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竹増貞信氏/株式会社ローソン 代表取締役 社長COO | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

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竹増貞信氏/株式会社ローソン 代表取締役 社長COO

投稿日 : 2016年08月23日

 ~人々の生活に“エッセンシャル”な コンビニを目指して~

ローソンロゴ

★IMG_0719

 

今の生活になくてはならないもの・・・。日本人にそう尋ねたら、多くの人が「コンビニ」と答えるのではないでしょうか。24時間、いつでも好きなものを買うことができるコンビニですが、その裏側では、消費者のニーズに応えるべく、絶え間ない企業努力が行われています。日本のコンビニ文化はどのように発展してきたのか、そして、海外でビジネスチャンスはあるのか。業界大手・ローソンの竹増貞信社長に聞きました。(聞き手:FPCJ理事長 赤阪清隆)

 

 

 

 

創業41年、お客様の求める

店づくりに取り組む

 

ローソン1号店(1975年当時)1975年に大阪府豊中市に第1号店を出してから、今年で41年になります。FPCJより1つ年上ですね。振り返ってみると、日本はその間に商店街は衰退が進み、特にここ20年ほどで小売店の数は160万から80万に、核家族化で1~2人の世帯は1.5倍に、65歳以上の高齢者がいる世帯は2倍以上になりました。このような変化から生じるお客様のニーズにいかに対応できるか、これこそがコンビニ業界の成功のカギです。

 

(photo:1975年にオープンしたローソン1号店(豊中市)。牛乳瓶のロゴマークは、世代を超えて愛されてきた)

 

 

コンビニの数は右肩上がりに増えています。ローソンも文字通り試行錯誤の繰り返しでしたが、加盟店オーナーと力を合わせて、さまざまな変化に取り組んできました。競争が激しいコンビニ業界ですが、全47都道府県に最初に出店したのはローソンです。フライヤーを導入し、ホットフーズを最初に販売し始めたのもローソンです。そのうち、からあげクンは30年の歴史を持つロングセラー。また、現在コンビニの定番商品となっているいれたてコーヒーですが、実はブームとなる前の2011年にローソンが既に長野の店舗から販売し始めました。そういった新しい試みのたびに、お客様の反応を見ながら改善を重ね、トライ&エラーを繰り返してきました。

 

ローソンは、「私たちは“みんなが暮らすマチ”を幸せにします」を企業理念にしています。それに沿った店づくりを進めていくうえで、何よりも大切なのは加盟店オーナーの力です。さらに最近は女性の視点にも注目しており、女性オーナーが集まる会を立ち上げ、女性ならではのきめ細かい“気づき”を店づくりに生かそうとさまざまな議論をしています。

 

また、より地域密着型の店舗展開を実現するために、マネジメントオーナー(MO)制度を導入しています。個人経営のイメージが強いコンビニですが、1人のオーナーに一定の地域内で4店舗以上経営してもらい、文字通りの“経営者”になってもらう。多店舗経営ならではの苦労がありますが、全国のオーナーが経験を共有しながら共に乗り越え、地域の中での存在感を上げていくという良い流れが生まれています。

 

日本の課題を

コンビニが解決!?

 

コンビニというと当初は働き盛りの男性客が中心で、ボリュームのあるお弁当とペットボトルの飲料、タバコを買って・・・という感じでしたが、女性の社会進出、核家族化が進むにつれて、求められる商品のラインナップも大きく変わっています。スーパーで食材を大量に買って料理することができない場合、コンビニに何を求めるかというと、小分けされていて効率的に料理できて、かつ健康にいいもの。サラダでもすぐに食べられるものから、サラダ用や炒め物用のカット野菜も準備し、豆腐も絹ごしと木綿など、普段使いできるものを増やしています。そういう商品は特に30~50代の女性からの需要が多いですね。

 

ローソンは塩分や糖質などの使用量の目安を定めた「健康商品開発 10の取り組み」に沿った商品を開発・品ぞろえしています。たとえば、ブラン(ふすま)を使ったパンは、血糖値が気になる方におすすめ。1本で1食分の野菜が摂れるグリーンスムージーは、なんと1秒に1本売れています。いくら健康にいいからといってもおいしくないと売れませんので、研究に研究を重ねて生まれた商品です。

 

ナチュラルローソン健康志向の菓子また、「ローソンストア100」という100円商品を中心としたの品揃えの業態も展開しており、生鮮品を多く置いています。日常生活に役立つものを買いやすい価格でというのがコンセプトです。一方、「ナチュラルローソン」は美と健康をテーマにした業態です。

 

 (photo:健康志向のナチュラルローソンは、手軽に体にいいものを手に入れることができると人気)

 

病院内店舗病院にも約250カ所に店舗を展開しており、サービス一つ一つに、病院内の店舗であることを意識しています。長期入院される方のニーズを考え、書籍を充実させたり、おしゃれな入院着を置いたりして患者さんが買い物する楽しみを提供しています。お見舞いに来たお孫さんにプレゼントをしたいと相談されれば、アマゾンなどのECサイトで購入したものをローソンで受け取るサービスをお勧めしています。

 

 (photo:病院内のローソンは、店舗の企画・設計・施工や開店準備、開店後の運営支援まで専門チームがサポートする)

 

災害対策は

コンビニの責任

 

日本は自然災害が多い国ですので、災害時でもできる限り店営業を継続するのは、全国各地で店舗展開をしている私たちの使命です。熊本地震では、店舗だけでなく、店舗に商品を届ける物流ルート流通センターも大きな影響を受けましたが、他の地域から商品を確保し、トラック以外に乗用車や飛行機といった別の輸送手段を講じるなどの対応に奔走しました

 

また、多数の本部社員が応援に入り、店舗の復旧や商品の配送などにあたりました。本震から2日後には県内のほとんどの店舗の営業を再開することができました。また、余震が続く中、「ここにいれば大丈夫だ」という安心感から、コンビニの駐車場に避難をされる方々も多く見受けられました。こういった対応は、東日本大震災など大きな災害の経験から蓄積されたものです。

 

私は本震発生の翌日に鹿児島から熊本に入って被災した店舗を回ったのですが、どのオーナーも本当に頭が下がる対応でした。すでに棚はすっからかんで、新しい商品もなかなか届かない状態でしたが、オーナーたちは「商品がなくても店を開け続けていたいんです」と。自身も被災した中で、明かりをつけておくことがお客様の安心につながればと、店を開け続けていました。モノを売るだけではない「マチのために」という思いがローソンにはあるのだ、そういう風に感じてこの仕事をしていることを、あらためて誇りに感じました。

 

こういう時こそ、私たちは、コンビニは電気、ガス、水道に続く“第4のインフラ”であると実感します。一日でも一時間でも早く店を開けてお客様に安心してもらいたい、すべての行動はその思いからきています。

 

海外展開で

さらなるビジネスチャンスを

 

フィリピンの店舗海外に出店する際も、私たちが日本で40年以上かけて培った温かい心ときめ細かなサービスは忘れずにいたいと思っています。地域に愛されるお店となっていきたいという考えは、海外でも変わりません。

 

上海に出店してから20年を迎え、海外の店舗はフィリピン、タイ、インドネシア、ハワイと合わせて800にまで増えました。もちろん、どの国に進出するにも文化や風習が違いますし、日本の形態をそのまま持ち込んでも通用しません。中国では北京や大連を含む5地域に進出していますが、北京では少し高級感のある店に、上海ではもっと大衆化など、地域の特性に合わせた店づくりをしています。

 

ヨーロッパにはまだ進出していませんが、学ぶべきところはたくさんあると思います。伝統的な街並みを大切にしていることもあり、パリのマルシェに代表されるように大きな店構えのお店は少ないので、コンビニでもチャンスがあるのではないかと感じています。また、健康志向が高くオーガニック食品などもトレンドになっていますので、店づくりにも一工夫必要です。すでに文化が成熟した国々ですので、もし進出するなら、どういう形でするかは慎重に考えていかなければなりません。やはり、海外でもトライ&エラーの繰り返し。非常にチャレンジングで、おもしろいですね。

 

(photo:フィリピンにあるローソンの店舗。海外では、地域に合わせた店づくり、商品開発が進められている)

 

日本でも

さらなる進化を遂げる

 

もちろん、日本の店舗も進化を続けています。今取り組んでいるのは、「マチの人々の生活をコンビニで支えよう」というチャレンジです。小さな子どもから働く世代のお父さんやお母さん、シニア世代の生活も含めて、40坪くらいの店舗でどこまでお客様のニーズに対応できるか、腕のみせどころですね。

 

DSC_0248ローソンでは、店内に介護相談窓口を設けた“ケアローソン”、 OTC医薬品や日用品、化粧品の品揃えを強化した“ヘルスケアローソン”など、コンビニの既存の枠にとらわれない取り組みを展開しています。現在、国内には約1万2,000店舗があります。ひたすらに店舗数を増やすのではなく、商品やサービスの質を高めて人々の生活になくてはならない“エッセンシャルストア”になることできれば、私たちの本望です。

 

(photo:介護相談のためにケアマネージャーか相談員が常駐するなど、高齢化社会に対応した新たな形のコンビニを展開中)

 

そんな日本のコンビニ文化を海外の方に知っていただきたいという思いは強く持っています。昨年11月にFPCJと新潟市が行ったプレスツアーで、在京外国メディアに地元農家と連携して経営するローソンファームを取材していただきました。今後も海外発信にも力を入れていきたいと考えておりますので、FPCJのネットワーク、ノウハウをぜひお借りできればと思っています。

 

 

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<プロフィール:たけます・さだのぶ>

大阪府出身。大阪大学経済学部卒業。1993年、三菱商事株式会社入社。米国Indiana Packers Corporationへ出向後、同社広報部、総務部兼経営企画部社長業務秘書などを経て、2014年にローソン副社長兼法人営業本部長に就任。成城石井、海外事業、エンタテイメント・サービス事業などを担当。2016年6月より現職。

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