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超高齢社会に立ち向かう 高齢者が食べやすい日本の食事

投稿日 : 2017年01月23日

 ■高齢者が食べやすい食事とは?

 

(1)病院での食事風景_3世界に類を見ない速さで高齢化が進む日本。8年後の2025年には、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎える。高齢者の増加とともに、日本では、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力が弱くなる摂食障害の患者が増えており、お年寄りでも食べやすいよう工夫された介護食「嚥下食」への関心があらためて高まっている。

   

  

 

(4)『おうちでできる嚥下食』レシピ_桜餅 これまでの嚥下食は、ペースト状のミキサー食やきざみ食が一般的だったが、味や見た目がよいとはいえず、高齢者の「食べる楽しみ」や食欲増進に必ずしもつながっていなかった。ところが最近では、ミキサーにかけた食材を、固形剤を使って本来の形に「成形」する進化した嚥下食が取り入れられるようになっている。

 

 

 

 

 

(5)嚥下食レシピ_ビール医療・介護現場のニーズに応えるべく介護食品などを開発・製造・販売する株式会社ニュートリーによると、嚥下食に必要なのは、「適度な粘り(口の中でのまとまりやすさ)」。たとえば、お茶やコーヒーなどの液体は飲み込みやすいように思えるが、嚥下障害があると誤って気管に流れやすいため、とろみをつける必要がある。このため、ビールや日本酒にとろみをつけて飲みやすくした嚥下食も存在する。このほか、べたつきにくさ、適度な柔らかさも重要だという。

 

 

(4)『おうちでできる嚥下食』レシピ焼鳥同社が編集協力した嚥下食のレシピ本には、通常の食事との違いが分からないほど丁寧に成形された焼き鳥、桜餅などの調理例が紹介されている。同社広報広告グループの横山祥子さんは、「嚥下障害がある高齢者に喜んで食事をしていただきたいという、高齢者を敬う日本らしい思いから、嚥下食が独自に進化してきたと思う」と話す。 

 

 

 

  国も「口から食べる」支援にシフト

 

これまで、誤嚥による肺炎などのリスクを回避するためには、腹部に小さな穴をあけ、管を使って胃に栄養を送る「胃ろう」(人工栄養)が一般的だった。しかし、患者の尊厳や生活の質(QOL)の観点などから議論が高まり、2014年度以降、診療報酬や介護報酬が改定され、人工栄養よりも「口から食べる」ための治療やケアを促進する方針が明確に打ち出された。

 

こうした流れのなか、国主導による制度化も進む。農林水産省は2014年11月、これまで広く「介護食品」と呼ばれていた食品について、あらたに「スマイルケア食品」という愛称を定め、噛みやすさや飲み込みやすさなどの統一的な基準・表示を作成した。病院や施設、在宅介護者が、より適切な介護食品を選びやすくする環境整備に取り組んでいる。

 

日本を追うように世界の多くの国々も高齢社会に突入し、嚥下障害の高齢者が増えることが予想される。おいしくて美しい嚥下食作りのノウハウが、将来、世界中の高齢者の食べる楽しみ、生きる喜びを支える日が来るかもしれない。  (写真はニュートリー株式会社提供) 

 

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【<2月3日(金)>「嚥下食」についてもっと知りたい方、「嚥下食WORLDシンポジウム」が開催されます!】

■対象:外国メディア、駐日大使館

■日時:2017年2月3日(金)14:00~17:30   ■場所:公益財団法人フォーリン・プレスセンター会見室

■内容:講演、パネルディスカッション、調理実演、試食   

■詳細、お申込み:http://fpcj.jp/useful/wjn/p=50774/

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<嚥下食の作り方「鮭の照り煮」>

①   あらかじめ用意した鮭の煮物、だし汁、計量した粉末のゲル化剤をミキサーにかける

②   ラップなどを使って食材を成形する

③   冷やして固め、適当な大きさに切る。バーナーで焼き目をつける。

④   とろみをつけた煮汁をかけて完成!

 ① ② ③ ④ DSC03779

 (写真:FPCJ)

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【関連情報】 <ご当地嚥下食WORLD>

日本の全47都道府県の地域に根付いた「郷土食」を嚥下食にする取り組み。“ふるさとの味を口から食べることで食べる楽しみを感じてほしい”というメッセージとともに、嚥下食の理解を深める情報を提供している。

http://www.shimotsuke.co.jp/select/engesyoku-world/about

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