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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年9月20日)

投稿日 : 2013年09月20日

注目すべき海外メディアの日本報道

(9月9日~9月16日)

2013年9月20日

 

1.   福島第一原発の汚染水対策を各メディアが報道

 

東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策に、引き続き各国メディアの関心が集まっている。

 

9月11日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、「日本、そして原子力の運命」を掲載。解決には放射性物質をできる限り取り除いた水を太平洋に放出することが必要だろうが、漁業団体などは決してそれに賛同しようとはしないとし、日本でみられる過剰なまでの警戒感は広島と長崎に由来すると分析した。13日付同紙は、日本政府が自ら福島第一原発の処理に取り組むとの宣言は遅きに失し、歴史上二番目に深刻な原子力災害への対応がいかに場当たり的だったかを示していると報道。海外の支援の申し出に対し消極的だとした。

 

14日付AP通信(米国)電子版は、山口真理記者による「日本の首相の福島に関する発言は母国で裏目に出る」を掲載。安倍総理の国際オリンピック委員会総会での汚染水漏れは「コントロールできている」との発言が日本で波紋を広げていると伝えた。16日付タイム誌(米国)は、凍土壁は数年しか持たないが、福島第一原発事故の処理が完全に終わるまでには数十年かかると対策への疑問符を投げ掛けている。

 

東京五輪開催決定を受け、カナール・アンシェネ紙(フランス)が11日付紙面に掲載した汚染水問題を絡めた風刺画に対し、菅義偉官房長官は12日の会見で、在仏日本大使館を通して同紙に抗議する意向を示した。

 

12日付AFP通信(フランス)電子版は、「日本:カナール・アンシェネの絵2点に政府が抗議」を掲載し、フランスのユーモアは日本では通じないと報じた。慌ただしく自宅を追われ、深い心理的苦痛をいまだ抱える多くの被災者の傷に塩を塗る行為だとして、日本人はフクシマについて冗談を言うことをよしとしないと解説した。ル・モンド紙レ・ゼコー紙などフランス各紙でも報道された。

 

 

2.   尖閣諸島国有化1年を機に、各メディアが日中関係を報じる

 

11日、日本政府が尖閣諸島を国有化してから1年を迎えた。菅義偉官房長官は同日、「尖閣は歴史的にも国際法上も我が国の領土で、領土問題は存在しない」と改めて日本政府の考え方を示した。

 

11日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、関口陶子記者による記事で、係争中の島々(原文ママ)に公務員を常駐させることは日本の主張を強める1つの手段だとの政府高官の発言を紹介。同日付ワシントン・タイムズ紙(米国)も同様の発言を伝え、公務員の常駐は安倍総理率いるタカ派の与党の選挙公約であり、同党は自衛隊により積極的な役割を与えようとしていると報じた。12日付同紙は、戦略核兵器運搬手段の1つでもある中国のH6爆撃機が8日、沖縄本島と宮古島の間を通過し、日本政府が反発するなどして、両国の緊張が高まっていると報道した。13日付フランクフルター・アルゲマイネ紙(ドイツ)は、カーステン・ゲアミス東京特派員による記事で、日本政府は国有化について事前に中国外務省に通知し、事務方は理解を示していたものの、領有権をより強力に主張するため指導部がそれを利用したと論評。以来両国関係は谷底にあるとした。

 

ロシア・サンクトペテルブルクで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場で5日、安倍総理と中国の習近平国家主席が非公式な立ち話をしたのを巡り、香港各紙が日中関係を報じてもいる。

 

7日付文匯報は、日中関係を真に改善するには、中国の核心的利益を尊重すべきだと報道。同日付明報は、懇談は偶発的なものではなく、事前に暗黙の了解があったはずだとの研究者の声を伝えた。7-8日付香港経済日報は、首脳同士の接触が安倍総理のスタンスを変えることにはつながらず、危機は依然潜在的に存在しているとの専門家の声を紹介した。

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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