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台頭する日本のエシカル投資家-「ワクチン債」で開発途上国の子ども達の命を救う活動に貢献(2012年7月5日)

投稿日 : 2012年07月05日

【ウォッチ・ジャパン・なう vol.29/FPCJ】

2012年7月5日

 

台頭する日本のエシカル投資家-「ワクチン債」で開発途上国の子ども達の命を救う活動に貢献

 

7月6日は「ワクチンの日」。1885年のこの日、フランスの細菌学者ルイ・パスツールが開発した近代的ワクチンが、狂犬病に罹った9歳の少年に接種されたことにちなんで制定されました。 ワクチンの日を機に、様々な団体がワクチンの普及活動を行っています。

 

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予防接種は最も効率的で費用対効果の高い保健政策と言われており、世界で年間200〜300万人の死亡を防いでいます。その一方で、開発途上国では1900万人もの5歳未満の子ども達がワクチン接種を受けられていません。このような途上国において予防接種へのアクセスを高めるための世界的な取り組みである「GAVIアライアンス」(Global Alliance for Vaccines and Immunisation: ワクチンと予防接種のための世界同盟)は、2000年のダボス会議で設立され、以来、世界73ヶ国で活動、およそ3億2600万人の子ども達に予防接種を行い、10年間で550万人以上の命を救ってきました。スイスのジュネーブに事務局を置き、途上国や先進ドナー国政府、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、世界銀行、先進/途上国のワクチン産業界、研究・技術機関、ビル&メリンダ・ゲイツ財団等の民間団体や私的慈善家が参画。GAVIは2011年6月に初の増資会合を行い、2011-2015年に必要とされる予防接種・保健プログラムのための資金調達への支援を各国政府やアライアンスのメンバーに呼びかけました。この結果、日本政府も2011年に9.3百万米ドル(約8億3千万円)を拠出しました。

 

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2012年現在、GAVIによって供給されているワクチンには、5価ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳、B型肝炎、ヘモフィラス・インフルエンザ菌b型)、ロタウィルスワクチン、肺炎球菌ワクチンなどがあります。GAVI は途上国で質の良いワクチンを持続的・計画的に供給する資金を集めるため、世界銀行を財務マネージャーとする「予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)」 を2006年に発足させ、支援国政府のODAを利用すると同時に、財界とも連携して債券「ワクチン債」を発行しています。

 

日本では 2008年にワクチン債の販売が開始されましたが、今やワクチン債購入者延べ6万人のうち半数の約3万人は日本人投資家であり、しかもその多くは女性の個人投資家であると言います。また、IFFImは、全世界の資本市場で調達した総額37億米ドル相当のうち18億米ドル相当が日本市場で調達されたとしています。最近では、金融専門誌「ユーロウィーク」(発行地ロンドン)が、2008年2月に日本の個人投資家向けに販売された第一回IFFIm債(ワクチン債)を「最も影響力のあった25の社会貢献型債券」の一つに選び、「IFFImによって日本の投資家は社会的責任投資(SRI)に対する最も熱心な投資家層となった」と報じました。これまで日本の投資家に販売された社会貢献型債券の総額は66億米ドル相当額であることから、「ワクチン債」は日本における社会貢献型投資の浸透を加速したともいえます。

 

2009年12月21日付米タイム誌は「The Rise of Ethical Consumer (エシカル消費者の台頭)」と題する特集記事を掲載しました。「エシカル消費」とは、倫理/道徳的な消費を意味し、環境配慮や社会貢献といったより広い利他的な視野での効用を求める消費スタイルで、日本でも近年徐々に浸透してきましたが、昨年3月11日に発生した東日本大震災後の復興支援とも相まって、特に女性の間で顕著に関心が高まってきています。そしてこの流れは、GAVIの「ワクチン債」の事例が示すように、投資分野にも及んでいます。欧米では企業の社会的責任(CSR)の観点から投資を行う社会的責任投資(SRI)の市場が拡大してきており、その要因は投資の判断基準としてESGの要素(環境、社会、企業統治)を組み込んだ投資家の増加にあると言われています。世界的なCSRへの関心の高まりや、事業活動を通じて貧困や人権など社会的課題の解決を目指すソーシャルビジネスが注目を集める中、消費・投資の両面で倫理を重視する傾向は益々強まっています。

 

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2015 年を達成期限とする国連ミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)にあげられた18の目標の一つである「5歳未満の乳幼児の死亡率の低下」の実現に向けて、GAVIは2015年までに2億2500万人の子供達に 予防接種を行い、新たに約400万人の命を救うことを掲げています。今年4月下旬の世界予防接種週間には、アフリカ諸国で初めてガーナに新しく2種のワクチン(肺炎球菌ワクチン、ロタウィルスワクチン)を同時に導入しました。また、6月には日本市場に向けて新たなワクチン債(券面総額は約1億 3140万米ドル)が販売されました。更に、7月1日に世界銀行総裁に就任したキム・ジムヨン氏は、貧困地域の保健問題などの専門家であり、10月上旬に 東京で開催される世界銀行・IMF総会においてもグローバルヘルスとワクチンの問題が主要な議題の一つになると予想されています。

 

※写真提供:GAVIアライアンス

 

GAVIアライアンス公式ウェブサイト: www.gavialliance.org
GAVI Facebook サポーターページ(日本語): https://www.facebook.com/#!/groups/262300907141537/
予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm): http://www.iffim.org/jp/
世界銀行:http://www.worldbank.org/ 
国際通貨基金・世界銀行 年次総会2012(日本語):
http://www.imf.org/external/japanese/am/2012/index.htm

 

問い合わせ:

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GAVIアライアンス メディアコンサルタント(日本) 牧之瀬恵子
kmakinose-external-consultant@gavialliance.org

GAVIアライアンス事務局(ジュネーブ、スイス) 北島千佳        
            Tel: +41-79-550-1756 ckitajima@gavialliance.org

 

 

 

 

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