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外国人ビジネスマンを津波被災地に送り込め:EVJよるボランティア・ツアー(2011年9月26日)

投稿日 : 2011年09月26日

【ウォッチ・ジャパン・なう vol.6/FPCJ】

2011年9月26日

 

 

外国人ビジネスマンを津波被災地に送り込め:
Earthquake Volunteer Japanによるボランティア・ツアー

 

3月11日の東日本大震災発生以来、東北の被災地には、国内外から様々な形で支援の手が差し伸べられました。その一つが、被災地におけるボランティアの活動です。今回の震災でのボランティア活動については、「ボランティア元年」と称される1995年に発生した阪神・淡路大震災の際と比較してボランティア従事者の数が少ないとの指摘も聞かれます。しかし、他方で、実施の仕組みや体制といった点では、活動の多様化が確認されたようにも思えます。

 

東京に駐在する外国人ビジネスマン等を被災した宮城県石巻市でのボランティア活動へと送り込むツアーを企画・実施する「Earthquake Volunteer Japan」の活動は、そのような多様化の一つと言えるでしょう。

 

活動を立ち上げたのは、上智大学のデビッド・スレーター准教授と、一ツ橋大学のティッシュ・ロビンソン准教授。非政府組織(NGO)のピースボートと在日米国商工会議所(ACCJ)の協力を得て、これまでに5月、7月に2度、ツアーを実施しています。

 

Earthquake Volunteer Japanのツアーでは、参加者自身が最低限準備する必要があるのは、雨具と作業用ブーツのみ。ヘルメットや防水手袋を含むその他の作業用装備、更には英語通訳がツアー主催者により提供されます。参加費は、被災地までの交通費、3泊分の宿泊費と食事を含め、一人当たり8万8000円と決して安くありませんが、参加希望者は多く、1度目のツアーには40名が、2度目のツアーには60名が申し込んだほか、10月に予定されている次回のツアーにも9月上旬時点で既に20名以上が参加を希望しているそうです。

 

【上段写真:(左から)石巻市内の様子、活動中の安全に関する事前ブリーフィング、泥かき作業の様子】

【下段写真:(左から)がれき撤去の様子、山積するがれき、現地の商工会議所青年部から話を聞く参加者、一日の作業後の片付けの様子】

 

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ツアー中、参加者は主に泥かき作業を行いますが、バスで石巻市内の被害の様子を見て回る機会も得ます。

 

Earthquake Volunteer Japanの活動には、「外国企業の駐在員等に被災地の状況を直に見てもらう」との差し当たっての目的に加え、先を見据えたより大きな目標があります。「後々、所属企業がCSR活動として被災地支援を検討することになれば、ツアー参加者は自らの経験に基づいた信頼できる情報を社内に提供できる。私たちの最終的な目標は、外国企業に、被災地のニーズと自らが東北復興のためにできることを今以上に理解してもらい、更にCSR活動に力を入れてもらうこと。ツアー実施はそのための手段なのです」と、スレーター氏は言います。

 

参加者は約3分の1が留学等の海外経験を持つ日本人、残りの約3分の2が外国人で、その出身は様々です。年齢層も幅広く、シニア・マネージャーやCEOの役職にある人物から入社一年目の若者までが混在します。中でも目立つのは20代後半から30代前半の会社員で、スレーター氏によれば、「彼らは、所属する企業や日本にプラスの変化をもたらしたいと考えている」そうです。

 

Earthquake Volunteer Japanでは、今後、被災地での活動を石巻市以外にも広げていこうと考えています。また、スレーター氏とロビンソン氏は、在京のインターナショナル・スクールと東北地方の学校とを結びつける支援・交流のプロジェクトについても検討しているとのことです。

 

→Earthquake Volunteer Japanの活動についてはこちら(English only)

 

写真提供:デビッド・スレーター 上智大学准教授

 

(Copyright 2011 Foreign Press Center/Japan)

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