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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年11月18日)

投稿日 : 2013年11月18日

注目すべき海外メディアの日本報道

(11月1日~11月10日)

2013年11月18日

 

1.   福島第一原発の使用済み核燃料取り出しを各メディアが報道

東京電力は、福島第一原子力発電所4号機の廃炉に向け、使用済み核燃料プールから核燃料を取り出す作業を11月18日午後、開始した。これに先立ち、同月上旬には4号機の原子炉建屋内が国内外の報道陣に公開された。

 

CNN(米国)は7日、事故発生当時日本で取材にあたっていたキュン・ラー米国特派員による建屋内や被災者のリポートなどを交えたニュースを複数回放送。同日付電子版は、東電は困難で危険な作業を開始すると報じ、50億ドル以上とも見込まれる廃炉への道のりのなかでの1つの節目だとみなされているとした。同日付東京発の「福島原発の混乱:5大論点」では、健康被害、汚染水対策、使用済み燃料の取り出し、メルトダウンした原子炉からの溶融した燃料の取り出し、人材の枯渇について論じた。8日付同局電子版は、Paula Hancocks特派員による福島発の「福島の壊れた原発の心臓部への旅」で内部の様子を伝えた。

 

7日付ガーディアン紙(英国)は、ジャスティン・マカリー東京特派員による福島発の記事で、大惨事に終わる可能性があるとの批判もある前代未聞の工程の準備に立ち会ったと報道。使用済み燃料の集合体の衝突や露出、水位の低下に伴う加熱、使用済み燃料内に残るウランの損傷といったリスクを挙げており、東電は故意に危険性を小さく見せようとしているとの専門家の声も伝えた。

 

8日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、Mali Iwata記者らによる東京発の記事で、一時はメルトダウンの段階にまで温度が上昇した1~3号機では、4号機よりもはるかに困難な処理が待ち構えているとし、今日に至るまでその内部の状態は誰にも分かっていないと指摘した。

 

 

2.   減反政策転換を米メディアが報道

政府は11月6日、主食用米の生産量を抑えて価格を維持する生産調整(減反)を、2018年度に廃止する方針を自民党の農林関係会合で示し、了承を得た。11月末にまとめる新たな農業強化策に明記する方針。

 

1日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)アジア版は、社説「安倍氏は日本の第三のレールに手をかけた:コメ補助金の改革はささやかであっても歓迎すべき一歩」を掲載。農家は改革にはずっと抵抗してきたが、後継者不足でその数は減る一方、都市部ではTPP交渉の参加など自由貿易を支持する声が広がっていることを安倍氏は敏感に察知しているとし、TPPでは思い切った農業の開放が求められると指摘した。7日付同紙は、関口陶子記者らによる「日本、コメ農家への補助をカットする計画を打ち出す」で、医薬品のインターネット販売解禁についての議論とともに、減反政策転換の見込みを詳報。「誰もがやらなければならないと分かっていながら誰も手を付けたがらなかったことであり、政権側は明らかに、政治的に安定しているいま、難しい決断を下そうとした」との識者の声を伝えた。9日付ワシントン・ポスト紙(米国)は、「日本の経済改革は小さすぎ、遅すぎる」との社説で、安倍氏は非効率で悪名高いコメ農家を集約し、高齢化する担い手を補助金から脱却させるためのやや野心的な計画を打ち出したと報道した。世界一保護された農産物市場が開かれ、TPPのもとで積極的な世界進出を果たす第一歩になるだろうと述べる半面、安倍氏の野望の全貌はまだ明らかになっていないと指摘。時間は必ずしも安倍氏の味方ではなく、国内の強力な反発により先に進むことを恐れるなら、大した成功は期待できないだろうと論じた。

 

 

3.   欧州を歴訪した朴槿恵大統領の発言を英メディアなどが報道

韓国の朴槿恵大統領は11月上旬、欧州を歴訪し、8日にブリュッセルで開かれた記者会見では、日韓首脳会談開催に否定的な考えを改めて示した。

 

4日付BBC(英国)電子版は、訪英前の朴大統領へのインタビュー「日本との対話に『意味はない』」を掲載。北朝鮮の核開発能力が高まるのを食い止めようと周辺国が奮闘するなか、大統領は日本との深い溝を強調したと報じた。同日付ストレーツ・タイムズ紙(シンガポール)は、北朝鮮核問題を巡る日米韓のハイレベル協議にふれ、アジアで最も重要な二国間の関係はまったく機能しておらず、北アジア(原文ママ)の安全保障情勢を変えられるよう両国が協調するには米国の真摯なひと押しが必要だろうがその兆候はみられないと指摘した。5日付BBC電子版は、日本側のこれまでの謝罪や巨額の補償にふれ、朴大統領の同局インタビュー時の発言に対し「大変残念」と述べた加藤勝信内閣官房副長官の発言を伝えた。9日付エコノミスト誌(英国)は、「本拠地米国と各拠点である日韓の騒動:米国は日韓の絶え間ない小競り合いに激怒している」を掲載。中国や韓国からは仮釈放中の連続殺人犯かのように言われているが、日本は70年近く、グローバル市民としてほとんどお手本のようであったと評した。

1日付ワシントン・ポスト紙(米国)は、ドイツにならい、従軍慰安婦や徴用工などに賠償金を払うべきだとする研究者のコラムを掲載。米国は戦争中の歴史問題に関する中立的な立場を捨てて前進すべきであり、日本の指導者たちは自己弁護をやめ、戦争被害者は歴史を政治的な武器にすることを断念しなければならないと論じている。

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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