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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年3月18日)

投稿日 : 2013年03月18日

「注目すべき海外メディアの日本報道」では、日本発のものを中心に、日本のみなさまに知っていただきたい日本関連の報道をご紹介し、できるだけオリジナルの記事(Web版)へのリンクも貼っております。

 

注目すべき海外メディアの日本報道
(3月5日~3月12日)

2013年3月18日

 

 東日本大震災の発生から2年となる3月11日の前後にかけて、各国メディアが東京及び被災地発で現地の復興状況を活発にリポートした。その一方で復興や除染の遅れを指摘する記事も散見された。当センターでは、2月中旬から3月上旬にかけて、福島県へのプレスツアーや、復興関連のブリーフィング(3件)を実施し、それらに参加した在京記者による関連報道に加え、震災後に訪日取材した招聘記者による報道も確認された。

 

FPCJでは2月下旬に「故郷再生に挑む福島の人々」を取材するプレスツアーを実施。ツアーに参加した中央日報(韓国)ソ・スンウク特派員は3月5日付コラムで、避難先から郡山へ戻り、放射能検査の結果を開示して消費者の信頼を得て米作を続ける農業後継者や、放射能との戦いに勝ち抜いてサッカー選手になりたいと語る高校生、廃校を控えて地域伝統舞踊の獅子舞の継承に没頭する小学生らを紹介し、「福島の未来に希望を持つ若者がいる限り福島にも春は訪れる」と報じた。

 

3月8日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙アジア版(米国)は、岩手県陸前高田市発の記事「規制が復興を遅らせている」で、日本も近年自然災害に見舞われたハイチやパキスタンといった国と同じ多くの問題を抱えているため復興が頓挫しており、その理由を「融通の利かない官僚主義とリーダーシップの不在」であるとしつつも、新政権発足後、復興資金の使途対象について柔軟性が高まるなど良い変化の兆しもある、と報じた。

 

ワシントン・ポスト紙(米国)チコ・ハーラン東アジア総局長は、11日付青森県大間町発「震災から2年後の日本、原子力の可能性」で日本の原子力政策の行方について報じた。既存の2つの原子炉の稼働再開と大間原発の建設再開は、膠着状態から抜け出す明らかな兆しであるとした上で、今後の原子力の復活を示す根拠として、慎重な原発推進派の安倍政権、反原発運動の組織力の弱さ、脱原発による長期の経済的打撃への懸念等を挙げた。

 

トラウ紙(オランダ)のヴァウター・ファン・クレーフ特派員は3月11日付記事で、被災地の南相馬市での最大の恐怖は目には見えない福島第一原発事故による放射線と震災以降に起きた精神的な問題であり、福島県復興委員会の鈴木浩座長(3月5日ブリーファー)は「これらの精神的な兆候を深刻な問題と指摘している」と報じた。加えて、関連記事の中で、「福島原発の周辺住民が浴びた放射線量は健康に大きな影響を与えるには低すぎる値である」との放射線医学総合研究所・酒井一夫 放射線防護研究センター長(2月15日ブリーファー)のコメントを引用した。

 

人民日報(中国)の田泓特派員は3月12日付記事で、除染作業が遅れており避難者の帰還が見通せない福島の現状と国が除染作業に責任を持つ地域とそうでない地域の現状について(福島県復興委員会の鈴木浩座長によるブリーフィングから)言及し、且つ被災者支援に取り組む建築家・伊東豊雄氏(2月21日ブリーファー)の「建物の再建は単に被災地域の復旧というだけでなく、未来志向の日本を造ることでもある」とのコメントを引用して報じた。

 

平成23年度FPCJ先進国記者招へいプログラムで訪日したバンクーバー・サン紙(カナダ)のドン・ケイオ記者は3月12日付記事「日本の災害復興は重い課題-世界中で最も備えができている国の一つでさえ、地震と津波は、肉体的にも精神的にも大きな傷跡を残した-」で、日本政府が復興予算を増額する一方で、人々の中には復興が進まないことへの苛立ちが広がっている、と報じた。

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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