プレスツアー(報告)

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実施日 : 2017年10月11日 - 12日

実施報告:福島プレスツアー(10月11日~12日実施)

投稿日 : 2017年12月20日

東日本大震災から6年が経過した福島を取材するプレスツアーを実施しました。




【プレスツアー実施概要】




<取材テーマ>

1.東京電力福島第一原子力発電所の現況と廃炉・汚染水対策の取組

2.食の安全確保に向けた、福島の挑戦





今回のプレスツアーには、米国、イタリア、フランス、スイス、スペイン、デンマーク、ドイツ、中国、ベトナムのメディア9社11名が参加しました。記者一行は、

福島第一原子力発電所と楢葉遠隔技術開発センターを訪問し、同原発の現況および廃炉に向けた最新の取組を取材したほか、福島県産の農林水産物の安全性を確保するために、行政・産地・生産者・流通事業者が連携し、複数回にわたる検査を実施していることを取材しました。


1.実施日:

  平成29年10月11日(水)~12日(木)

 

2.プレスツアー取材行程:

  ― ツアー案内はこちら


3.取材内容:


【1日目:平成29年9月11日(月)】

 

(1)福島県庁


  福島県庁では、復興・総合計画課主幹の高橋伸英氏から、東日本大震災から6年が経過した福島の復興のあゆみについてブリーフィングを受け、原子力災害に伴う避難指示の解除が進んでいる現状や、環境放射線モニタリング調査に基づく空間線量の減少推移に関して、詳細データとともに説明を聞きました。また、震災・原発事故によって失われた浜通り地域等の産業・雇用を回復するため、廃炉やロボット技術に関連する研究開発等を通じて新たな産業・雇用を創出し、住民の帰還や県全体の復興につなげる「福島イノベーション・コースト構想」についても説明を受けました。さらに、高橋主幹から、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、福島で野球・ソフトボール競技が開催されることから、観光再生にも一層力を入れていきたいとの発言がありました。

  外国記者からは、「福島県内総生産は、2011年と比べてどのように推移しているか」、「原発の再稼働についてどのように考えるか。福島第二原発に対しては、廃炉を求めるか」、「汚染水や汚染土の処理について、福島県民の反応はどうか。どのような解決を望んでいるか」、「福島県内の観光地に観光客が戻りつつあるとのことだが、震災前後で観光ルートに変化はあるか」、「Jヴィレッジは、いつごろ再オープンするのか」などの質問があがりました。

 

 



(2)福島県農業総合センター

 

  農業総合センターでは、福島県で生産される農林水産物のうち、販売に供されるものを対象とした放射線モニタリング検査の様子を取材し、その後、安全農業推進部指導・有機認証課の草野憲二氏から、更にブリーフィングを受けました。

  検査室の中での取材は、検体の測定値に影響を与えないよう、最小限の記者による代表取材形式で実施され、代表以外の記者は検査室外から取材を行いました。草野氏の説明によると、検査を受ける農林水産物は、洗浄・裁断などの下処理を行った後、11台あるゲルマニウム半導体検出器を用いて分析が行われます。1日あたりの分析処理件数は150点以上にのぼり、分析結果は県のホームページに掲載されます。

  草野氏によると、同センターには毎年海外から多くの視察団や取材団が訪問するそうです。食の安全管理に関する正しい情報が本国に伝えられた結果、輸入制限解除につながった事例もあるとのことでした。

  外国記者からは、「一般食品の測定も行っているか」、「県内のすべての地域の農林水産物の検査を行っているのか」、「農産品の価格は、震災前の水準に戻っているか」などの質問があがりました。

 

 

 

※写真:検査室外から撮影

 

 

(3)福島県水産試験場(*)

 

  漁場環境部の根本芳春氏が、福島の水産業の特徴、原発事故が水産業に与えた影響、魚介類の放射線モニタリング検査などについて、詳しいデータや具体的な魚種を示しながら説明を行いました。根本氏によると、福島県では、毎週200検体程度の海産魚を検査しており、その種類は震災後からこれまでに192種の海産魚介類に及びます。また、放射線モニタリング検査の結果、海産魚介類の放射性セシウム濃度は明確に低下しており、2015年4月以降の2年間で、国の基準値を超えるものはゼロであり、さらに2016年1年間の合計で95%が不検出という結果でした。

  一方で、試験操業による2016年の水揚げ量が、震災前の約8%にとどまっていることを受け、外国記者からは「漁獲量が上がらない理由について、漁業関係者の減少や船舶の損壊によるものなのか、それとも出荷制限によるものなのか」という質問や、「漁業で最も障壁になっていることは何か」などの質問が出ました。

 

 

(*)福島県水産試験場が改修中のため、小名浜魚市場内施設で取材を行いました。

 

 

(4)スパリゾート・ハワイアンズ

 

  統括支配人の郡司昌弘氏から、炭鉱の町いわきでハワイアンズが誕生したきっかけや、東日本大震災で壊滅的ダメージを受けたハワイアンズの復興、そしてフラガールの活躍について説明を受けた後、実際にフラガールのダンスショーを見学し、平日にもかかわらず多数の観光客で賑わうハワイアンズの様子を視察しました。

  外国記者は、ハワイアンズでは、日帰り・宿泊利用者ともに、東日本大震災前の水準を上回るV字回復を達成し、増収増益を記録していることに驚きつつ、外国人観光客の割合などについて質問をしていました。

 

 

 

 



【2日目:平成29年9月12日(火)】

 

(5)小名浜港

 

  福島県では、試験操業対象魚種は、県のモニタリング検査において安全を確認していますが、さらに確実を期すために、小名浜魚市場に検査機器を配置し、水揚げ日毎に自主検査を行っています。福島県漁業協同組合連合会の出荷方針では、50ベクレル/kgを自主基準に定めています。これは、間違っても国の基準値である100ベクレル/kgを超える魚介類を出荷しないためのものです。取材では、前半で地元の漁業者へのインタビューを行い、後半でモニタリング自主検査の様子を取材しました。

  外国記者からは、漁業者に対して「漁に出られない間の補償はどのようになっているか」、「政府に対して望むことは何か」などの質問があがりました。

 

 

 

 

(6)福島第一原子力発電所

 

  福島第一原発の取材に際しては、まず東京電力ホールディングス株式会社の廣瀬大輔氏から、原発1~4号機の現況と溶融燃料(燃料デブリ)取り出しロードマップ、汚染水対策、遮水壁の運用、原発内作業員の労働環境の改善などについて、説明を聞きました。その後、外国記者は専用バスで原発構内へ入場し、要所要所でバスから降車して、原発1~4号機、汚染水タンク、津波跡などを視察しました。なお、原発内入構の際には、全身を覆うマスクやカバーオール(タイベックスーツ)の着用はもはや不要であり、記者一行は、長袖長ズボンの普段着の上に、簡易ベスト、ヘルメット、ゴーグル、マスク、軍手、靴下、安全靴を着用するといった簡易装備で臨みました。このような一般作業服での移動・作業が可能である「グリーンゾーン」は、敷地の95%にまで広がっています。

  外国記者からは、「汚染水は1日にどのくらい発生しているのか」、「汚染水の浄化にどのくらいの時間がかかるか」、「原子炉内の燃料デブリの位置は判明しているのか」、「遮水壁はすべて完成したのか」などの質問があがりました。


 

 

※写真:代表撮影

 

 

(7)楢葉遠隔技術開発センター

 

  福島第一原発の廃炉措置では、空間線量率が高い所での作業のため、ロボット等の遠隔技術が必要不可欠です。同センターでは、このようなロボットの開発や実証実験に加え、バーチャルリアリティ(VR)システムを利用して、ロボットを動かす作業員の技術開発も行っています。外国記者は、センター長の石原正博氏から同センターの説明を聞いた後、大道博行氏の案内により、試験棟の視察を行いました。

 

 

 

 


 

5.報道実績:

本プレスツアーに関連する報道の一部を御紹介します。

※記事のタイトルをクリックすると、報道記事を原文で読むことができます。


 

◆新華社通信(中国、通信社)

 10月13日:探访日本福岛第一核电站(组图)

 

 

◆ABC Spanish Daily Newspaper(スペイン、新聞)

 10月14日:Die Reichtümer des Meeres sind nicht endlos



◆ilsole24ore(イタリア、新聞)※音声が出ます

 10月16日:Fukushima: ancora problemi e qualche progresso



◆Ouest France(フランス、新聞)

 10月20日:À Fukushima, l'avenir compromis des pêcheurs


 10月21日:Dans le ventre de la centrale nucléaire de Fukushima

 

 

◆AP通信(米国、通信社) 

 11月25日:Risky stalemate as science battles human fears at Fukushima


 11月25日:Reporter’s Notebook: Fukushima face-lift masks morass inside


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