年半ぶりに楢葉町への避難指示を解除したこと、多くの住民はいまだ健康被害やインフラの不足への懸念を抱いており、テストケースの段階だと伝えた。また、日本政府は、原発に最も近い地域を除いて2017年3月までにすべての避難指示を解除したいとしているが、避難住民は政府が2020年の東京オリンピックに先立って、福島の再生をアピールするための試みであるとして非難していると報じている。デイリー・メール紙電子版(英国)は5日付けで「日本政府、福島の原発事故後ようやく避難住民が町に戻れる状況になったと発表」を掲載。除染作業の結果、楢葉町の放射線量は安全レベルに達したものの、政府の調査によると、避難者の53%は放射能への懸念があったりといった理由でまだ自宅に戻る準備や決断ができていないと伝えている。

 

また、BBC電子版(英国)は6日付けで、「福島災害:日本、放射線に汚染された楢葉町の避難指示を解除」を掲載し、数年にわたる除染作業を経て、楢葉町が全域避難の市町村の中で初の解除地域となったことを伝えるとともに、松井市長の「これはまだ始まり。止まった時計が今動き出した」との言葉を紹介した。CNN電子版(米国)は5日付けで、「日本、福島の町の4年にわたる避難指示を解除」を掲載。原発事故から4年以上がたっても、福島第一原発の3つの原子炉の放射線量のレベルはかなり高い状態が続いており、人が立ち入るにはいまだ危険な状態であること、除染作業は500億円かかる見込みで長い年月が必要だと伝えた。

 

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

 

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