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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年10月16日)

投稿日 : 2013年10月16日

注目すべき海外メディアの日本報道

(10月1日~10月6日)

2013年10月16日

 

1. 来春の消費増税決定を各国メディアが報道

政府は10月1日の閣議で、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる方針を決めた。景気を下支えするための企業向け減税措置など5兆円規模の経済対策も決定。安倍総理は同日の会見で、「経済再生と財政健全化は両立しうる」と語った。

 

1日付ワシントン・ポスト紙(米国)電子版は、東京発のチコ・ハーラン東アジア総局長による記事で日本の財政状況を論じ、「消費増税が景気の減速を招くリスクはほとんどない」との調査員による投資家への説明を伝えた。同紙は同日、野田佳彦前総理へのインタビュー記事を掲載し、ほとんどの米政府関係者が政治的な利益のために国益を犠牲にすることに満足しているようにみえるなか、その逆を成し遂げた政治家に会い、新鮮だったと評した。同日付フィナンシャル・タイムズ紙(英国)電子版は、ジョナサン・ソブル東京支局長らによる記事で、増税と同時に行われる財政出動について、経済の急激な減速を防ぐのに役立てば損失は少なくなりうるとしつつ、「経済刺激策と増収とを相殺させるのでは財政再建の目標が骨抜きにされかねず、信頼性を損ねる恐れがある」とのアナリストの見方を伝えた。同日付トラウ紙(オランダ)は、ヴァウター・ファン・クレーフ東京特派員による記事で、少なくとも半数の有権者は増税に反対だとし、過去の消費増税にはその後必ず経済危機が発生しているため多くの日本人はおびえていると報じた。CNN(米国)は同日の番組で、日本は世界一大きな借金を抱えているとし、債務に真剣に向き合おうとしているのはよい兆しだとの声を紹介した。

 

2日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、Takashi Nakamichi記者らによる東京発の記事で、前政権で計画された消費増税を予定通り進めるか否かは、安倍総理にとって就任後最も難しい決断だったと分析。同紙は同日付の別の記事で、安倍総理はこれまでの日本のリーダーとはある種異なるイメージを見せてきたが、前任者たち同様財務官僚とケインズ主義経済の囚人であることがわかったと評した。同日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、東京発の田淵広子記者による記事で、消費増税が長期的にみて景気減速を招くかどうか、経済学者の見方は分かれていると指摘。同日付ノイエ・チュルヒャー紙(スイス)はカーステン・ゲルミス東京特派員による「真のヒーローは野田氏」で、2015年10月の8%から10%への消費増税については明言を避け、増税と同時に企業減税等を決めたことなどに対し、安倍総理を優柔不断な態度だと批判した。

 

3日付ロイター通信電子版/日本語版は、「米国政治が学ぶべき『アベノミクスの教訓』」とのコラムで、「わずか1-2年前には機能不全に陥っていた」日本が「見違えるほどに変わった」とし、予算や医療保険改革での対立で硬直化する米国の政治状況と対比した。5日付エコノミスト誌(英国)は、「第三の矢をお願い」とする社説を掲載。農地の整理や医療保険改革、雇用や解雇に関する規制改革など、待ち望まれる改革を進めることに比べれば、消費増税は容易かもしれず、改革によってのみ安倍総理と、日本が本当に戻ってきたか否かの彼の闘争は見極められると報じた。

 

 

2. 日米「2プラス2」を米メディアなどが報道

日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)が10月3日、東京都内で開かれた。岸田文雄外相、小野寺五典防衛相、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が出席し、自衛隊と米軍の役割を定めた日米防衛協力の指針(ガイドライン)の再改定などで合意した。

 

4日付ワシントン・ポスト紙(米国)は、東京発のクレイグ・ホワイトロック記者らによる記事で、北朝鮮周辺の偵察能力を大幅に向上させると目される、米軍の無人戦闘機「グローバルホーク」の日本配備を報道。新たな合意により、敵である北朝鮮と注意を要するパートナーであり時に競争相手でもある中国の活動に対し、日米両国はよりよい防衛と諜報活動が行えるようになるだろうと論じている。同日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、東京発の林由佳記者による「米国はアジアでの日本を保障、異例のハイレベル会合で防衛協力強化に合意」を掲載。予算を巡る対立を含め、政策の優先順位がころころ変わる米国への不安感が同盟国の間で強まっているが、米国の両長官は東アジアへの積極的な関与を続けると日本側を安心させようとしたと報じた。同日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、東京発のJennifer Steinhauer記者らによる記事で、共同文書で日本側は平和憲法の解釈を変更する可能性に言及しており、共同で発表された以上米国がそれを支持することを示唆していると指摘。日本が防衛力を強化しようとする努力は米国に利益をもたらすが、アジアでのもう1つの主要な防衛上のパートナーである韓国が警戒感をもって注視しており、政権に難問ももたらしているとした。同日付フランクフルター・アルゲマイネ紙(ドイツ)は、カーステン・ゲアミス東京特派員による「うわべだけの普通」で、日本は軍事的に「普通の国」となろうとしているが、中国、韓国に対する侵略戦争をこれまで言い繕ってきたため両国は動揺するのだと評している。

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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