注目の日本報道

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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年1月22日)

投稿日 : 2013年01月22日

1. 安倍首相のベトナム・タイ・インドネシア歴訪関連

(1)安倍首相は1月16日から、就任後初めての外遊としてベトナム、タイ、インドネシアを訪問した。ネイション紙(タイ)は、16日付で「日本の総理による訪問は地域にとって良い兆し:安倍政権が東南アジアとの関係強化を求める中で最初の外遊先に」と題する社説を掲載。今回の歴訪について、東南アジアにおける潜在的巨大マーケットと、中国の影響力拡大を背景に政治的協力を目指したものと位置付けた上で、全てのASEAN諸国にとって歓迎すべきものであると報じた。

 

2. 内政

(1)14日付ル・モンド紙(フランス)は、フィリップ・ポンス東京特派員による記事「やむを得ず、結果的に右傾化した日本」を掲載した。記事は、安倍首相の反中国的態度や憲法改正を巡る発言を受け、外国メディアは日本の右傾化、軍備化を予測したが、そうした読みは誤りであったかも知れないと指摘。そもそも、昨年12月の衆院選での自民党の圧勝は、前民主党政権に対する有権者の失望の表れとの側面が強く、安倍氏への支持も積極的なものではないとした。その上で、記事は、今後注意して見守られるべきは、安倍氏の思想や姿勢よりも、軍国主義時代の日本の侵略行為を否定しようとする「修正主義」の台頭と指摘。それこそが正に、衆院選で「日本維新の会」が躍進した理由であり、今後、中韓両国との領土問題を一層緊迫化させ得ると報じた。

 

3. 日中関係

(1)14日付ストレーツ・タイムズ紙(シンガポール)は、社説「日本の過去に対するクールでない見方からの脱皮」を掲載した。同紙は、安倍内閣が、日本が過去に第二次世界大戦中の侵略行為に対して行った謝罪を見直すのであれば、それはアジア外交において誤った第一歩を踏み出すことを意味すると指摘。安倍首相は日本が再び軍国化しないとのイメージを保つべきで、中国、韓国との関係を維持するには、挑発ではなく、繊細かつ慎重な対応が求められるとした。また、日本経済を立て直すためには中韓両国との貿易、投資活動が非常に重要であるとし、安倍首相は両国との早急な関係改善の必要性を考慮すべきと指摘した。

 

4. 日中関係

(1)14日付ソウル新聞(韓国)は、陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所日本研究センター長によるコラム「東アジアの地平から対日関係を考えよう」を掲載した。コラムは、これまで韓国は過去の歴史問題に固執し、日本での集団的自衛権や憲法改正を巡る動きに対して否定的な態度ばかりとってきたと指摘。その上で、これらの問題と現実的かつ冷静に向き合うべき時が来ているとし、今後の対日政策では、東アジアというより大きな枠組みの下、軍拡競争を縮小させながら共存を目指し、長期的には歴史問題の解決をも可能にするフレームを構築するなど、戦略性を持つ必要があると指摘した。
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20130114030006

 

5. 日本経済

(1)14日付ファイナンシャル・タイムズ紙(英国)は、社説「安倍総理の財政刺激」を掲載。10.3兆円の緊急経済対策を決定した安倍首相は、その効果に大いに期待しているようだが、それは恐らくは行き過ぎた楽観主義であるとした。記事は、日本政府が財布の紐を緩めたのは正解だとしながらも、その資金を何に投じるかも重要で、安倍氏は産業競争力強化のための3.1兆円をその目的通りに使うべきなどとした。加えて、より積極的な金融政策も必要とし、政府が2パーセントのインフレ目標を導入した場合、日銀は、長期国債の更なる買い取りなど、より創造的な量的緩和を含む大胆な措置をとるべきだと指摘した。更には、長期に成長を続けるためには、移民や女性の労働力の活用、サービス部門での規制緩和などの構造改革が必要だとした。

 

(2)14日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、プリンストン大学のポール・クルーグマン教授によるコラム「日本が抜け出す」を掲載した。コラムは、高い失業率にも拘わらず、先進国は、ここ3年間、政府主導の雇用創出に伴うリスクを警告する通説を信じる余り厳しい緊縮政策以外の手を打てずに来たが、日本がそうした状況から抜け出そうとしているとした。安倍首相は、通説によれば取るべきではないとされている政策を実施しているが、その政策は就任後初期においては非常に上手く行っていると評価。安倍氏による日銀へのインフレ目標引き上げや、大規模な財政刺激策に市場は好意的に反応している一方、政府の借入金は殆ど変化しておらず、適度なインフレが見込まれることから、日本財政の見通しは劇的に改善したと言えるなどと指摘。安倍氏の政策を従来の補助金バラマキ型の政治と見る向きもあるが、重要なのは、彼が悪しき通説を打ち破ろうとしているということであり、日本は他の国々に経済停滞からの脱出の仕方を示すかも知れないとした。
http://www.nytimes.com/2013/01/14/opinion/krugman-japan-steps-out.html

 

6. オリンピック招致関連

(1)インディペンデント紙(英国)は、11日付でロビン・スコット=エリオット記者による記事「ロンドンの精神に刺激を受けた東京、2020年大会の候補地争いに」を掲載。東京都による2020年夏のオリンピック開催地への立候補について、2012年夏のロンドン・オリンピックでの成功を受けて、日本国内で招致への支持が高まっており、マドリッドやイスタンブールより有力と見られると報じた。また、オリンピック開催に必要な施設の多くが既に整っている点や、財政基盤の面からも東京は手堅い候補であるとした。
http://www.independent.co.uk/sport/olympics/tokyo-inspired-by-spirit-of-london-in-race-for-2020-olympic-games-8446983.html

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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