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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年12月10日)

投稿日 : 2013年12月10日

注目すべき海外メディアの日本報道

(11月25日~12月4日)

2013年12月10日

 

1.   中国の防空識別圏設定に注目集まる

11月23日に中国国防省が尖閣諸島上空を含む空域に「防衛識別圏(ADIZ)」に設定したと発表。26日には、米国国防総省が、同圏内を米軍機(B52)2機が中国への事前通告なしに訓練飛行したことを明らかにした。

 

こうした一連の動きに前後して、米英主要紙が相次いで関連の社説を掲載した。米主要紙では、ニューヨーク・タイムズ紙が26日付で「中国の高圧的行為」と題する社説を掲載。防衛識別圏設定は、島々を巡る領土問題の平和的解決を望むとの中国の過去の発言とは一致しないものであり、非常に挑発的で、日本との緊張関係を高め、直接的な衝突をも生み出し得るものであると指摘した。同日付ワシントン・ポスト紙掲載の社説「中国は係争中の島々に係る防空識別圏設定を取り消すべき」は、今回の行動は、かつて中国の指導者が世界に向けて主張した「平和的台頭」とは程遠いものであると指摘。防空識別圏の設定により、事故や過失の危険が非常に現実的なものになり、そうした危険が対立へと発展すれば、日本を防衛する責任を負う米国が巻き込まれる可能性があるとも論じた。

 

英国では、30日付フィナンシャル・タイムズ紙「中国を巡るレッドライン」との社説を掲載。中国、日本、米国が尖閣諸島を巡って争えば破滅的な状況になることは誰の眼にも明らかだとした上で、今回のオバマ政権の反応は素早く、正しかったと評価。中国との密接な経済関係の中、アジアにおける安全保障を見通すことは米国にとってますます困難になっていると述べつつも、米国はしっかりと日本側に立つ必要があり、もしそうできなければ、米国は頼りにならない国になったとのシグナルを域内の他の国々に送ることになると指摘した。同日付エコノミスト誌も、社説「対決」を掲載。中国の今回の行動は国際的規範から外れており、米国がそのことを明確に示したのは正しい行為であったと論じた。また、各国が安全保障を議論できるよう、域内で何らかの枠組み構築に向けて努力することが必要だとも論じた。

 

 

2.  天皇皇后両陛下のインドご訪問を現地メディアが報じる

天皇皇后両陛下は、11月30日から12月6日にかけて53年ぶりにインドを公式訪問された。滞在中、両陛下は、ムカジー大統領やシン首相を始めとする要人から温かい歓迎を受けられたほか、各地で子供たちを含むインド国民と交流する機会を多く持たれた。

 

インドメディアは両陛下の到着の模様や現地での歓迎の様子を報道。Hindustan Timesは12月1日付で「天皇陛下の訪問は稀なもので、日印関係が特別に成熟していることを象徴するもの。また、国民同士の結束や文化的結び付きを顕著に表すものである」とのインド外相の発言を紹介。12月3日付記事では、「今回のご訪問は日印関係を進展させる上で大きな役割を果たす」との日本高官の発言も報じた。一方で、今回のご訪問について政治的/経済的観点から報じる記事も多く見られた。New Delhi Television Limited (NDTV)のオンラインページに12月4日付で掲載された記事「日本、皇族の訪問により国民同士の触れ合いを重視」は、両陛下のインド訪問は日印関係への注目を集める重要な機会と見なされていると伝え、何らかの政治的合意が成されたわけではないにしろ、今回の訪問は日中関係が緊張する中で行われたもので、それ故に重要であると指摘した。

 

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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