ウォッチ・ジャパン・なう

一覧に戻る

「東北の女性に笑顔と収入を!」:小さな手仕事を創って被災地を世界とつなぐ∞EAST LOOP∞プロジェクト(2011年11月1日)

投稿日 : 2011年11月01日

【ウォッチ・ジャパン・なう vol.10/FPCJ】

 

2011年11月1日

 

「東北の女性に笑顔と収入を!」- 小さな手仕事を創って被災地を世界とつなぐ ∞ EAST LOOP ∞ プロジェクト

 

(プロジェクトを主宰する高津玉枝さんのブログから)

img4eafa06f623a7

~本当にいい日でした。
EASTLOOPの構想から五ヶ月。
被災地に小さな手仕事をつくり、世界と結ぶことが、ささやかながら回りだしました。
商品をつくり、販売して、作った人たちに直接、収入を届ける。
そう、まさに皆さん(購入者)から預かった『気持ち』を陸前高田、大槌町、釜石の皆さんに届けに行きました。

 

みんなの笑顔!笑顔!笑顔!

その笑顔は、お金だけでなく、働くことや、おおくの人達とつながっている実感、

施しだけでなく、自分の仕事で得た収入、人間としての誇り、
いろんなことが混ざった笑顔でした。

 

でも、ここからがスタートです。
被災地は、避難所から仮設への移住が完了しただけです。
生産してくださっている方がぼそりとお話くださいました。「仮設でキレイでいいね~って言われるけど、二年後には出て行かないといけないんダ。義援金、もらったけど、つかえねぇ。みんな、全部ためているよ」 被災地の報道は少なくなったけど、現地の人たちは、いまも厳しい現実にさらされています。~

 

東北の被災地で誰もができる手仕事(手編みのハート/花のブローチ)をつくって、全国、世界で販売していこうという「EAST LOOP(イースト・ループ)」プロジェクト。主宰者の高津玉枝さんは岩手、宮城の被災地を奔走して生産者のネットワークをひろげながら、いまだに厳しい現地の事情も含めて自身のブログFacebookで発信しています。「大都市仙台は復興バブルに沸いているようですが、津波の被害をうけた太平洋沿岸部など遠隔地では復興は進んでいません。あまり報道されませんが、高齢者の孤独死や、家庭内暴力で妻が死亡するなど悲惨な話も聞きました」と被災地の抱える問題も率直に語っています。

 

【写真:プロジェクトの商品を手にする高津さん(左)、花、ハートのブローチ(中央、右)】

img4eaf665f345b4 img4eaf649830821 img4eaf64a0e3c3a

 

大阪でフェアトレードを通じて雑貨を販売する会社「福市」を経営する高津さんは、東南アジアや南米など発展途上国の少数民族や貧困地域の女性が作る雑貨を日本で販売し、収益を現地に還元して現地の人々の生活を支援してきました。「厳しい環境の中で、施されるばかりでいると人は自分の存在意義を疑い、無気力と孤独感に悩むようになってしまう。「働く」ことを通じ「褒められ、役に立ち、必要とされる」ことは時には現金収入より大切で、生きていく力になる」-自らの本業を通じて体得してきた高津さんの哲学です。

 

高津さんは1995年の阪神大震災で兵庫県西宮市の自宅が半壊、知人が命を落とし、「一時は何もする気が起きなかった」という時期がありました。この経験が高津さんを今回の支援プロジェクト立ち上げに駆り立てたわけですが、当初は被災地のどこを拠点にどのような仕組みで何を作ってもらうのかなど、まさに手探りの状態でした。被災地に赴くとそこには想像を絶する困難に陥っている多数の被災者がおり、「何の縁もゆかりもない人間が土足で入れるようなところではなかった」と現地に溶け込むのにとても苦労したといいます。

 

そのような中、岩手県遠野市の「NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク」が製作拠点の会場設定や被災者への告知など本格的にサポートしてくれることになり、ここを拠点に、釜石、陸前高田、大槌町などへも生産者のネットワークが広がりました。現在、仮設住宅などで暮らす女性約60人が参加、ハートや花をモチーフに綿レース糸を鉤針編みしてブローチを創作しています。今年7月から大阪や横浜の大手百貨店やインターネット通販により約4000個を販売しました。値段は一個800円(税抜本体価格)で、うち400円が生産者の収入となります。現在、11月下旬から発売予定の新商品であるクリスマス・ソックスや編みぐるみなどが準備されています。

 

先日、高津さんは宮城県石巻市の1200戸の仮設住宅が立ち並ぶ地域を訪ねました。大規模すぎてうまくいくかどうか不安でしたが、5名の方々が集まりブローチづくりを始めることになりました。東松島市の「お母さんネットワーク」もプロジェクトの輪に加わりました。また、石巻ではWJN前号(東北の美しい「村」再生プロジェクト)で紹介した北上町「白浜復興住宅」の主宰者・熊谷秋雄さんを訪ねました。もう一人の主宰者・工学院大学の後藤教授から「漁協で働いていたおばさんたちの仕事がない」と聞いた当センターが橋渡ししました。最近では、イタリアで扱ってくれるお店ができ、カナダのフリーペーパーから取材依頼が舞い込みました。東から繋がっていく-EAST LOOP-の輪は東北の被災地からいよいよ世界に広がり始めました。

 

~被災地に足を運ぶたびに、
それぞれの方が抱えている厳しい状態を目の当たりにします。
そこで初めて聞ける本音の話。
私たちはつたえていかないといけないと思います。  高津玉枝 ~

 

【写真:釜石市の生産者の皆さん(左)、陸前高田市の生産者の皆さん(中央)、現地でのワークショップの様子(右)】

img4eaf64aa04c1e img4eaf64b3d7b33 img5005258dc5ff0

 

*生産者の皆さん及びブローチの写真は高津さんより提供

 

取材等の問い合わせ先

株式会社福市/LOVE&SENSE 代表取締役
高津玉枝
〒550-0011 大阪市西区阿波座1-9-21 2C
TEL06-6648-8080 FAX06-6648-8385
http://www.love-sense.jp/
E-mail: info@love-sense.jp 

 

リンク

東北支援プロジェクト EAST LOOP フェイスブックページ
ブログ『高津玉枝の最新フェアトレード情報』

(Copyright 2011 Foreign Press Center/Japan)

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信