ウォッチ・ジャパン・なう

一覧に戻る

秋田県 佐竹敬久知事

投稿日 : 2012年05月31日

img4fd159b32a4e2

フォーリン・プレスセンター寺田理事長は、2012年5月31日に秋田県を訪れ、秋田県の魅力や対外戦略について佐竹敬久知事と対談しました。東アジア地域との交流拡大への動き、再生可能エネルギーの可能性、小中学校学力全国トップクラスの要因など話題は多岐に及びました。

 

FPCJ寺田理事長(以下理事長)佐竹知事ご自身が、中国、台湾、韓国、ロシアに出向いてトップセールスマンとして動いておられ、秋田県の魅力を大いにアピールしている姿に敬服しています。貴県を対外広報するうえでの知事のお考えや今年の計画についてお聞かせください。

 

※写真(右から): 秋田県佐竹知事、FPCJ寺田理事長

 

佐竹敬久知事(以下知事): 秋田県は、豊かな自然、高品質な農産物や多彩な食文化、地域伝統芸能、ものづくり分野の特色ある技術集積、学力が全国トップレベルの小中学生、さらには、めざましい発展を続ける東アジアに開かれているという地理的な優位性など、多彩な地域資源や可能性を有しています。しかしながら、これらが必ずしも海外に十分に認知されているとは言えません。先ずは秋田の認知度を上げるということで中国、韓国、台湾、ロシアに私が出向き交流を大きく前進させたいと思っています。
今年は7月に、天津市を訪問し友好協定に向けた協議書を締結する予定です。8月は台湾を訪問します。台湾政府機関、航空会社、旅行会社を訪問し、山形県や北東北三県はもとより函館市、仙台市などとも連携した新たな広域観光ルートの提案を行いながら、チャーター便の運航について要請したいと思っています。9月には、建州60周年を迎える中国吉林省の延辺朝鮮族自治州を、10月には友好交流30周年記念事業として、中国甘粛省を訪問し、これまで進めてきた文化交流に加え、新エネルギーなど新たな分野での交流について検討したいと考えています。11月には、ロシア・ウラジオストクに出向き、沿海地方政府の新知事と、2010年3月に交わした包括友好協定の推進のための意見交換を行います。現地では、貿易企業との懇談会も予定するほか、現地に進出する日系自動車関連企業への訪問も予定しており、秋田港の利用促進を要望していきたいと思っています。

 

 

img4fd15a85af0df

理事長注目を集めている貴県の再生可能エネルギーのポテンシャルと、都市鉱山についてご紹介頂けますか。

 

知事:多様な再生可能エネルギーのポテンシャルがある秋田県にとって、一定の自然エネルギーを活用しなければならないという機運の高まりは、好機であると捉えています。本県は沿岸部で風況が良く、遠浅な海となっているため、洋上風力発電や、大規模な風力発電に適していることや、内陸部では、地熱発電に適した地域があること、日射量も東京都と遜色ない上に土地が広く使えることなど、再生可能エネルギーの大規模な導入に適しています。更に、農業、林業が盛んな秋田県では、稲わら、間伐材などのバイオマス資源などにも恵まれ、本県の再生可能エネルギーは豊富なだけでなく、多様であることが特色となっています。
「都市鉱山」とは、不要になった小型家電、情報通信機器を鉱石と見立て、これらからレアメタル、レアアースなどの資源を回収しようとするものです。小坂町の小坂製錬(株)では日本で唯一、リサイクル原料のみで稼働できるリサイクル炉で、都市鉱山からの金属回収を行っています。国際的に資源の争奪戦が起こっている現在、秋田県では特にこの分野に力を入れて日本の資源リサイクルに貢献したいと思っています。それに加えて、本県の強みは資源開発やリサイクルの人材を育てる基盤があることです。(財)国際資源大学校(小坂町)には毎年、海外の技術者も研修に訪れていますし、秋田大学では2014年に国際資源学部を設置する計画があります。本県で育った人材が将来国内外で活躍してくれるのではと期待しています。

 

 

img4fd15a5e9cd4c

理事長人材育成のお話が出たところですが、貴県の小学校、中学校の学力が全国トップレベルである秘訣は何でしょうか。

 

知事:「早寝、早起き、朝ご飯」と私はいつも言っております。過度に都市化されておらず、コミュニティがしっかりしているので、現在でも地域で子どもを育てるという意識が強いことが考えられます。もう一つの要因は、全国に先駆け十数年前より実施している少人数制教育や現場の教員の努力によるところもあります。

 

理事長さらに、近年、評価をますます高めている公立大学法人国際教養大学について、その設立のねらいや、今後のビジョンをお聞かせください。

 

知事:「すべてを英語で学び英語で考える授業」、「外国人留学生と共に暮らす一年間の寮生活」、「世界トップレベルの大学への一年間の留学」など、英語力のある国際人を育てることが設立のねらいです。公立の大学として、秋田県の国際交流や貿易、観光の面においてシンクタンク的な役割を果たすべく、今年の1月には東アジア調査研究センターを開設しました。世界で活躍できる人材を育成をしながら、秋田の国際経済戦略にも役立つ研究を行うというビジョンをもっています。

 

 理事長最後に、「環日本海における交流の拠点を目指す」という海外戦略についておきかせください。

 

知事:日本海に面する主要港の中で、秋田港は、ロシア極東港に約800キロと最も近いという地理的優位性を持っています。 特に最近発展著しい中国東北部、例えば黒龍江省とは、ロシアの極東経由の貿易ルートを開発すると、従来の大連経由と比べ、距離にして約1,500 キロも短縮するなど、秋田港が中国・ロシアの日本へのゲートウェイとなり、その先の東アジアの市場へと大きく開けています。今後、東アジア市場を視野に、温泉、食材、医療、高齢化社会への対応ノウハウなどを組み合わせ、今までには無い産業を形成して行きたいと考えております。日本は、加工貿易立国として車、テレビ、パソコンなどを輸出してきましたが、未だ日本の文化をうまくビジネスに結びつけていません。秋田県の海外戦略は、そこに着目していきます。

img4fe7f02e2a774

写真提供:秋田県 

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信