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注目すべき海外メディアの日本報道(2012年12月26日)

投稿日 : 2012年12月26日

特集:安倍自民党の衆院選圧勝を世界はどう報じたか

 

1. エコノミスト誌(英国)は22日発行号のリーダー欄「がんばれ安倍氏、私たちを驚かせろ」で、安倍氏が主張するインフレ目標の設定それ自体は正しいが、日銀がその目標をどう達成するかにまで政府が口を挟むのは間違っており、安倍氏には女性の労働市場への参加拡大、経済の規制緩和、TPP参加などもっとやるべきことがあると主張し、それらをすべて実現すれば、安倍氏は日本を長期の経済停滞から救う人物になるだろうと論じた。さらに、外交面では持論の右寄りの政策を封印し、近隣諸国との貿易や学生交流を活発化させるべきだと述べ、安倍氏は貴重な再登板の機会を無駄にしてはならないと結んだ。
http://www.economist.com/news/leaders/21568731-new-prime-ministers-first-term-power-was-disaster-it-need-not-be-way-again-go

 

2. ダーゲンス・ニーヘーテル紙(スウェーデン)の社説「日本の危機再来」(17日付)は、今回の選挙は民主党政権の力量不足に対する国民の不満を反映して自民党が大勝したが、長期の経済停滞など日本が抱えている問題のほとんどは長らく政権の座にあった自民党にその責任があると指摘。日本経済の再生には規制緩和、女性の労働市場参加の拡大、退職年齢の引き上げなどが必要だが、自民党は相変わらず経済再生策として巨額のインフラ公共投資を主張しており、同党がそれらの根本的な問題に取り組むことを楽観視することはできないと論じた。

 

3. フィナンシャル・タイムズ紙(英国)の社説「安倍晋三氏、2度目のチャンスを得る」(18日付)は、安倍氏の勝利の背景には尖閣諸島を巡る中国との緊張の高まりがあるが、同氏が立ち向かうべき最大の課題は経済問題だと強調し、2-3%のインフレ目標を設定するという安倍氏の提案は日銀の独立性を損ねることなく達成可能な良いアイディアであると明言。その理由として、インフレは万能薬ではなく規制緩和などやるべきことも多いが、ある程度のインフレなしには消費税率の引き上げの前提条件となっている経済成長を望めないことを挙げ、物価上昇は預金者の資産を蝕むなど厳しい道だが、それでも他に適当な選択肢がないと論じた。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/3612500c-4852-11e2-a1c0-00144feab49a.html#axzz2GCzXbw4y

 

また、同紙のミュア・ディッキー東京支局長は、17日付の「再興した自民党はアジア地域で試練に直面する」で、米国政府の中には日本の防衛費を増やし自衛隊の行動制限を緩和しようという安倍氏の方針を好感する向きが多いが、中国や韓国では平和憲法の改正を目指し、日本政府による過去の謝罪にも疑問を呈している安倍氏に対する警戒心が強いと指摘。安倍氏が直面する喫緊の外交課題は中国との尖閣諸島を巡る争いだろうと述べるとともに、日本国内の右派を利することにならないよう中国側が事態の沈静化を図るだろうとの識者の見方を伝えた。その上で、今回の自民党の圧勝は、時の政権与党に対する有権者の態度がますます厳しいものになっていることを示しており、早くも8カ月後に参院選という次の試練を迎える自民党に対する警告でもある、と結んだ。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/267c22a2-477c-11e2-a899-00144feab49a.html#axzz2GCzXbw4y

 

4. マレーシアの華字紙・星洲日報の社説「日本の新政権にハネムーン期間はない」(18日付)は、有権者の殆どは経済と雇用の回復こそが最優先課題だと考えており、新政権にはいわゆる「ハネムーン期間」はないだろうと分析。その上で、多くの評論家は、各党が選挙期間中に訴えた対中強硬策は票集めのための選挙戦略であり、実際には政権与党は経済的な利益を考えて中国との関係修復、互恵的関係の維持を図るものと見ている、と伝えた。さらに、平和な日本、積極的な日本、友好的な日中関係こそが日本国民の利益、アジア地域及び世界の利益に合致するのであり、それが日本国民と世界が強く望むものだと結んだ。

 

5. ニューヨーク・タイムズ紙(米国)の社説「安倍氏の2度目のチャンス」(20日付)は、景気低迷から脱却するためにより野心的な財政金融刺激策を目指そうとしている安倍氏の考えに「大賛成だ」と述べる一方、安倍氏が国粋主義的な言動を好むことは深刻な懸念材料だと指摘。安倍氏が前回の総理在任時に中国との緊張緩和を優先して自らの強硬な姿勢を抑制したことを紹介し、「私たちは安倍氏が再びそうすることを望む」、「日本の有権者は国粋主義者の空想を支持したのではなく、経済再生を支持したのだ」などと述べ、安倍氏が行き過ぎた立場を取れば日本を軍事的に守る立場の米国にとっても困ったことになる、と述べた。
http://www.nytimes.com/2012/12/20/opinion/shinzo-abes-second-chance-in-japan.html?_r=0

 

6. ワシントンポスト紙(米国)の社説「第2幕:安倍晋三氏、日本を活性化させる再チャンスを得る」(18日付)は、米国は不安定な日本の政治に不満を抱えてきたが、アジアへの方向転換を図ろうとしているオバマ政権にとって日本は引き続き重要な同盟国であり、中国がアジアで非民主的な発展のあり方を喧伝するなか、米国だけでなく東南アジア諸国も日本のことを<民主主義という同じ価値観を持つ重要なバランス装置>とみなしていると指摘。安倍氏は軍事力の強化と歴史の見直しを主張しているが、自らのありのままの歴史を受け入れることに前向きであればあるほど日本はアジア地域の安全保障で建設的な役割を果たすことができるだろう、と述べた。さらに、中国と東南アジア諸国の間にも領有権問題があるが、日中間の尖閣諸島を巡る争いは特に危険だと述べ、両国の新しいリーダーは対立よりも協力の方が遥かに得るものが大きいことを認識してほしい、と結んだ。
http://www.washingtonpost.com/opinions/shinzo-abe-gets-a-second-chance-to-lead-japan/2012/12/17/c0d5b690-4869-11e2-ad54-580638ede391_story.html

 

7. 中国共産党の機関紙人民日報の社説「日本当局は『ごたごた』をどう収拾するのか」(17日付)は、日本の新政権は混乱状況を引き継ぐことになるが、「靖国神社参拝問題」、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題」、「平和憲法改正問題」の3つには真剣に対処すべきだと論じ、それらはいずれも曖昧にすることが許されない原則的な問題だとくぎを刺した。その上で、現在は日中関係が前進するか後退するかの重大な局面であり、日本の新しい指導者が、尖閣諸島を巡る問題がこれ以上エスカレートするのを回避し、日中が共に危機を管理・コントロールし日中協力などに議題を移すことを望む、と呼びかけた。
http://japan.people.com.cn/204937/8061555.html

 

8. 東亜日報(韓国)の17日付の社説「『安倍自民党』の軍国回帰を憂慮する」は、自民党が勝利した今回の選挙結果について、最も近い隣国である韓国は日本の選択を尊重し祝賀するのが慣例だが、自民党が右傾化公約を出し軍国主義への回帰を明確にしていたことから、今回は憂慮とともに苦言をせざるを得ないと書き起こし、「安倍氏の再登板の青写真は日本を怪物に変貌させる可能性が大きい」と強い懸念を表明。自民党の公約について、安倍氏と自民党は政治と経済の危機を脱するための自助努力と自己刷新をする代わりに時代に逆行する無謀な選択をしたと批判し、安倍氏は歴史の車輪を逆に回すことが日本のためになる選択なのかどうか冷静に判断すべきで、日中韓の未来のために自重することを望むと主張した。
http://news.donga.com/Column/Sasul/3/040109/20121216/51645055/1

 

9. 朝鮮日報(韓国)の車学峯東京特派員も「取り返しのつかない右傾化の兆し…全く別の国になっていく日本」(18日付)で、厳しい改憲要件のために日本の平和憲法の改正は事実上不可能だと考えられてきたが、今回の選挙で改憲支持勢力が衆議院で改憲可能議席(議席の3分の2)を確保したと伝え、長期不況や中国との領土紛争などにより日本国民は急激に右傾化しており、平和憲法に対する考えが変わったのではないかとの見方を示した。さらに、来夏の参院選でも自民党などの改憲勢力が3分の2以上の議席を確保することも不可能ではないとの展望も出て来ており、それは参院選以降の日本が現在とは全く別の国になる可能性もあるということだ、と懸念を表明した。
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2012/12/18/2012121800267.html

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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